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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

黄金帝国18-フェリペ2世死す

2020.05.31 11:36

1598年9月13日、スペインの太陽王フェリペ2世が71歳で崩御した。彼は父カール5世のあとを継いでカトリックの再興に全力を尽くした。しかしヨーロッパ各地を転戦した父とは対照的に、ほとんどマドリードの宮殿を動かず世界を動かした。中央集権システムをつくった彼は「書類王」の異名をとる。

穏やかな性格で争いを好まなかったが、生真面目すぎる彼は、カトリックを守るために宗教戦争に全面的に加担し、国内でも徹底的な異端(新教)取締りを行った。ブルゴーニュの人文主義の影響を受け、新教にも共感し、新旧融和を計ろうとした父とはこれも対照的である。

その戦争の資金源として、新大陸が利用され、父が好まなかった植民地化を推進してしまった。しかしそれでも資金が足りず、4回も国庫破産を行った。そして新大陸の銀は、銀価格を不安定にしていくことになる。また植民地依存は、やがてスペインを没落させていく。

実は、フェリペ2世の5日後、日本の太陽王豊臣秀吉が亡くなるのである。天下太平を達成したはずの秀吉は、朝鮮に出兵し、実に戦争中であった。秀吉の死と共に兵は朝鮮から引きあげ、その後の動乱の幕があがることとなった。