病気と私 54 腱板断裂と変形性股関節症
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よろしくお願いします。
2005年~(38歳)
----- 仙台・東京 -----
急に左の肩が上がらなくなってしまった。
力が全然入らないのだ。
最初は、内出血によるものと思い、製剤を使ってみたのだが、症状が全く改善されず、右股関節の痛みと左肩の痛みとで、寝ることすらできなくなってしまった。
若い頃から松葉杖を使い、近年は車椅子をずっと使っていたので、知らず識らずのうちに、肩に負担がかかっていたのだろうと思う。
釣りにも行かなくなっていたので、全身の筋力が落ちていて、関節に掛かる負担がさらに大きくなっていたこともあったと思う。
体位をどう変えても、右股関節の角度と、左腕の位置をうまく調整できずに、痛みが消えるような状態にできないのだ。
股関節のロック状態は、布団を丸めて抱いて寝ることである程度回避できていたのだが、左を下にして横に向くことができなくなり、右を下にすると、股関節が圧迫されてしまうため、自然と腹ばいのような中途半端な姿勢になり、とても眠りにつけるような姿勢にはならなかった。
座位に近いような形で上半身を斜めにして、起きあがった状態で寝るようになった。
この姿勢では、いくら斜めにしているとはいえ、股関節には常に体重がかかるため、同じ体位を続けると右足がうっ血してしびれが出たり、股関節自体にもに痛みが出たりと、何時間も眠り続けることはできなかった。
自分ではどうしようもなくなり、検査入院と言うことで、数日有休をもらい、西多賀病院の整形外科医に診察をしてもらった。
股関節を診てもらっている先生とは別の先生で、主に肘関節を専門としている先生だということだった。
最初にレントゲン撮影をしたのだが、骨には若干の変形は見られたものの腕が上がらなくなったことに対するはっきりとした原因が特定できなかったため、MRIによる再検査をすることになった。
その結果、左肩の腱板の4本あるうちの3本が切れており、これでは肩が上がるはずがないと言われた。
「健康な人が、怪我などで突然ぷっつり切れた状態なら引っ張って縫い合わせることは可能だが、君の場合は、内出血を繰り返し、腱板自体がボロボロになって切れたもので、それを縫うことはできないな」と言われた。
内出血を繰り返さないようにしていれば、状態は安定して痛みはなくなると思うけれど、腕が上がるようにはならないという診断だった。
同じ病気の後輩が、やはり肩関節の痛みで入院していて、彼の症状は私の股関節のように肩関節がロックしてしまうようになったといことだった。
そうなると激痛で動かせなくなり、自分ではどうすることもできないため、通院してリハビリの先生に動かしてもらうより方法がなかった。
ロックする度に通院して製剤を使用し、どうにか動かせる状態に戻してもらうのだが、回数が頻繁になってくると、仕事にも行けなくなり、このままではどうしようもないと言うことで、主治医もだいぶ頭を悩ませていたそうだ。
自分で車を運転して通院する以外に病院に来る方法もなかったため、痛みをこらえて病院まで来るのは相当大変なことだったと想像できる。
血友病性関節症に詳しい医師が福井病院にいるということで、主治医から一度診察してもらってはどうかと言われた。
仙台から福井病院までは相当の距離があったのだが、自分で行くと言って、自ら車を運転して診察を受けに行った。(彼も車椅子を使っていたので、電車で行くのは困難だったのだ)
肩関節というのは、他の関節とは大きく機能が違っていって、いわゆるオスメスのような形で噛み合っている関節ではなく、筋肉や鍵盤と言った色々な組織に支えられ宙に浮いているような形で自由に動く関節なので、骨の変形を整えるだけの手術では状態が改善するかどうか分からないということだった。
それと、彼は私の若い頃同様、インヒビターがあったため、手術中の止血管理がかなり困難になることも予想された。
