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富士の高嶺から見渡せば

文政権は「慰安婦ビジネス」の実態を釈明すべきだ

2020.05.21 16:36

<ついに強制捜査となった「慰安婦ビジネス」>

ソウルの地方検察庁は5月20日、「慰安婦のための支援活動を行ってきた」と自称してきた韓国の親北左派系の市民団体「挺対協」(挺身隊問題対策協議会)と「正義記憶連帯」(「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」)のソウル市内の事務所に家宅捜索に入った。不正経理問題などで市民からの数多くの告発を受けて、ついに強制捜査に踏み切った。

同じ日、ソウルの旧日本大使館前の慰安婦少女像の傍らで毎週水曜日昼に行われている「水曜集会」を見にいってみた。新型コロナウイルスが蔓延する最中もネット中継で行われてきたという集会は、この日で1440回目を数えるそうだが、集会の参加者は若い女性など10数人なのに対し、その数倍に達するマスコミと警察官ばかりのほうが目立った。慰安婦支援団体の集会のすぐそばでは、少女像の撤去を求める市民グループや、慰安婦支援団体の不正を糾弾する人々が同じく集会を開いていたが、警察の隊列が取り囲み、水曜集会のグループとの間に割って入るなど、騒然とした雰囲気だった。


それにしても、慰安婦をめぐる韓国の「市民運動」、その実態は慰安婦の支援を名目にして市民運動を装った「慰安婦ビジネス」でしかないということが白日の下に晒されることになったが、その慰安婦を利用するだけ利用したこの団体の活動は、もはや終焉を迎えざるを得ない状況を迎えている。挺対協と正義記憶連帯に関わる寄付金の不正流用問題や国からの補助金を含めた団体の不正経理問題など、その後もつぎつぎと新たな問題が発覚し、疑惑が次から次にと露呈するなど、もはや収拾のつかない状態になっている。

そもそも挺対協は、正義記憶連帯に吸収統合され、活動を停止していたと皆が思っていたら、法人としては今も存続し、しかも二つの団体が寄付金や国の補助金をそれぞれ受け取っていたことがわかり、二重取りではないかという指摘も出ている。今も存続する挺対協は、代表を退いたはずの尹美香(ユンミヒャン)氏が一人で運営し、表向きは慰安婦を主なテーマにした「戦争と女性の人権博物館」の館長として従事し、国からの補助金を受けているらしい。

<家族ぐるみの公金の私物化>

挺対協の主務官庁は外交部、正義記憶連帯は国家人権委員会だが、二つの団体は16年から19年にかけてあわせて13億4300万ウォンの国庫補助金を受給したが、国税庁に示した公示書類で補助金の項目は、正義記憶連帯が19年に5億3800万ウォンと記載したのを除き、挺対協は16~19年ともすべて補助金はゼロと記載し続けた。

聯合ニュース5/15「韓国慰安婦支援団体の挺対協 正義連に統合後も補助金受給で物議」

挺対協が財閥企業から10億ウォンの資金を受け、慰安婦と若者が交流する場として2013年に購入した住宅は、ソウル市内から車で1時間以上も離れていることもあって、挺対協関係者のペンションとして使われることはあっても、これまで慰安婦は誰ひとりも使ったことがないという。もともと、尹美香氏の夫の友人で、今回の国会議員選挙で当選した与党議員から紹介され、周辺相場の3倍の7億5000万ウォンで物件を購入した上で、購入・改築費用の半分にも満たない4億2000万ウォンで、ことし4月に転売されていたことが明らかになった。さらにこの住宅の管理人は、尹美香氏の父親が務め、毎月140万ウォン以上の報酬を受け取っていたことが明らかになった。「慰安婦」の名前を冠した公費の私物化、家族ぐるみの公費の流用もいいところだ。

私物化といえば、挺対協が集めるさまざまな寄付金は尹美香氏の個人口座に振り込まれるという慣行が公然と行われ、その寄付金の使途もほとんどが不明になっている実態がある。

