エディ・トランク #1 / 新作発売延期は妥当か?
近年では、SNSや音楽ニュースサイトを通じて日本でも知名度が増している感のあるエディ・トランク氏。
簡単に言うと、アメリカ版マサ・イトウ的な方ですが、伊藤先生よりは全然毒を吐きますね(笑)
今回は、いつもインタビューする側の彼が、「相次ぐ新作リリース延期」について訊かれたインタビューの訳をお届けしたいと思います。
I: インタビュアー
E: エディ
アルバム発売延期は正解?
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I: 現在のコロナの外出規制や自粛下では、レーベルとの契約があっても音源も出せなければツアーにも出れないよね。
特に、若いバンド達はこのままネット上にどんどんコンテンツをアップして、事態がどうなるのかを見た方が良いのか?それとも何か他にアドバイスはある?
E: それに関して、同じような話があるんだ。食い違いというか、議論というかね。
もし、レコーディングが完了している作品が手元にあるならば、今はそれをリリースするタイミングとして正しいのか、そうじゃないのか?という話だ。
僕個人は、今はその時じゃないと思ってる。
なぜなら、それに付随するツアーも出来なければ、ラジオ局を周るプロモーションツアーも出来ないからだ。(*アメリカのマーケットでは、いまだにラジオの影響力が強い)
作品を配信だけでなくCDとして発売するにも、CDショップは店を開けられないし、そもそもそこに商品が届かない。
あとAmazonも、現段階では生活必需品の配送を優先的に行うことを発表してるだろ。(*現在は少しずつ正常化にむかっている模様)
その作品が配信であれCDであれ、人々の意識は今コロナに集中しているから、バンドが作品を買ってくれ!と言ってもそういう気分じゃないわけさ。
その一方で、もう一つ僕が持っている目線は、今なら誰もが家にいて、PCやスマホをいじりながらずっとオンライン状態だ、という点。
みんな楽しみを求めて、一日中新しいものを探してるんだよ。その意味では、自分の楽曲を提示するには素晴らしいタイミングと言えるだろう。
彼らは普段より長く家にいるんだから、キミの音楽を視聴してもらえるかもしれない。
「購入」は別の次元
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しかし、それを「買ってもらう」となると話は別だ。そこはハードルが上がるはずだからね。
コロナのせいで作品の発売を延期したアーティストを僕は山ほど見てきた一方で、「オレ達は出すぜ。もう組み込まれたスケジュールだからな」と言って、予定通り出したアーティストも一握りながらいたよ。
I: あなた自身がそのバンドの立場ならする?
E: 僕なら、延期するね。1~2曲だけ公開なり配信なりして、後はSNS上での活動だな。
今多くのアーティストがやっているように、家から弾き語りの配信やったり、インスタグラムに投稿したり…そうすれば、定期的にオーディエンスの目に触れられるからね。
プロモーションはパッケージ
でも、新作となるとその取っ掛かりも難しい。そのためには全ての歯車がしっかりとかみ合う必要があるんだ。
アーティスト自身がインタビューのためにラジオ局に行かなきゃいけないし、リリースパーティーやライブなどのパフォーマンスも必要だ。雑誌や音楽情報サイトの取材だってある。
プロモーションはそういった様々な要素のパッケージなんだ。
僕はSirius XM で番組をやっているけど、局の建物の中ではあらゆるジャンルのアーティストと日々すれ違い、彼らは1つの局からまた別の局へと出演をこなしていく。
現状ではそういったことはできないし、TVのトークショーだってそうさ。
多くのトークショーでは番組の最後に歌手のパフォーマンスがあるけど、そっちは現状もっと難しい。
こういった理由から、僕なら新作のリリースは控えるね。
続く…