体の乾き現象 〜野口晴哉先生講義録〜
≪野口晴哉講義録より≫
体の乾き現象
空気が乾いている中で水を多く飲んで暮らす方が体の掃除が行われるのです。
だから、ただ水が足りないという受け身ではなくて、積極的に体の疲れを抜いて元気に生きるにはどうしたらいいかと言えば、乾いた空気の中で水を多く飲んで暮らす。
そうすると、それまでは疲労素だったものが栄養になってくれるのです。積極的に生きていくのには、空気が乾いている中で活動した方がいいのです。水を飲んで多く動くのです。
ところが、空気が乾くからこういうふうになるとか言うと、すぐに湿気を立てることを考えるのです。けれども湿気のある空気は非衛生です。乾いている方が衛生的なのです。疲れも少ないのです。
本当は夏など空気が乾いてくれたらもっと活発に働けるし、蒸し暑いなどということはない。どんどん発散が行われる。逆に冬はもっと湿気があったならば寒くない。
ストーブ屋さんはちゃんと水を還元するとか、湿気を出す装置まで付けて売っておりますけれども、確かにそれをやると温かいのです。
日本の冬は空気が乾く上に風が吹く。気流が変化を起こす。だから余分に寒く感じるのです。だから湿気を増やすという方法を取りやすいのですけれども、あまりそれは体によいことではないのです。むしろ積極的に空気が乾いている中で、水を多く飲んで暮らす方がいいのです。
水が足りなくなった体でも、五度C以下の水だとわりに早く元に戻ってくる。五度C以下というと、冷蔵庫の中に水を入れておいたのを飲むというその辺でちょうどよいのです。
朝などは水道の水でも四度Cくらいになるそうです。そうですというのは、私の所ではあまり水道を使わないから分からないのです。水道を使う人に計ってもらったら四度Cになったということですが、その場合にはそのままでもいい。ただ近頃都会の水道の水にはいろいろな混ぜ物が多いですから、一応それを濾して飲むという考えは必要だと想うのです。
しかしそうやって飲んでいけば風邪も治るし、浮腫んだのも治るし、のぼせるのも治るし。イライラも治るし意地悪も治る、億劫になったり、言いつけておいたのに何にもやってもらえないなどと苦情を言わなくても、水さえ飲ましておけば済んでしまう。
水は食べ物に比べると安いのです。水飲み百姓という言葉がありますけれども、水も飲めないという人は少ないのです。そのためか空気に次いで軽蔑されております。
みんな食べ物の方が上等だと思っているのですけれども、水は三日か四日飲まないと死んでしまうのです。食べ物は六週間くらいは余分な栄養を貯めているので、五週間や六週間食べなくとも死を期すべきではないのです。息は百五十秒くらいで死んでしまう。だから空気が一番大事だけれども、それに次いで大事なのは水です。
食べ物にお辞儀して「いただきます」などと食べるのは、何と言うか、お金を出したのだから大事なのだと思っている、そういう気持ちが多いのではないでしょうか。
私は拝まないで食べたと叱られたことがあります。それで「それでは土下座して空気を吸うべきだ」と言いました。それは栄養としては空気の方が上等ですからね。そうすると、水を飲むのにも礼拝して飲むべきですね。ご飯の時に礼拝するならばそういうことになるが、まあそういう信仰的な要素から言うと、とてもおかしいのです。空気を吸うのにいちいちお辞儀をしていたら何にもできないでしょう。
食べ物は、とても待っていられないほどガツガツ食べたい時に食べるのが理想なのです。ガツガツ食べる時はお腹が空いているのです。悠々食べる時は空いていないのです。悠々食べられる時に食べるというのは少し早まっているのです。
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