足関節可動状態
そもそも、僅かしか動かさない可動状態テストなので、一般の人から見たら、これで何がかわるのか?
と疑問に思うかもわかりません。
しかし、この小さな動きが、足だけに留まらず、腰や肩首に大きく影響しています。
よく考えてみてください。小さい動きですら異常があるのに、大きな動きが正常に動くと思いますか?
常識的に考えてもありえないことだと思います。
もの凄く単純なことなのです。
小さく動かしても異常なのに、大きく動かしたら、もっと異常になりませんか?
鍼灸の立場から考えると、この異常を起こしている局所の経気(穴の集まりで部分的な形態の穴群)が脛骨の中央にあらわれています。
つまり、ここの異常がなくなれば、左足全体に影響するということを意味しています。
この局所経気には、複数の経脉が関係し、一筋縄ではいきません。
胃経、三焦経、心包経、胆経、肝経、再度胆経、膀胱経、腎経のそれぞれの部位と関係しています。
経脉の右だったり左だったり、上中下に異常な穴の反応があり、それを意識で刺激しています。
つまり、思うという刺激だけですが、それでも患者さんは、動きに変化があったことを自覚します。
いかに僅かな刺激で、身体を変化させることができるのかということです。強い刺激でないと身体は変化しないと思うのは単なる術者側の幻想です。
小さい動きを変化させるのに強い刺激はいりません。
まずは、小さい動きからよくしていかないと、大きな動きはできないということです。
症状の改善に囚われていると、どうしても強い刺激になります。
何が最善かは、症状の緩解とは無関係です。
この方も、術者から見ると肩も首もパンパンな状態であり、ちょっと一筋縄ではいかない状態の患者さんです。普通のやり方をやれば、苦労しても効果が少ないタイプです。
重要なことは、身体を柔らかくすることではなく、身体を楽にすることです。
身体が柔らかい=健康
というのも単なる幻想です。右5度しか曲がらない人が左が30度曲がったら異常です。前屈は軽くできるのに、後屈はできない人は異常です。
後屈がある程度可動状態が良くなると、前屈の可動状態が制限されます。
その状態が身体が軽いという状態です。
なんでも柔らかくすれば良いという訳ではありません。
無理やりというのは、術者の自己満足です。一見良くなったように見えて、全体が余計に緊張するということが起こります。柔らかくなることで悪くなる。ということもありえます。
どれだけの術者がそのことに気づいているか?