子供の操法 〜野口晴哉先生講義録〜
≪野口晴哉講義録より≫
子供の操法
ともかく子供の操法というのは異常を対象にしない。かりに異常があったとしても、異常箇所を押さえるよりは停頓箇所、つまりつかえている処を押さえるようにすることが必要である。そのつかえがどこに現れるのだろうかというと、一番最初は頭でありますす。
中略
頭の動きというものと成長というものとは非常に関係が深くて、赤ちゃんはまず頭から観なければいけない。
自発的な意思を全く持たない状態の時には、頭の片側がベソッとそげています。大人になっても片側がベソッとしているのは自発の意思がない者ですが、子供にもそういうのがあって、親は片方を歪めて寝せていたのでそうなったなどと言っておりますけれども、自発的な意思を起こして自分で何かしだすとみんな丸くなってくる。
寄りかかっている専門は大人になってもヘシャンコのままになっています。しょっちゅう絶え間なく自発的な意志が細かに動きすぎてしまっている時には、第二という処が弛んできます。自発的な意志が抜けてしまっていると硬張ってきます。子供のそういう場合は自発的な意志が育っていないのです。
第三は感情抑制に関連がある。後頭部が萎縮しているのは感情がない場合、感情が豊かに育っていない場合です。だから後頭部が絶壁型の場合は突然感情が変化します。感情が頭を経て繋がらないで、動物のような感情の動きでパッといきなり変わる。だから知能犯は別として、突然人を傷つけたなどというのは後頭部の絶壁の人が多い。第三の部分の萎縮が多いのであります。
そんなように頭の形というのは絶えず変化している。七十歳を超したAさんでも変化するのですから子供はもっともっと変化しているのです。
そこで子供の頭の変化というものをまず注意する。けれども、形でも何でも分かるようになってからでは遅いのです。変化する前にその変化を読まねばならない。
愉気を致しますと、頭の一部だけが弛んでいる。脂がくっついている。あるいは乾いている。そういう部分があるのです。そこで頭のそういう処にまず愉気をするということが大事であります。
頭のそういう処はお腹の硬くなっている処と関連がありまして、お腹の硬い処があるような時には頭に弛んだ処がある。お腹がたるんでしまっている時には頭に萎縮している処がある。お腹とかね合わせて観るとズーッと観やすくなる。
そこで子供の操法はどこの病気であっても、まず頭とお腹とへ愉気をするのです。愉気をしながら頭やお腹の観察を行うのであります。
写真 by H.M. スマホ