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郷愁の風景

【和歌山県】湯浅(湯浅町)

2020.06.04 05:38

醤油発祥地として知られる和歌山県湯浅町は、紀伊半島中西岸の湾奥に位置している。

町の南北を熊野古道が貫き、陸路と海路の要衝でもあったため、参詣道が整備されるとともに町場が発達し、近世には紀州藩内きっての商工業都市として隆盛を極める。

特に、鎌倉時代に宋から伝来してきた「金山寺味噌」の製造過程で生まれた醤油醸造が湯浅の発展を支える産業となり、文化年間には92軒もの醤油屋が軒を連ねたという。

旧市街地にあたる山田川流域沿いには往時の隆盛を物語る古い街並みが残り、平成18年に重伝建指定を受けている。

幅員が広い「通り」と狭い「小路」によって区画され、「通り」には本瓦葺大壁造で間口の広い重厚な商家と土蔵が並び、一方「小路」には小規模な町家と長屋が並ぶ生活感を感じさせる街並みを見せる。


【和歌山県】湯浅「大仙堀」(湯浅町)201907

かつては醤油を始めとする物資がこの大仙堀から積み出され、山田川を経て湯浅港に送られ、各地に流通された。

現在も残されている石積の掘割沿いには重厚な醤油蔵が並び、湯浅を代表する景観の一つとなっている。

訪問当時は引き潮だったのか水が溜まっていない空堀状態だったが、パンフなどで紹介されている満潮のときの景観は目を見張るものがあるだろう。


【和歌山県】湯浅「北町通り」(湯浅町)201907

湯浅重伝建地区のメイン通りになっているのが「北町通り」。

湯浅港から近いこの通りを中心に醤油屋が全盛期に92軒も並んでいたという。

近代に入り、湯浅の醤油産業は斜陽を迎えたが、往時の賑わいを思わせる町並みが今も健在で、緩やかなカーブに沿って商家や醤油蔵が軒を連ねる。


【和歌山県】湯浅「鍛冶町通り」(湯浅町)201907

湯浅駅から熊野古道を経て重伝建エリアに入る際に通る南北の通りが「鍛冶町通り」で、北町と突き当たる。

虫籠窓が並ぶ「竹林家」の前から突き当り正面に見えるのが「手作り行灯・麹資料館」で、明治11年建造の麹製造販売を営む主屋だった。

2階にある木瓜(もっこう)型の虫籠窓は格子を漆喰で塗り固めていて、遠くからでもひときわ目立つ。

左手の「岡正」は元酒屋で、現在は休憩所となっている。

「岡正」(左)と「手作り行灯・麹資料館」(正面)


【和歌山県】湯浅「甚風呂」(湯浅町)201907

湯浅港を抱え、醤油醸造蔵が多い湯浅には、最盛期で15軒もの銭湯が存在していたという。

現在は内風呂が普及したことにより現役の銭湯は存在していないが、嘉永年間に開業して昭和60年まで営業していた「戎湯」が「甚風呂」という名前で資料館として公開している。