日本ダービー 紹介記事
この記事は、明日5/31(日)に行われる、GⅠ・日本ダービーを初心者向けに説明をする記事です。①日本ダービーってどんなレース?②どんな馬が出走するの?の2章に分けて解説していきます。
それではさっそく①日本ダービーってどんなレース?から参りましょう。
①日本ダービーってどんなレース?
日本ダービーは3歳馬限定、東京競馬場芝2400mで行われるGⅠレースです。
競馬界の1年はダービーに始まりダービーに終わると言われるほど、この世界の中心にある特別なレースです。「競馬の祭典」とも呼ばれます。
ダービーというレースの起源は1780年のイギリスです。その前年1779年に3歳馬、牝馬(メス馬)限定で行われたオークスの成功を受けて、「では牡馬(オス馬)も出走できるレースもやってみよう」ということで開始されたのがダービーです。
ダービーというレース名は、このレースを提案したダービー伯爵とバンベリー準男爵の名前のどちらかをレース名に付けよう、となりコイントスで決まったと言います。一説ではダービー伯爵はバンベリー準男爵に感謝してバンベリーの名をつけたかったが、バンベリー準男爵は「こんな田舎のレースに名前を付けられてたまるか」ということで、押し付け合いのコイントスだったとも言います。そうしてコイントスに勝った(あるいは負けた?)ダービーの名が付けられた第1回ダービー、勝利したダイオメドはバンベリー準男爵の所有馬でした。
おそらくこの2人は世界各地でダービーという名が付いたレースが行われるとは思っていなかったことでしょう。
そんなダービーはここ日本でも開催されることになりました。1932年のことで、最初の2年は、今は無き目黒競馬場で行われていました。その後府中に競馬場が移転されて以降は東京競馬場(府中競馬場)で開催されています。(ちなみに日本ダービー当日の12RにはGⅡ・目黒記念というレースがありますが、これもダービーと同様1932年に設立されたレースで、目黒に競馬場があったことを記録するためこのレース名になったといいます)。
日本ダービーは、クラシックレース(伝統的な3歳馬限定のGⅠのこと)の一つです。クラシックは3歳馬限定の大一番ということで、高校野球における「甲子園」のような位置づけのレースとイメージしていただければ分かりやすいかもしれません。
牡馬も出られるクラシックは皐月賞、日本ダービー、菊花賞の3つで、牡馬クラシック3冠などと呼ばれることもしばしばあります。ダービーは牡馬クラシック3冠の第2戦目に当たります。
基本はクラシック1冠目のGⅠ・皐月賞で好走した馬が上位人気に推され、おそらく今年もそうなるでしょう。皐月賞敗戦組、別路線組が太刀打ちできるかどうかが焦点となるでしょう。
ダービーを勝つのは洋の東西を問わず難しいこととされ、その分とても名誉なこととされています。
イギリスの首相だったウィンストン・チャーチルが「ダービー馬のオーナーになるのは一国の宰相になるより難しい」と語ったり、騎手だった柴田政人が「ダービーを勝てたら騎手を辞めてもいいくらいの気持ちで臨む」と語ったり、当時の規定で出走が叶わなかった「スーパーカー」ことマルゼンスキーの手綱を取っていた中野渡清一元騎手が「28頭立ての大外枠でもいい、賞金もいらない、他の馬の邪魔もしない。だからマルゼンスキーを日本ダービーで走らせてくれ」と語ったりしたといいます。
すべてのホースマンの夢舞台、それが日本ダービーなのです。
②どんな馬が出走するの?
今年の3歳世代全7262頭の中で、今年の日本ダービーに出走することが決まった選ばれし優駿18頭はどんな馬たちなのでしょうか。
本当は全18頭を詳しく紹介したいのですが、紙面の都合上詳しく紹介するのは人気馬2頭で、後の16頭は簡単に紹介したいと思います。詳しくはJRAのHPでご確認ください。
それではまず、人気馬2頭の紹介をしたいと思います。
3枠5番 コントレイル
☆戦績:4戦4勝。主な勝鞍はGⅠ・皐月賞、GⅠ・ホープフルステークス。
デビュー2戦目のGⅢ・東スポ杯で2歳馬のレコードタイムを更新すると、続くGⅠ・ホープフルSでも貫録勝ちを見せた。そこから約4か月の休み明けとなったクラシック初戦、前走のGⅠ・皐月賞では外から豪快にまくってサリオスとの一騎打ちを制し、無敗の皐月賞馬に輝いた。
日本ダービーを制して無敗の2冠馬となれば、本馬の父でもある2005年のディープインパクト以来の偉業となるが、それを達成する可能性は大いにあるだろう。
☆ここに注目!
○レーススタイルは「先行」or「差し」。
前走のGⅠ・皐月賞は後ろからの競馬になり、まくり(道中で一気に位置取りを上げること)で先頭に立ち押し切ったが、理想はおそらく最初からある程度位置を取って「先行」押切りの横綱競馬だろう。
○無敗の皐月賞馬は昨年2019年サートゥルナーリアがいたが、次のダービーで4着に敗れ無敗の2冠馬とはなれなかった。
その前は2005年ディープインパクトで、ダービーでは単勝1.1倍に応え5馬身差の圧勝を見せた。ディープインパクトはその後菊花賞も制し無敗の3冠馬に輝いた。
コントレイルの父はそのディープインパクト。父以来15年ぶり無敗の2冠制覇を達成し、更なる高みへ飛び立つか。
○騎手は福永祐一。ダービーは2018年にワグネリアンとのコンビで制している。その時は19回目のダービー挑戦での悲願達成だったこともあり、ウイニングランでは歓喜のガッツポーズと涙を見せた。
コントレイルとのコンビではすでにGⅠを2勝しており、「馬について不安な点はない」と語っている。愛馬を信頼し2度目のダービー制覇を果たすか。
6枠12番 サリオス
☆戦績:4戦3勝。主な勝鞍はGⅠ・朝日杯FS。
デビュー3戦目となったGⅠ・朝日杯FSでは、先行してレコードタイムで押し切る強い内容を見せ無敗のGⅠ馬に輝いた。コントレイルと同じく約4か月振りのレースだったクラシック1冠目、GⅠ・皐月賞ではコントレイルにこそ交わされたものの3着馬には3.5馬身差つける2着と能力は示した。
コントレイルの逆転候補の筆頭はこの馬だろう。
☆ここに注目!
