サリーダ・デ・バロンとは【スペインサッカー用語】
サリーダ・デ・バロン(Salida de balón)とは?
サリーダ・デ・バロンとはスペインで使われているサッカー用語で日本語に直訳すると「ボールの出口」という意味です。
最近は5レーン理論やポジショナルプレーなどヨーロッパからの新しいサッカー用語が次々に日本にももたらされていますが、サリーダ・デ・バロンも主にスペイン語圏で使われているサッカー用語で、ディフェンスからオフェンスに移行する時の一つのトランジションの思想を表したものです。
日本で使われている用語だとビルドアップが近いかもしれませんが、守備から攻撃へ移っていく際の組み立て方法をどこから考えているかという違いがあります。
ビルドアップは自分たちでボールを保持しながら攻撃時の陣形を整えていき、着実にボールを前に進めていく工程を示しています。
チーム練習であればある一定の決められたボール回しをして前に運んでいきながら徐々にチーム全体を押し上げていく理想的な運びができますが、実際の試合では対戦相手がいますので、様々な邪魔をしてきます。
相手フォワードがチェイスしながらパスコースを切ってきたり、逆に引いて狙いのスペースを埋めてしまっています。
こういった対戦相手が当然いることを念頭に置いた上でどのようにボールの出口(サリーダ・デ・バロン)を作り出し突破していくのか、これがスペインのサッカーを彩っている一つの特徴です。
日本のJリーグを見ていて、両チームともビルドアップが上手くいかず、攻守の交代だけをひたすら繰り返しているような、正直退屈な試合に出会うこともあります。
両チームともにボールの出口を見つけられず、結局大味なロングボールになったり、細かいところを通そうとしてパスが相手ディフェンスに引っ掛かったりするパターンですね。
対戦相手と駆け引きをしながら、ボールを前に運ぶときにどこにスペースやパスコースを作っていくのかをチーム全体で戦術として共有し、ビルドアップの起点の部分を構築していく。
ボールがひとたび出口から外に出れば、自分たちの形で攻撃に結び付けることができます。
これがサリーダ・デ・バロン(Salida de balón)です。
次の図は一つのサリーダ・デ・バロンを模式的に表したものです。
(画像出典:https://futbolenpositivo.com/presion-a-ambos-lados-del-campo-con-comodin-central/)
5番の選手からのパスを4番の選手が走りながら相手の9番と7番の間で受けることでボールの出口を見つけ、中盤の2番の選手は出てきたボールをすぐに8番にはたいて攻撃に一気にシフトチェンジします。
ヨーロッパの試合を見ていて攻撃に迫力がある、ゴール前のシーンが多いと感じるのはこのサリーダ・デ・バロンの概念が浸透しているからだと言えます。
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スペインサッカー用語一覧【戦術・監督・指導・トレーニング】
本スポーツブログのタイトルとして
このブログのタイトルとして、まだそこまで日本に浸透しているとはいえないこの用語を採用しました。
本ブログでは日本の大手メディアではあまり拾われなさそうな話題を探して記事を書いていきたいと考えていました。
このブログから探していた情報が見つかって「出口」を見つけられたり、ブログ管理者側としても新しい話題を発掘してスポーツの新しい局面への「出口」を見つけられたらいいなという願いを込めています。
英語、スペイン語、フランス語、イタリア語の情報を日々リサーチして、(日本の大手メディアが取り上げていないことも確認しながら)、情報発信していきたいと思います。