自分の健康は自分で保てる 〜野口晴哉先生講義録〜
≪野口晴哉講義録より≫
自分の健康は自分で保てる
前文略
人間というのはどういうものか弱虫にできている。それは病人を優遇するからです。病人を懲罰に付すとなれば、今の病人は半分になってしまいますよ。(笑)
いや、本当なのですよ。
皆、遠くの島にでも流してしまって、少し台風でも受けたらたいてい治ってしまうのです。それを自分の責任と思わない。
何かのせいにする。
結核菌のせいにする。肺炎菌のせいにする。けれども赤ちゃんと理屈を言って喧嘩していたっておかしいでしょ。それなのに目にも見えない小さなものに、「お前を殺さなくては俺は丈夫にならん」などと言って息巻くのはおかしいです。
腸の中でいろいろな栄養を分解している大腸菌でも、体が弱くなれば膀胱カタルや関節炎の元になる。けれども大腸菌が悪いわけではない。
そんな黴菌に侵されるようなへなへなな体をしているからなのです。やはり弱いからそうなる。それだけのことです。
しかし、人間の中にはそれに抵抗する力も、それらを整理する力も、また調節する働きも皆あるのです。
例えば、暑いと思えば汗が出ます。夏になって暑い中体を動かして燃えてしまう人がいないのは何故かと言えば汗が出るからです。そういう冷却装置が自動的に働く。だから燃えない。
栄養が足りなくなればお腹が空いてくる。悪いものを食べれば下す。赤ちゃんだって、ごくわずかな悪いものでも下痢をします。
栄養は皆血にして、そうでなければ大便を黄色くしてしまう。赤ちゃんでもそういう働きを持っているのです。そういうように、健康を維持しようとする働きは人間に自然に備わっている。だからそれに従ったらよいのです。
それを熱が出たからといって下げようとする。体温の三十六度五分から七度というのは、黴菌の繁殖に都合のよい環境なのです。だから増えるのです。
それでは困るから高い熱を出す。そうすると黴菌が死んでしまう。或いはそこにいがたくてよそに行ってしまう。
黴菌の繁殖するに不適当な環境ができるように熱を出すのです。
扁桃腺でもリンパでも皆体を守る働きをしている門番みたいなものです。
それを熱を出したからと言って首にし、切るとか焼くとか仕置きをする。
おかしいですね。逆に「ご苦労様」と言うべきなのです。
写真
by H.M. デジカメ