9月入学への移行に賛成します
コロナウイルス感染症感染拡大予防のため、学校の休校が続いています。
個人的には、9月始業に移行すべきとの意見に賛成です。
村井宮城県知事が発言し、小池都知事をはじめ多くの知事が賛同。萩生田文部科学大臣も「一つの選択肢」との意見を示しています。政府も具体的な検討に入っていると伝えられています。
一部自治体で学校が再開されたとは言うものの、非常事態宣言が5月末まで延長され、その後も感染拡大の観点から言えば子供たちが集う学校は感染リスクが高い環境だと言えることから、従来通りの再開は厳しいと考えられます。かといって、このまま休校を継続し続けるのも様々な問題があります。
学校は子供たちが授業を受けるだけの場ではありません。人と接することで人間関係を学ぶ場でもあるでしょうし、クラブ活動などでも授業では学べない様々な経験を積みます。
以前、私が大学生のころに所属していた体育会の部で、監督の辞意表明に伴う次期監督の選任を巡ってOB会の意見が割れ、なかなか次の監督を決められないということが起きました。私もすでにOBになって10数年以上が経過していたころのことです。
もめていた正確な期間は覚えていませんが半年以上、一年近くにも及ぶかなり長い期間だったと思います。
この時、自分がものすごく気になったこと。それは社会人になった大人と大学生の時間に関する価値観の違いです。大人にとっての半年という期間は決して短いとは言いませんが、成長過程にある大学生以下の人たちの半年、一年という期間の「重み」にものすごく大きな違いがあると感じました。
ほとんどの大学生は4年で卒業します。部での活動期間は約3年半。1年生で最下級生として入部し、2・3年生は社会人で言うところの中間管理職のような立場になり、3年生の途中で4年生から政権交代・経営の承継を受け、引退までの1年間、監督やコーチ、大学の教授などが務める「部長」(学校によっては「顧問」などとも呼ばれるようですが)、OB会などのアドバイス、サポートを受けながら1年間、部の運営・経営を行うことになります。
社会人が就職したあと30年、40年の間に経験することを3年半程度で行うことになり、まさに大学生にとっての1年は社会人の10年にも相当する濃密な経験を積んでいることになると考えることができます。
ところが、部のOB会の多くの方々が、紛糾する議論になかなか結論を出せずに時間だけが過ぎていく。
大学生の現役部員にとっては、次期監督と運営方針を共有することは非常に重要なことです。次期監督の選任に時間がかかることは結果として、部の運営にも影響し、貴重な数カ月を不安定な中で過ごさざるを得ないという状況を生みました。
今回、9月入学への移行が議論されています。
授業の遅れが懸念されるのはもちろんですが、受験や就職、その他年間の行事に様々な影響が出ることで、関連する法改正を含め多くの調整が必要であり、様々な混乱が発生することも想定できます。
しかし、既に混乱が発生している状況のもと、グローバルスタンダードとも言える9月入学への切り替えを行うとすればこの機会しかないのではないかと感じます。
日本の場合、4月~9月の5か月間を確保することができるという恵まれた状況であると考えることもできます。
様々な調整のことを考えれば、決断までの期間はもうあまり残されていません。せいぜい1か月程度でしょう。
「間に合わないからやりません」という結論は避けてほしいところです。
議論の行方を見守りたいと思います。