「原因」と「結果」の法則
みなさんは、「幸福」や「豊かさ」について考えることってありますよね。でもそれはどうやったら手に入れることができるのでしょうか? 宝くじで賞金を当てたり、株や債券、あるいは不動産を手に入れば見つけられるのでしょうか?
そんな「幸福」や「豊かさ」について考えるヒントになる本が今回紹介する「『原因』と『結果』の法則」です。著者はジェームズ・アレン(JAMES ALLEN)さん。生前はあまり人に知られる作家ではなかったようです。「1864年、英国生まれ。父親の事業の破綻と死から15歳で学校を退学。以後さまざまな仕事に就きながら独学で学び、38歳で執筆活動に専念。作家としてのキャリアは他界した1912年までの9年間と短いが、執筆された19冊の著書は世界中で愛読され、とくに1902年に書かれた本書 『AS A MAN THINKETH』は現代の成功哲学の祖として知られるデール・カーネギー、アール・ナイチンゲールなどに強い影響を与えた。いまなお、自己啓発のバイブルとして、世界中で読まれ続けている。」(本書著者紹介より)
さて、みなさんは、自分が今置かれている境遇に満足しているでしょうか? もちろん満足している方もいるかと思いますが、多くの人はもっと自分の周りの環境を良くしたい、と不満に思ってる方もいるかもしれません。著者のジェームズ・アレンさんは我々が今置かれている環境について次のように語っています。
「人間は自分の人格の制作者であり、自分の環境と運命の設計者である。」 つまり、我々が置かれている「環境」というものは、自分の心が引き寄せたものの「結果」であり、それは自分の思いという「原因」が創り上げた、または、引き寄せたものである、ということです。「心は、それ自身が密かに抱いているものを引き寄せます。それは、それ自身がほんとうに愛しているもの、あるいは恐れているものを引き寄せるのです。(中略)心の中に蒔かれた(あるいは、そこに落下して根付くことを許された)思いという種のすべてが、それ自身と同種のものを生み出します。それは遅かれ早かれ、行いとして花開き、やがては環境という実を結ぶことになります。良い思いは良い実を結び、悪い思いは悪い実を結びます。(中略)人間は、心の奥底の支配的な思いに付き従い、誤った行いを続けながら、また正しい行いに努めながら、やがては、それらの果実である自分自身の外部環境に行き着くことになります。『原因と結果の法則』はあらゆる場所で機能しているのです。」(P25)「あなたの環境は、あなた自身の心を映す万華鏡です。その鏡のなかで刻一刻と変化する多様な色彩のコンビネーションは、動くことをやめないあなたの思いの数々が、絶妙に投影されたものにほかならないのです。」(P41) つまり、「結果」をより良いものにしたい、と願うならまず、その「原因」となるもの、つまり、「自分の思い」を清らかな心で満たし、自制心と克己心と自己犠牲により精神的な高みへ導く必要があるのです。
著者はまた、「思い」と「健康」はお互い密接に関連しあっている、と語ります。「肉体は心の召使です。それは、心の中でめぐらされる思いに、つねに従っています。意識的に選ばれる思いであろうと、反射的にめぐらされる思いであろうと、まったく関係なしにです。肉体は、暗くけがれた思いにつきしたがい、病気や衰退へと沈んでいくこともすれば、楽しく美しい思いにつきしたがい、健康と若さの衣を身にまとうこともします。」(P45)もし、みなさんが健康を望むなら、自分の心を、悪意、羨望、怒り、不安、失望、といった負の感情から遠ざけ、「常に心を美しくする」ことが大切なのです。この他、本書では「思いと目標」、「思いと成功」、「穏やかな心」(を持つことの大切さ)について著者が語っている章がありますが、それらについては是非本書を手に取って読んで下さい。
余談ですが、京セラ創業者、稲盛和夫氏も多数の著書の中で人の持つ「思いの力」や「すべては心の反映である。」といった哲学について語り、たびたび、本書のジェームズ・アレンさんの言葉を引用しています。「素晴らしい人生を送りたいと思うなら、あたかも庭を耕すように、心の中にもたげる『悪しき思い』という雑草を取り除き、『善き思い』という種を蒔き、それを大切に育て続けることが大切だと、アレンは述べています。(中略)このように心を整えていくことで、ともすれば私たちの心の中にもたげる、欲にまみれた心、憎しみにまみれた心、怒りに満ちた心を取り除き、慈悲の心、愛の心といった美しい『花』を咲かせることができるのです。」(「『成功』と『失敗』の法則」致知出版社 )(P66)
注)本書「『原因』と『結果』の法則」はシリーズ全 4 冊出版されています。 (下の写真参照)