おむつ 〜野口晴哉著「叱言以前」〜
2020.05.20 01:25
《野口晴哉著 叱言以前より》
おむつ
いつ迄もいつ迄もおむつを当てられている子供がいるが、子供が排尿を教えないのだろうか。いや決してそうでは無い。
親が排尿の要求を無視しておむつに任せ過ぎたからだ。小児のせいでは無い。
小児はおむつが濡れるので泣くのだと大人は思い込んでいるが、小児は尿が溜まるとそのことが不快になって泣くのだ。
泣いてそのあとに漏らすものなのだ。
それは生まれた最初の日からそうなのだ。遅くも一週間経れば明瞭に漏らす前に泣く。泣く前に不快な顔をする。その時にそっとおむつをめくってやれば、しばらくして排尿する。
開けて排尿する方が快いことは赤ん坊でも判る。それ故表現を日増しにハッキリさせる。三週間も経てば、その時に抱いて排尿させればするようになるものだ。
おむつを濡らすのは親の不注意だ。小児のせいでは無い。それを小児に叱言を言うと反って教えなくなる。排尿するのが悪いことだと思い込むからだ。
これは三ヶ月を過ぎるとハッキリしてくる。要するに排尿を教えるのは尿の溜まるのを不快に感ずる
生理的要求の本能的表現であるのだから、おむつをたよる気持ちを親が捨てれば必ず判ることなのだ。