たとえば慰安婦の少女像を地方都市(安城市)に設置するとして集めた募金や、去年1月亡くなった元慰安婦(金福童さん)を弔う市民葬を行うとして集めた開催費用や弔慰金についても、尹美香氏の個人名義の口座番号を使って募集していた。しかも与党「ともに民主党」の議員はSNSに尹氏の個人口座を掲載したうえで、「党として議員たちと共に支援に力を集める」と書き、党ぐるみで『個人口座寄付金集め』を奨励していた。

朝鮮日報5/20「安城の少女像設置推進委も尹美香氏の個人口座で寄付金集め」

<世界を相手にした寄付金詐欺>

「正義記憶連帯」は2019年6月、アフリカのウガンダに元慰安婦の名前を冠した「金福童(キム・ボクトン)センター」を建てるとして、韓国国民からの寄付を募った。正義記憶連帯は「現地に確保した用地」だとして土地の写真や建物の設計図面をホームページに掲載し、完成までには2億ウォン(約1760万円)かかるとしたうえで、昨年末までに、韓国国内の100以上の団体や個人から4300万ウォンの寄付を受けたことを明らかにしていた。

しかし、現地の主管団体(「ゴールデン・ウーマン・ビジョン・ウガンダGolden Women Vision in Uganda=GWVU)の代表(アチャン・シルビア氏)は朝鮮日報の取材に対し、「世界のさまざまな団体からの寄付金を受けて『内戦生存者のためのシェルター』を建てるための土地は確保したが、『金福童センター』を建てるという韓国側の提案は最初から拒否してきた」と明らかにした。

ところが正義記憶連帯は今年1月28日に「日本政府の不当な介入で金福童センターのウガンダでの建設を中止することになった」と明らかにし、5月19日の会見でも、「(金福童センターの)用地を約1200万ウォン(約100万円)で確保したが、ウガンダ政府が『日本』や『金福童』という名前が入っていることを問題視した」ためとして、センター建設が失敗に終わったという趣旨の説明をした。

なぜか、突然、日本の名前が出てきて、日本がこの計画に横槍を入れ「不当に介入」した結果、計画が頓挫したかのような話になっているが、日本が横槍を入れなければならない理由がどこにあるのか?ウガンダの主管団体の代表も朝鮮日報に対し「日本政府の介入で計画がなくなった訳ではなく、最初から韓国側の目的が違ったためだ」と答えている。そして、正義記憶連帯がウガンダの団体の名前を出して寄付金を集めたことについて「何も知らされていない」「むかむかする(disgusted)」と言ったという。

朝鮮日報5/20「ウガンダに「金福童センター」建設、正義記憶連帯の怪しい募金

この問題はすでに、日本やウガンダ政府を巻き込んだ外交問題にもなっているわけだから、韓国外交部が前に出てきて、日本の誰が口を挟み、どのように介入したのか、その真偽を明らかにし、詳細な経緯をつまびらかにすべきだ。

長年、慰安婦問題に取り組んできた韓国挺身隊問題対策釜山協議会の金文淑(キム・ムンスク)会長(93)は、挺対協の尹美香(ユン・ミヒャン)元代表について、日本大使館前での「水曜集会」に募金箱を持ち込んだのは尹氏だ」と語り「慰安婦でカネを稼いだ」と批判した。さらに「尹美香氏が代表になって以降、挺対協は慰安婦被害者のための団体ではなく、被害者を前面に出して金もうけをする団体になってしまった」と主張している。

朝鮮日報5/20「水曜集会に最初に募金箱持参した人物が尹美香」

<個人の問題として突き放す与党と文政権>

先の国会議員選挙で与党の比例代表候補として当選した尹美香氏について、与党「ともに民主党」の議員の間では、「会計上の問題を透明にする必要があるが、難しい時期に慰安婦問題で戦ってきた市民運動家のこれまでに対する最小限の礼儀があるべきだ」(宋永吉ソン・ヨンギル議員)という発言がある一方で、別の与党関係者は「党は、尹氏個人の不正までカバーするつもりはない」としている。与党もさすがにかばい切れなくなっているのだろう。

