身体精神現象 〜野口晴哉著「叱言以前」〜
《野口晴哉著 叱言以前より》
身体精神現象
腕が疲れたというだけで頭の中が散漫になる。
それなのにペンを握ったまま考えをまとめようとしている人もいる。
腕の力を抜き肩の力を抜いて休めれば自ずから頭の中はまとまるだろうに、弛めるということを知らず、ただ気張って力を出そうとしている。
おかしなことであるが、頭のはたらくのも体力である以上、体の一部分の不平均が大脳現象となるのはむしろ当然であろう。
だから胃袋の弱い人は陰気になるし、肝臓の働きすぎる人は気が短い。
こういう生理的心理現象を知らないでは感受性の内容は語れない。
潜在性欲が喘息の原因であるとか、独立の要求を余分に振り回す理由になるというようなことも是非考えておかねばならない。
進くんが強情なのは一つは尿の出がよくないことにある。もう一つは暴れたりないことにある。だから栗ひろいの夜は素直だったし、夕食に水分の多い食事をした翌日はおとなしいのてある。
だから進くんに叱言を、浴びせることばかり行うより、食物や運動を進くんの体癖に適うよう考えてやることが大切である。
直ちゃんは体力が余ると甘え出す。普通は体力が欠乏すると甘え、余ると威張るのであるが、直ちゃんの場合は違う。
何故だろう。威張るにはお兄さんが怖いし、お母さまを獲得することがお兄さんに対して威張ることになると考えているためかもしれない。しかし彼は考えて甘えているのではない。ツーメセント的快感に敏感な体癖現象と見なすべきだろう。
そういう体癖の体癖構造上の特徴は腰の可動性が鈍く首が細いことであるから、縄跳びとか幅跳びとか、羽根つきとか、上肢と下肢を大きく広げる体の使い方を行わしむべきであり、ラムダ縫合部周辺の後頭骨の下がっているのを眠る前に押し上げるようにお母さまがしてあげれば、一、二ヶ月後には活発な子供になるに違いない。
写真
by H.M. デジカメ