結果的には、現状では日常生活もままならないということから、関節内の洗浄と、若干の骨形成術をすることで、関節がロックしない状態にもっていこうということで、手術を受けることになり、いったん西多賀病院まで戻って来た。
福井病院の先生は、血友病の内科的な治療にも詳しい整形外科医で、当時は全国を探しても止血管理も含めてトータルで血友病の手術プランを作れる医師は他にはいなかったと記憶している。
彼の手術は、止血の問題も含めてスムーズに治療が進み、仙台に戻ってきたときには、肩はすんなりと動くようになっていた。あとは、強引に力をかけたりせず、慎重に筋トレをしていくことで、回復に向かうでしょうということだったらしい。
私は、彼の話を聞いて、肩はもうどうしようもないと言われたが、股関節も限界に来ていたことから、主治医に相談して、私も福井病院の先生に股関節の相談をしに行きたいと話したことろ、紹介状を書くので行ってくるといいといわれ、連絡をとって診察の予約を取ることにした。
(福井病院の先生=T先生)
T先生は、東京大学医科学研究所で、月に数回診察を行っているので福井まで来るよりは、そっちの方が近くていいのではないかと言われ、東京の病院に診察に行くように予約を入れてもらった。
西多賀病院から過去のレントゲン写真を借りて持っていき、診察の前にもレントゲン撮影をして診察を受けた。
T先生の診察はとても丁寧だった。
一般的な整形外科の診察は、レントゲンの写真を見て、手術するしか方法はありませんね。止血管理のできる病院でやってもらうしかないです。といった程度の、数分で終わってしまうことがほとんどだったので、ゆっくりと話しを始めたその雰囲気だけでも、あれ、と感じるものがあった。
T先生は、レントゲン写真を見るだけではなく、私の体の関節の動きを細かく見てくれて、その後で今後のことについて話を始めてくれた。
股関節は何もせずにじっとしていただけでも痛みが持続していた状態だったし、レントゲンでは軟骨はほとんどなくなっており、骨盤に骨頭がくっついているような状態だった。
手術は可能で、術式は二種類あります。
セメントで大腿骨に人工骨頭を固定する方法と、セメントは使わず、大腿骨の成長を待って人工骨頭と密着させる方法です。
いずれにもメリットデメリットがあり、可能ならばセメントは使わずに行いたいが、骨の状態によってセメントを使ったほうがいい場合もあるので、手術が決まれば、更に必要な検査をさせてもらいます。
それと、足首の関節の変形も修正しないと、股関節が正常に機能するようになったとき、歩行がスムーズにできなくなるので、同時に足首の関節の骨も少し削ったほうがいいです。
人工股関節の寿命は10年から15年で、再手術は可能ですが、最初に手術を行うより難しい手術になり、術後の成績も、最初に手術をした時のように劇的に良くなるということはないかもしれませんが、それはあくまでも、今現在の話で、15年も先になれば、新たにどんな人工関節が作られるかわからないし、今から10年間の生活を考えて、手術を受けるかどうか、判断されたらいいと思います。
先生の診察は1時間にも及んだ。
私は、何十年も一緒にいた主治医とさえ1時間も続けて話をしたことはなかったし、関節という一部分の治療の話ではなく、患者の生活そのものを考えてくれる先生の姿勢にはとても驚いた。
福井病院はとても遠いし、手術自体は私でなくともやれることなので、もう一度仙台の病院に戻ってこれまで見てくれていた整形外科の先生にも相談してみてくださいと言われた。
主治医以外にも、こんなにも患者の立場で診てくれる医師がいたことにとても驚いた。
その上、何かあればいつでも電話をかけてくださいと言われ、感激したままに診察の時間を終えた。
止血管理も含めて手術をしてくれる、その上、患者のライフスタイルまで考慮にいれたアドバイスをしてくれるのだ。
私のように重度の関節障害を持つ血友病患者にとっては、神様のような医師だと思った。
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