旅立ちと一緒さ。【エッセイ】
昔から母体劇団で人を募っていて、これから演劇をやろうか?どうしようか?と言う人に言ってきたやりとりがありまして…。
相手にもよって話方が変わるのですが、根拠が無くてもやる気満々の人なら別にいいのですが、かなりの率で「やってはみたいのですが、(やっていた事があっても)果たして今の自分で大丈夫でしょうか???」と言う感じで聞いて来る者がいます。
「演(や)りたいから来たんでしょう?」
と、聞き直すのはすでにナンセンスなので、相手によっては
「じっくり考えてみてください?」
…と聞いた場合、本当にじっくり考えて再び稽古場にくる人は本当に数少ないです。
「やりたいか?やりたく無いか?って聞かれたら???」
と、聞くと、大抵、面と向かって「やりません」と言える者もいません。(そりゃ時間かけて稽古に来て見学や参加しておいてそれは言っちゃダメだよね)
「人に聞いて決める前にやると決めた人がここに残って一緒に楽しく活動してます」
…これを聞いて響かない人は何言っても次の見学や稽古参加はまず皆無です。
稽古後の面談でこの手のやりとりで黙りこくってしまう人にほんのちょっとだけ背中を押す言葉を投げかけます。
これも人によるのですが…
「足踏みしてても靴底は減るんだよ」
…、わざわざ数ある劇団の中で足を運んでくれた人への敬意と、その費やしてくれた「時間」をこの先無駄にしない為に前に進むか?退くか?
…意味はご察しください。
「旅に出た事は無くても、旅が出来ないと思った事は無い…。(…の精神だよ)」
未知の世界に不安はあるだろう…だから出来ない理由にしてたら何も出来ないだろう?という意味です。
こっちなんて、常に新しい景色(世界)が見たくて仕方無いってのにな。(ニヤリ)
自分がやりたい事なのにいざ劇団ってさも専門集団に飛び込んでくると不安になって聞きたくなっちゃうんだろうけどね…?
あえて言うなら、
「コッチに聞いて『何がなんでもヤレ!』って言われてやらされて良いなら幾らでも言ってやるけどな!」
ですよ。(苦笑)
それが聞けちゃうんだから若い証拠なのかもしれないし、自分に自信が無い「不安」さは別に悪いとは思わない。
逆に演劇なんて夢や霞を掴む様な自己満足の世界で活動(生きて)して行こうってなって
演劇に対して『不安の無い若さ』なんて信用出来ないしね。
だからかな、「旅と一緒だよ。」と。
演劇がやりたいとは別に旅に出られる人とそうでない者と、私は一緒だと思っています。
写真は日帰りで帰って来るつもりでいつの間にか山々に囲まれた知らない土地でこの先どっちに行ったら夜までに家に帰れるかな?なんて考えてバイクで旅をしていた頃の写真です。