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ガイバーifストーリー・ロストナンバー・ゼクトール

2020.05.23 10:44

プロローグ


どうせ長くない命、最後は派手にいかせてもらう……。

よし、いくぞッ!

ファイナル・ブラスター・テンペスト!!

終わった……


エレゲン、ダーゼルブ、ガスター、ザンクルス 俺も今からお前たちの所へ行くぞ。


彼の肉体はギガンティックとの死闘の末にギガスマッシャーと太陽光により完全に霧散消失、消え果てた筈だった。

否、その復讐という使命とともに完全に消え失せたのだ。


・・・オレハナンダ。記憶すら磨耗しきっているらしい、朧気に感じる外気、地の感触。生の感覚を感じ、同時に耳障りな幼い少女の助けを求める声に男はゆっくりと眼を覚ます。視界に広がる荒れ果てた大地、俺の目の前に居るのは取り囲む複数の如何にも野蛮な人間達だ、どうやらこのガキが目的らしい。


いっしまとわぬ裸体は想像だに出来ぬ厳しい訓練により鍛え上げられ練り上げられたモノであり、それだけで周囲の人間達とっては驚異である。

恐れ知らずかバカ者なのか、ガキは助けを求めるように俺の背後に回り込む、眼が覚めて記憶すら無い、何もわからない状況で厄介ごとに巻き込まれるとは。そう考える合間もなく男の一人が此方を威嚇する。

「おい、おっさん!!そのガキをこっちへ渡せ!」

「フン。このガキがどうなろうどうでもいいことだがな、だが小わっぱに命令されるのは気にくわん」

「舐めた口を叩きやがって」

もう一人の男がいきり立つその男を制止して不適に笑う。

「そ、相当に鍛えてはいるようだが、どうやら俺達が何者かわかってないらしいな。お前達、下がっていろ」


何かの液体が入った培養液を男は首もとから肉体へと注入する、やがてその肉体は緑色の異形のクリーチャーへと変化してゆく。隆起した筋肉に角、爬虫類を思わせる異形の怪物へと変貌した男、背後のガキは相変わらず俺の後ろにまとわりつくばかりで鬱陶しい。

「死にたくなかったら離れていろ」

ガキを多少(力加減はしてやったつもりだが)乱暴に突飛ばし飛びかかると腕組みをする。

力比べというものだ。

記憶には無いが本能的にコイツの存在は知っている、この俺の相手ではない事も。

無意識のうちに闘争本能は裸体の鍛え上げられた筋肉が腕先がメキメキと音をならし変化してゆく、男の姿は対面の異形に比毛を取らぬ怪物へと変貌を果たす、雄々しい角、黒い体躯、昆虫の王者を模したかのようなその姿に驚愕する目の前の異形。

どうやら力自慢のようだが俺にはそれ以上の力が備わっているらしい。

「フフフ、力比べといこうか?」


ベキ、ベキベキと手首が軋み異形は悲鳴のような卯なり声をあげる。


「バカな!投薬無しに獣化だと?!しかもあの獣戦車並みのパワーを誇るグレゴールβが昆虫野郎に圧されているだと!!」 


異形の名はグレゴールというらしい。パワーはなかなかのものだが。

ベキ、ベキベキ、と軋む音はやがて激しさをまし悶絶するグレゴールと呼ばれる異形は咄嗟に組み手を振りほどき距離を開ける


ザッ


「グ、グググッ」


グレゴールの様子が次第に変調をきたしてゆく。

悶絶するように咆哮を発する獣のような姿、近付く仲間達すらもなぎ倒し振り払い、あわよくば食らいつくす程の勢いだ。


少女がポツリと口にする


「あれの、あの薬のせいよ。あれを使った人達は・・・人間には戻れない」


なるほど、詳しい用途は不明だか副作用というものか。自然にこの姿になれる"俺"と奴らでは作りが違うらしい。


ギョロリ


グレゴールの視線が少女を捉える。

捕食者の本能か、一度後ずさりするとか細い五体を引き裂いてやろうと勢いよく飛びかかって行く。


ガキ一人どうなろうが知ったことではない。

付け加えてこの距離では俺の拳が届く前にガキはひき肉になっているだろうさ。

 

・・・


幾分かの寝覚めは悪かろうと嘲笑う、が、その瞬間、自身の右腕部分から熱を感じる。


・・・ビーム兵器?この肉体に備わった機能なのか。記憶はないが身体は闘う本能を記憶しているらしい。


「フン。貴様の相手はこの俺だろう、理性すらない獣に告げた所で馬のみみに念仏だろうが、な!」


飛びかかるグレゴールの爪が少女の眼前に、目掛けて振り下ろされようとした刹那。


突きだした右腕が開閉すると、真紅の強烈な閃光(レーザー砲)がグレゴールの頭を吹き飛ばす。

少女の顔に緑色の血渋きが散見するも、異形であったものは機能を停止し膝を地面に折るとそのまま倒れ伏せる。


唖然とする残党のゴロツキどもを一喝すると悪党にはお決まりの捨て台詞とともに逃げ出してゆく。


巻き込まれた荒事を片付け人の姿へ戻ると先ほどのガキの方へ向き直るが、直後視界がぼやけ呼吸も荒れる。

ずいぶんと消耗するらしい。


・・・途切れる意識の中で妙に懐かしい憎らしさをこのガキから感じる。


しかしガキ一人を結果的に俺が助けた・・・?この俺がだぞ。虫酸が走る。


「くだらんな、おい、小娘、俺が次起きる頃には失せていろよ」


そのまま再び意識が途切れて行く。



ーーーー終われる少女と異形の怪物、無法の荒野でゼクトールを待ち受けるものは。





以前Twitterで考えていたゼクトールのオリジナルストーリーを少しだけ公開します。乱文、雑文なのでご容赦ください笑

ストーリーのアイデアについてはフォロワーさんから沢山の着想やアイデアを頂いてそれを元に書いてみました笑

ネオゼクトールがファイナルブラスターテンペストで自壊した後で異なる世界へ・・・というあくまでもif的な物語です。

少女に感じる感情等々についてはいずれまた次に執筆する機会があれば!

兎も角ゼクトールに早く服を着せてやらないと笑