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◇細心落墨 大胆奏刀

2020.05.14 23:05

 すごく考えるようになりました。

よく考えてから動くようになりました。

盲導犬・ミッケルとの生活で。

前にも書きましたが、毎日盲導犬・ミッケルのお世話をさせていただいています。 

(笑)

朝起きてから、食事→排泄→散歩→ブラッシング・・。

時間と段取りを考え、昨日よりも今日。 

今日よりも明日で、ミッケルと一つひとつ一緒に成長しています。

ちょっと前まではそうでもなかったのですが、この時期ブラッシングをすると、冬の

アンダーコートの柔らかな毛が大量に抜けます。

ある日ふと床を触ってみると、足下に抜けた毛が積もるほどたまっていて、驚きまし

た。

次の日は、手が届く近い所に掃除機を用意してブラッシングを始めました。

作業の途中、積もった毛を掃除機で吸い込むと、ヒューッと気持ちよく吸い込んでく

れ、快感でした。

しかし、何日か続けてやっていると、掃除機のゴミ袋が満杯になり、吸ってくれなく

なってしまいました。

それで袋を交換してからは、先に手探りで集めた毛をゴミ袋に捨てた後に、掃除機を

使うようになりました。

これは小さなことですが、後のことを考えて、今、出来ることを考える習慣が身につ

いてきたと思います。



さて話は変わりますが、昔私は趣味で「篆刻」(石のはんこ作り)をやっていました

石の面を真っすぐに削って、下書き(鏡文字の反対で書きます)をしてから彫刻刀のよ

うな刀で文字を彫ります。

途中、気持ちとしては「早く彫りたい」と思うのですが、焦ってはいけません。

当時出会った言葉に

『細心落墨 大胆奏刀・さいしんらくぼく だいたんそうとう』

があります。

これは篆刻をする時に「細心の注意と時間をかけて墨入れ・下書きをやりなさい。 

そして、一旦下書きが終わったら、大胆に彫り進めなさい」という教えです。

最初の頃、早く彫り始めたいので、下書きをおろそかにして「まあ、細かいところは

彫りながら修正しよう」で、彫り始めると、いくら時間を掛け、頑張っても気に入った作品は出来ませんでした。

結局、気に入らなくて、またやり直しということがしばしばでした。

それが、この言葉を知ってからは下書きに充分な時間を掛けるようになりました。

本当に気に入った下書きが出来ていたら、彫っていて少々ミスをしようが割れてしま

おうが、それらが全部「味」になって、気に入った作品に仕上がりました。

一事が万事で、何事も準備が大切だと、この篆刻を通じてしっかり学びました。

だから今、ミッケルとの生活も、日々よくよく考えて動くようになって来ました。

一方のミッケルも。

ブラッシングの途中で、たまった毛を掃除しようと「はい、ちょっとどいといてっ」

と言うと、さっと席をはずすミッケルがとても賢くて、可愛いです。

毛を拾い集めて捨て、

「はい、続き。こっち来て」と言うと、またちゃんと席につくミッケルが、これまた愛おしいです。 

にこっ!

※写真は5月の始めに写した散歩風景です