【今夜の一冊☆グルニエ『孤島』～調布FM「神泉 薫 Semaison 言葉の庭へ」】

まもなく8月。

そろそろ梅雨明けでしょうか。

晴れやかな青空を願う毎日です。

皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。

毎週木曜日放送のラジオ番組のお知らせです。

「神泉薫　Semaison スメゾン　言葉の庭へ」

スメゾンとは、フランス語で種まきを意味します。

人と人、人とことばを結んでゆく「ことばの種まき」をテーマに読みつがれゆく本のご紹介、そして、詩の世界をお送りしています。

今夜ご紹介する一冊は、

ジャン・グルニエ作・井上究一郎訳『孤島』（筑摩書房・ちくま学芸文庫／2019）

フランスの小説家,思想家、グルニエの哲学的エッセイ。

教え子であるアルベール・カミュに影響を与えた人物としても知られています。

今、カミュの『ペスト』がベストセラーになっていますね。

伝染病ペストに襲われた市民たちの苦悩、人生における不条理を描いています。

この作品は、「島」をひとつのテーマに、幼年期を過ごしたブルターニュの海の印象、子どもの頃感じた虚無の感覚、愛猫ムール―の生と死、ヴェネチアやナポリで過ごした日々、地中海への憧れなど、人生の大切な瞬間について綴られます。

生きるとは何か、豊かさ、哀しみ、恐れ、充実、など、哲学的問いを、光と風満ちる日常の風景から導いてゆく、知的な香りが魅力の一冊。