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マヤ

『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(新生41)

2020.05.14 14:00

外苑前駅から徒歩2分、南青山の一角にある画廊で5時に待ち合わせした。




「臣には内緒で…」




隆二のその言葉だけで廉は、何日か眠れない夜を明かした。




画廊にはまだ、隆二の姿はなかった。




鏡のように磨かれたショーウィンドウに自分の顔を映してみる。




「うわ、酷い顔だ…クマできてる」




ショーウィンドウ越しに隆二の姿が見えた。




電子タバコをふかしながら、渋い表情でこちらに向かってくる。




その目は真っ直ぐに廉だけを見つめている。




それだけでへなへなと、腰から崩れ落ちそうになった。




いつの間に、こんなに好きになってしまったんだろう。




相手が同性でも、走り出した想いは止めようがない。




以前、理愛が話していた。




私たちの種族は子孫を残すために、手段を選ばない傾向がある。




たとえ相手が異星人であっても、更に同性であったとしても、一度好きになったら目的を果たすまでは決して諦めない。




多分、遺伝子レベルでそう行動するように刷り込まれているのだと。




刷り込まざるを得ない位に、母星の少子化は深刻な問題のようだ。




恋の相手が異星人の上、同性であったとしても、母星にはお互いの性を混ぜ合わせて、人工的に受精させる事ができる高度な文明がある。




同性同士の子供も望めるのだ。




最初はただ、乃愛の影響を受けただけだと思ってた。




乃愛の淡い恋心が、自分に伝染しただけで、時が過ぎれば薄れていくに違いない。




実際に映像ではないリアルな隆二と会ってみて、更に想いは強くなった。




大切な人や家族がいると解っていても…




一緒に過ごす時間が長くなるほど、思いは募るばかりだった。




「こんばんは」




「待った?」




「いえ、さっき着いたばかりです」




まともに目を合わせることが出来ない廉は、ゆっくり視線を落とした。




大きくはだけた黒いシャツの胸元に、ゴールドのチェーンが揺れている。




『俺の隆二に手を出すなよ』




あの時の、臣の台詞が脳裏をよぎった。




「入ろ」




隆二に促されて後に続いた。




これは、略奪愛なんかじゃない。




隆二さんと、ただ絵を見に来ただけだ。




次の瞬間、我が目を疑った。




隆二が振り返って、廉の手を握ったからだ。




つづく