一方、大統領府青瓦台は尹美香氏の個人的な問題だとして無関係を装うだけだ。しかし、尹氏をここまでのさばらせたのは文政権の責任であることは明らかだ。2017年の大統領戦のさなか、文在寅氏はわざわざ慰安婦像を見舞うパフォーマンスをして見せ、朴槿恵前政権の慰安婦問題の解決に対する対処の仕方との違いを強調し、「親日積弊清算」をスローガンにすることで、政権の座を掴んだのである。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、2015年12月の日韓慰安婦合意の再交渉を公約に掲げていた。そして、17年12月、「日韓合意で慰安婦問題は解決しない」として、合意の事実上の無効を宣言し、同時に「被害者中心主義」を強調した。18年1月には李容洙氏や尹美香氏を青瓦台に呼び、「過去の政権による合意は誤りだった」と発言し、日韓合意の事実上破棄を宣言した。しかし、それ以後、日本が出資した10億円の扱いを含め、慰安婦問題をどう解決するのかの方策ないっさい何も示していない。つまり文政権は、日韓慰安婦合意をなし崩し的に壊しただけで、そのあとには何も残さず、この問題にはいっさい手も口もだしていない。これは日本に対して卑怯なだけでなく、元慰安婦のお年寄りたちにとっても不誠実きわまりない態度だ。

文大統領は、自身の大統領選挙戦では、慰安婦問題を重要な国政課題の一つだとし、挺対協などの支持を取り付けることに成功したにもかかわらず、挺対協の不正経理疑惑が浮上すると、青瓦台はこの問題を尹美香氏個人の問題として矮小化し、政権の責任は避けて通ろうとしている。

朝鮮日報5/20「慰安婦問題の後続措置を約束した青瓦台「尹美香疑惑、国政と無関係」

<慰安婦問題の永続化を狙う文政権>

現在、生存している元慰安婦は18人を残すだけとなっている。この人達の人生の総決算を含め、慰安婦問題の最終的な解決は、文在寅氏も尹美香氏もまったく関心はなく、むしろ元慰安婦の人たちがすべて鬼籍に入り、永遠の沈黙に追いやることで、慰安婦問題を未解決のまま永続させること、それこそがこの二人の目的だと思われる。

ところで、今回の問題の本質は、尹美香という一人の強欲の女性の「慰安婦ビジネス」の実態を暴くことでも、この女性が犯した個人的な不正にすべての問題を集約させ、その責任を追及することでもない。

慰安婦問題とは何だったのかを改めて問うことこそ、問題の本質でなければいけない。尹美香氏と挺対協が主張するように、当時、日本軍による朝鮮女性の暴力的な拉致や強制的な連行が本当にあったのかどうか、今回の事件をきっかけに改めて真実を明らかにしなければならない。

ソウルの旧・日本大使館前で5月12日に開かれた「反日銅像」つまり慰安婦少女像の撤去を要求する市民団体の集会で、チェ・ドッキョ共同代表は、今回の元慰安婦・李容洙氏の尹美香氏の不正告発は、「韓国の歴史を変えるとてつもない内部告発だ」とし、「李容洙氏は慰安婦ではなかった」とする尹美香氏の発言は「全世界を相手に国際詐欺、歴史詐欺を自ら行ったことを告白するものだ」と糾弾した。

おなじくこの集会で発言した国史教科書研究所の金柄憲(キム・ビョンヒョン)所長は「今回、李容洙氏の告発で始まった事態は、さまざまな金銭的な問題が浮上しているが、それらは核心から外れている。問題の本質は、慰安婦がはたして日本軍あるいは日本帝国主義の強制連行被害者なのかどうかということだ」とし、次のように発言した。

「被害者がいれば必ず加害者がいる。ところが慰安婦は日帝による被害者でも、日本軍による被害者でもない。慰安婦の女性たちに対する加害者は、貧しい朝鮮の親たちであり、人身売買犯たち、そして抱え主だ。恨みたいのであれば、貧しい朝鮮に生まれたことを恨まなければなりません。貧しい国は貧しい家に生まれた国民を守ることができなかった。貧しい親が子供達を守ることができず、モノのように売ってしまった。そのような恥ずかしい私たちの歴史を考えなくて、世界中あちこちに慰安婦像を建てて何が偉いのか。慰安婦が正義の化身ですか?慰安婦が何か平和の使徒でしょうか?国際的な恥さらしを、今私たちはしているのです。」

チャンネルfujichan「日本国大使館前反日銅像撤去記者会見」>

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