Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

中山治美の”世界中でかき捨てた恥を回収す”

マルティニークでも洗礼を受ける

2020.05.13 13:48

 すっかり更新が途絶えました。1994年のGWにカリブ海のマルティニーク に行った時の続きです。

宿泊先はリゾート・ホテル。部屋はオーシャン・ビュー。ランチは、ビーチサイドで、シーフードにワインで優雅に。

 夜はホテルのレストランで、マルティニーク・バレエ団のダンスを見ながらのブッフェに舌鼓。


 優雅ですねぇ〜、今思えば。

 でも当時は20代半ばの小娘。茨城の田舎で、中流家庭の下の下で育った私にゃリゾート施設での過ごし方がてんで分からない。一応、周りのおフランス人を真似て、ビーチで読書なんてシャレこんで見たけど、なんだか落ち着かなくて全然文字が頭に入ってこない。ぶっちゃけ、暇だー。

 そもそも私は取材に来たのであった。ネタを探さねばとタクシーに乗って島の繁華街フォール=ド=フランスへ繰り出す。ミュージアムになっている、ナポレオンの最初の奥様ジョセフィーヌの生家へ行ったり、

繁華街をぶらついてみたり。

 しかし参った!暑いのだ。おまけに湿度も高くて、すぐに喉がカラカラになる。飲み物はお腹がすぐにタプタプになってしまうので、ここはケニアで学んだフルーツでの水分補給だ。市場をのぞくと、見るからにジューシーなスイカを発見。でも一人で食べるには大きいので、お姉さんに交渉する。

私「この半分の量でください」

お姉さん「ダメ」

 速攻で却下。当時の私はまだか弱かった。渋々購入。木陰に駆け込み、すぐにかぶり付く。スイカの水分が全身に広がっていくぅ〜。甘くて美味しい〜と、夢中でしゃぶりついていたら、目の前におじさんが立ち止まった。

「食べにくそうだから、切ってあげようか」

 へ?と思いつつスイカを差し出すと、おじさんはジーンズの後ろのポケットからさっとナイフを取り出し、半分に斬ってくれた。気づいたら、口の周りはスイカでドロドロ。道端で、一心不乱にスイカにかぶりついている東洋人を哀れんでくれたようだ。お礼にスイカを半分あげようと思ったら、「いらない」って言われたけど。食べかけだもん、当たり前か。

 スイカでパワーチャージしたところで、再び街ネタ探しの取材へGO! 

ケニアでマサイ族にカメラを向けたら撮影代を要求された教訓を生かして、こっそりパシャ!パシャ!

 ところが、花屋のおばさんに呼び止められた。


「はい、5FF(約100円)。撮影代ね」

 くーっ!! バレてたか!

 でもなんでしょ?この爽やかな敗北感。やっぱり私には、リゾート施設より市井の方がスリリングでおもろいわぁ。