アデノイド2:アデノイドとは
アデノイドとは鼻と咽の間にあるリンパ組織で、咽頭扁桃ともいいます(図1)。誰にでもある組織なのですが、特に幼児期に生理的に大きくなります。アデノイドの大きくなるピークは5歳頃で、その年齢を過ぎると大抵の場合は萎縮して、大人ではほとんど表面から見ても分からないぐらいになります。
アデノイド増殖症の症状
このアデノイドが極端に大きい状態を、「アデノイド増殖症」あるいは単に「アデノイド」といいます。アデノイドが大きいと、図2のようにまず鼻からの吸気の流れが遮断されます。これにより、鼻呼吸出来なくなり、口で息をするようになります。また、夜にはイビキをかいたり、呼吸が止まることもあります。一言で言えば気道閉塞ということになりますが、これが長く続くと、漏斗胸といって胸が変形したり、アデノイド顔貌といって、何となく”しまりのない顔”になったりします。
アデノイド増殖症の合併症
その他には、合併症として急性中耳炎や滲出性中耳炎を起こしやすくなります。これは、アデノイドが直接、耳管開口部を塞いでしまうことと、アデノイドに起こった炎症の耳管に波及することが原因と考えられます。また、アデノイドが大きいと、高率に副鼻腔炎も合併します。これは、アデノイドにより鼻から咽への空気の行き来が遮断されるため、あるいはアデノイドからの細菌感染が原因と考えられます。逆にいえば、3〜6歳ぐらいのお子さんで、急性中耳炎、滲出性中耳炎、副鼻腔炎を繰り返していて、よく口で息をしている場合は、アデノイド(増殖症)が高い確率で疑われるということになります。
検査と治療
診断には、内視鏡やレントゲン検査でアデノイドの大きさを確認します。検査は耳鼻科のある病院はもちろん、診療所でも受けられます。
いびきがひどかったり、寝起きが悪い、寝ている間に呼吸が止まるなどの症状があれば、寝ている間の呼吸の状態をモニターして、後日コンピュータで解析する検査をします。これは携帯型の装置で行う場合は自宅で可能です。
検査の結果、アデノイドが極端に大きい場合、睡眠時の低酸素血症などが認められる場合には、手術が必要になることもあります。全身麻酔の手術ですので、入院も数日間必要で本人も親も大変ですが、目に見えて効果のある場合が多いです。アデノイドの大きさがそれほど極端でなく、睡眠時の低酸素血症などがなければ、アデノイドが徐々に小さくなることに期待して、中耳炎や副鼻腔炎などの合併症を治療しながら、様子を見ることになります。