四 女の体の波と骨盤の関係 -出産と女の健康- 〜野口晴哉著「女である時期」〜
《野口晴哉著 女である時期より》
四 女の体の波と骨盤の関係
―出産と女の健康―
「アイ・ラブ・ユー」などと女の人がニッコリするから、いつもそうかと思っていると、今度は逆にブスッとしてしまう時がある。
どうしたわけかといえば、これは骨盤の落ちているとき、つまり月経の始まっているときなのです。
この期間は普段なら怒らないことまで腹を立てたり、気が短くなったりします。それだけでなく、月経は、考えてる以上に大脳のはたらきを超越して、人間の行動を左右してしまう。
月経時に犯罪が多いなどというのもそのためで、月経がもたらす影響は意外に広いのです。また、食事がまずい、吐き気がする、食欲がないなどというようなものも、胃が悪いのかと思っていたら月経が始まったというような場合も沢山あります。
特に右側の骨盤の動きの大きい人達は、月経と食欲に関連が多い。左側の動きの大きい人達は、月経と血行、特に心臓の働きに関連が多い。
女の体を観るのには、月経あるいはそれに関連のある骨盤の開閉、上がり下がりというようなことを無視するわけにはいきません。
まず、骨盤が開く状態である場合の一つに、痔疾の問題があります。痔疾は男にもないわけではありませんが、特に女に多い。
右側は食欲、左側は心臓関係と申しましたが、その左側の心臓関係の系統の変動が、女の場合には痔になって現れることが非常に多いのです。
その大部分は分娩時の助産が下手なことから起こっている。近頃では力ずくで産ませることばかりが行われています。ひどいときには日曜日の出産を避けるために、無理にお産させたりする。
そのために、体の自然の力で体に無理のないように産ませるという出産方式がだんだん影をひそめてしまった。産ませる方から言えば便利ですが、産む方にとっては困ったことです。
本当は自然に産まれるのだから、そういうような手伝いは要らないのです。手伝いを必要とするのは、最後の気張る時に肛門を押さえることだけでよい。
そうすれば痔にならないし、出産も簡単に通ってしまう。出産の手伝いで一番重要なのはそれだと思うのですが、そういうことはだんだんなくなってきてしまいました。
写真
by H.M. デジカメ