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mexico lindo

Mexico City 建築好きの聖地、ルイス・バラガン邸と仕事場

2020.05.13 00:55

メキシコシティ---。

その都市は、中央高原のグアナファト州、レオン市という片田舎に暮らす私にとっては大都会。ここに来るまで、生まれてからずっと東京に住んでいたというのに、3年も都会生活を離れると、人はいろいろ忘れてしまうものなのだ。


メキシコシティの人の多さ。ひたすら渋滞する道。体に悪いに決まっている、ほこりっぽい空気。それだけ書いたら、メキシコシティに誰も行きたくなくなるでしょ、ってなりますが、それ以上にシティ(メキシコシティを以下シティと略します)には、シティならではの抗えない魅力がある。


昨年マガジンハウス刊の雑誌『popeye』が1冊まるごとメキシコ特集をしていた。もちろん購入&熟読。読み応えがあって、すごく面白かった。が、いかんせん、年齢的に、「行きたい!」とヒットするものが少なかった、、、(そりゃそーだ!)


そこで、このブログでは何回かに分けて、大人の女性目線でシティのおすすめスポットを紹介できればと。


今回ご紹介するのは、メキシコが生んだ20世紀建築界の巨匠、ルイス・バラガンの聖地だ。



ルイス・バラガン邸と仕事場

Casa Luis Barragán 


ルイス・バラガン建築を見るとしたら、まずは、世界遺産にも登録されているこちらから。


ルイス・バラガン邸と仕事場は、1948年にバラガンが建てた、コンクリート作りの三階建て建物。総面積は1161 m2 。


メキシコシティの中心地にあるチャプルペテック公園のすぐ近く。”本当にこんなところに?”といぶかしく思うような、細くて寂しげな路地に入っていくと、それはある。

外観はこの通り、特に何も特徴のないコンクリート壁。大きな看板はなく、目印は鮮やかなイエローのベンチと観光客らしい人の姿。ちなみに、ここへの入館は完全予約制で、入館時間もきっちり決まっているので、建物の外で人が行列している、ということはない。


見学のシステムについて説明すると、インターネットにて事前予約する際、スペイン語ツアー、英語ツアー、そして日本語ツアーが選べる。そう、なんと、日本語ツアーがあるのだ。それだけ、ここを訪ねる日本人が多いのだろう。私も絶対来たかった。


私は、私の妹と、とある日の午後3時過ぎの日本語ツアーに参加したのだが、参加者は私たち2人のみ。そこに日本語を話すメキシコ人の女性ガイド(建築を勉強している大学生のバイトさん?わからないけど。)が1人ついてくれる。完全プライベート。贅沢だ。

入ってまず、目にするのが、世界遺産登録されていることを記したもの。2004年に登録された。

そして、ついにバラガン邸内部へ。

雑誌やネットで見た光景と、また同時にあまり見たことのなかった空間を目にすることができる。


写真上は、有名なエントランス部分。空間を走る黒い階段と鮮やかなピンクのアクセントウォール、そして、最小限の家具あしらい(ちなみにすべての家具はバラガンデザイン)。


極めて静謐、なのに大胆なほど印象的。はー。これぞバラガン。うっとり。

こちらはベッドルームに隣接する小さなリビングスペース。美しい家具、アート、オブジェ、窓の外のグリーン。プライベートなスペースだけあり、とても心地のいい空間。

写真上:インテリアの参考にめちゃくちゃなる。アートと家具のバランス。

簡素なベッドルーム。

バラガンは敬虔なクリスチャン。家のいたるところに、キリスト教にまつわる絵やオブジェがあった。

こちらは屋上スペース。

周りの世界を遮断するピンク色の高い壁、その上からのぞく青い空。この空にバラガンは何を見たのだろう。

ある場所から見ると、無彩のコンクリート壁を真ん中に、ピンクの壁とオレンジの壁が見える。グラフィカルなシルエットは、アートそのもの。

メインのダイニング&リビングスペース(写真上と下)。天井が高く、大きな窓からは庭の野性的なグリーンがのぞく。私が訪れた期間は、ペーパーアーティストの展示を館内でしていて、この部屋の窓にも(窓の右下部分)グラフィカルなペーパーアートがあしらわれていた。うーん、何もない状態で見たかったかも、というのが、正直な感想。

写真上:右奥にあるのは、本をディスプレーする棚。もちろん、バラガン作。

書斎スペース。

大きな格子窓がアクセントになった空間。静謐な時間が流れている。

鮮やかなイエローのキャンバスが飾られたコーナー。これは祭壇だそう。なんてスタイリッシュなんだ! 左に配されたウッドの階段がつくるグラフィカルなラインが、また秀逸。

ここにきて、都会の中のジャングルのような、中米産の植物が生茂る庭を撮影し忘れたことに気づく。不覚、、、。ぜひ、実際に足を運んでみてほしい。


植物が育ち、形を変える庭は、バラガンが作った当初の庭とはずいぶん表情を変えたのではないか。それとも、全部想定通り? いろいろ思いをめぐらす庭だった。


写真上は、庭から仕事場へ移動する際に通る一角。迫力のある大きな壺が静かに並んでいた。

バラガン流噴水。ワビサビすら感じるシンプリシティ。

バラガン邸と仕事場、というくらいだから、ここには仕事場があるのである。そして、写真上が仕事場。今はアートイベントなどを開催するスペースとしても使用しているらしい。極めてシンプルな空間に、イエローの天井が効いている。この時は、バラガンの友人だったアーティストのキュートな絵が飾られていた。



ここは自分のために自分で建てた家。だから、オーダーを受けて作った他の建物より、より彼のパーソナルな部分が反映されている場所に違いない。


写真を見ただけでも、心動くバラガン邸だけれど、実際に足を運ぶと、もっと見どころがあり、五感で感じるものがある。


なぜ、地球の反対側で生まれた建築家に、私たち日本人が惹かれて止まないのか。その答えがここに来ると、わかる気がする。



ルイス・バラガン邸と仕事場

Casa Luis Barragán 


Dirección :General. Francisco Ramírez #12,

Colonia Ampliación Daniel Garza,

 11840 Ciudad de México, CDMX


http://www.casaluisbarragan.org

ツアー予約の詳細はこちらのホームページへ。日本語ページがあり、日本語にてメールで予約ができます。(旅行シーズンなどは混雑するので、数ヶ月前から予約した方がよいです)

日本語ツアーは、月〜金 午前11時と午後3時45分の2回。12歳以下の子供の入場不可。

ツアー代1人 400ペソ+サービス料

写真撮影希望の際は、別途500ペソ。

※以上の情報は変更する場合もあるので、ホームページをご確認ください。

※2020年5月12日現在、Covid19の感染拡大防止のため、無期限で休館中。