○レーススタイルは「先行」。今回もコントレイルより前でレースをして、しぶとさを活かしたいところだろう。
○こちらも無敗でGⅠ馬となった能力の持ち主。GⅠ・皐月賞ではコントレイルと僅差の2着。
ダービーが行われる東京競馬場は2戦目のGⅢ・サウジアラビアRCで速いタイムで勝っており、舞台適性はあると言えるだろう。
○父ハーツクライはディープインパクトの1個上で、2005年のGⅠ・有馬記念にて3冠馬ディープインパクトを破った。ディープインパクトの国内唯一の敗戦がこの有馬記念だった。
ハーツクライ自身は2004年のダービーで2着に泣いただけに、父の分まで、そして父の血を受け継ぎディープインパクトの子も抑えてダービー馬に輝けるか。
○騎手はオーストラリアの天才騎手D・レーン。日本ダービーは昨年2019年が初騎乗で、それまで騎乗していたルメール騎手が騎乗停止となった、ダントツ1番人気のサートゥルナーリアに代打で騎乗した。結果は出遅れも響き4着だった。
昨年悔しい思いをした舞台だけに今年こそは勝ちたいという思いは強いだろう。
この2頭が抜けた人気で、後は単勝オッズ2桁~3桁台になるかと思います。
せっかくの日本ダービーなので残りの16頭も簡潔に紹介します。
1枠1番 サトノインプレッサ
GⅢ・毎日杯勝ち馬。鞍上坂井瑠星騎手は当日5月31日が23回目の誕生日。自身の誕生日をダービー制覇で祝うことができるか。
1枠2番 アルジャンナ
GⅢ・毎日杯2着。重賞で常に好勝負を演じてきた。馬名はアラビア語で「天国」の意。昨年7月に天国へ旅立った父ディープインパクトに捧げるダービー制覇となるか。
2枠3番 ワーケア
GⅠ・ホープフルS2着馬。皐月賞をパスしてダービー1本の狙いすましたローテーションを取った。東京競馬場は2戦2勝の得意舞台でルメール騎手を背に世代の頂点を狙う。
2枠4番 レクセランス
すみれS勝ち馬。4戦3勝でまだまだ未知数。内目の枠を活かしどこまでやれるか。
(3枠5番 コントレイルは上で紹介)
3枠6番 ヴェルトライゼンデ
GⅠ・ホープフルS2着馬。鞍上の池添謙一も大舞台では怖いジョッキーだ。
4枠7番 ブラックホール
GⅢ・札幌2歳S勝ち馬。末脚を活かす競馬で馬群を丸ごと飲み込む。
4枠8番 ビターエンダー
ダービーの前哨戦の1つ、プリンシパルS1着でこの舞台に駒を進めた。得意の東京競馬場で先行して、「絶対に屈しない人」の名前通り粘り強く走り切る。
5枠9番 ダーリントンホール
GⅢ・共同通信杯勝ち馬。イギリス生まれの外国産馬にイタリア人騎手M・デムーロが跨る、怖い穴馬だ。
5枠10番 コルテジア
GⅢ・きさらぎ賞勝ち馬。今年重賞7勝、うちGⅠ2勝と絶好調の松山騎手とともに番狂わせを狙う。
6枠11番 ガロアクリーク
GⅠ・皐月賞3着馬。距離延長が課題だがここにきて力をつけてきた印象でここでも侮れない。
(6枠12番 サリオスは上で紹介)
7枠13番 ディープボンド
ダービーの前哨戦の1つ、GⅡ・京都新聞杯勝ち馬。父キズナも京都新聞杯→日本ダービーと連勝した。父と同じローテーションでダービー制覇という重要任務を果たす。
7枠14番 マイラプソディ
GⅢ・京都2歳S勝ち馬。2歳時は3戦3勝だった素質馬が鞍上にクセ者・横山典弘を迎えどんなレースを見せるか。
7枠15番 サトノフラッグ
GⅡ・弥生賞勝ち馬。皐月賞は5着に終わったが素質は相当で巻き返し図る。鞍上武豊騎手は本馬の父ディープインパクトを含むダービー5勝をしている。
8枠16番 マンオブスピリット
ダービーの前哨戦の1つ、GⅡ・京都新聞杯2着。コントレイルともサリオスとも未対戦で未知の魅力たっぷりだ。
8枠17番 ヴァルコス
ダービーの前哨戦の1つ、GⅡ・青葉賞で2着。コントレイルと未対戦の馬は本馬を入れて3頭しかいない。「大魔神」こと佐々木主浩氏の愛馬でもあり抑えは必要か。
8枠18番 ウインカーネリアン
前走GⅠ・皐月賞で17番人気ながら4着に健闘。大外枠に入ってしまったが今回も先行してどこまで残せるか。
以上全18頭の紹介になります。
発走は明日5/31(日)の15:40になります!それではGⅠ・日本ダービーをお楽しみに!最後までお読みいただきありがとうございました。