ダンスのこと
実はこのコロナ騒動があってから
ダンスの教室を締めることにしました。
スタジオのオーナーに頼まれて始めたスタジオでのダンスレッスン。
やるとなったら本格的にやっていきたいわたしは
スタジオオーナーとそのスタジオの生徒さんのやりたいこととの
ギャップの中にいながら私なりに一生懸命向き合っていました。
子どもたちの成長が嬉しくて、可愛くてやめられず
それでも人数の少ない小さな教室は
本格的な舞台制作をするところまでもいけず
ほとんどボランティアのような感じで責任感と生き甲斐でやっていた感じでした。
金銭的にも感覚的にもスタジオの中でやって行くことに限界を感じ
今年から独立して自宅でのスタジオでダンスの教室を続けて行くつもりでした。
そこでコロナ騒ぎ。
小さな自宅のスタジオで「密」にならないダンス?
ほぼプライベートレッスンみたいに人数を減らすしかない。
それで採算はとれるの?
クラスターが発生したら?
多分ここで暮らしていけなくなる。
第二波がきたら?
また慌てて対策を練って、あれこれ新しい投資をして行くことになり
生徒さんとの感覚のギャップにモヤモヤすることになる。
私たちの住む村では郵便局員が感染してしまい
そこから郵便局員が不足して、ずっと人を募集しています。
おそらく感染した人は仕事をやめざるを得なかったんだろうなぁ。。。
配られ続けている郵便局員募集のチラシを見るたびに思うのです。
田舎でクラスターを起こしてしまったら
今後、地域に暮らして行くことも難しくなるでしょう。
こころなウイルスのもたらすものが一時的なことではなく
世の中の流れがすっかり変わって行くのが見えた瞬間
なんとか形を変えて続けていかなければと思い、
真っ先にオンライン化を思いつき、オンラインで継続して行く方向を模索し
オンライン化へ投資しましたが
生徒さんたちにはその新しい感覚についていけず
そちらはうまく機能しませんでした。
そんな矢先に我が家にやってきた若者から私たちが感染して
(発熱はせず味覚がなくなっただけでした。病院にも行っていないので定かではありませんが。)
無症状で動き回っている人たちがやっぱりいること、
味覚がなくなったくらいだったら、気づいていない人もたくさんいるだろうこと。
自分たちがどんなに氣をつけても
家を解放するということはリスクを伴うことなのだと改めて痛感しました。
そしてどんなに考えても
安全な状態を作ってレッスンすることと、
金銭的な負担やそこにかけるエネルギーと
リスクのバランスが取れて行くところが想像できなかった。
違和感しかなかった。
自分たちが感染することが怖いのではなく、
ここを基点として皆さんが菌を広めてしまうことが怖かったし
何より私たちがここに人を集めていることを見て
ご近所のおじいさん、おばあさんたちが心配して家に寄り付かなくなるのは
本当に嫌だと思ったのです。
現に高齢の方達は、外で働いている若い方となるべく接触しないように
あまり外に出なくなっています。
ここが街だったら、活動を再開して
若い人たちの間で少しずつ感染して行って
集団免疫を作って行って、、、ということは
自然な流れなのかもしれないけれど
私たちがいま、田舎にそういう新しい「人の流れ」を作っちゃいけないと
心から思ったのです。
これから「田舎暮らし」に憧れて田舎に人が流れてくることもあると思います。
そんな時、田舎の人の安全や安心を壊さないでほしいなと思います。
先祖の代から脈々とその土地で暮らしてきたおじいさん、おばあさん。
そんな人たちは、山と一緒にくらす知恵をたくさん持っています。
感覚も町の人と全然違う。
こういう「人」たちもひっくるめて「環境」なんだと思う。
そんな環境を守ることが何より大切なことなのだと。
そんなことを全部ひっくるめて
私にはダンス教室を再開することはできませんでした。
一度そう決めて自分の中を見てみたら、
ダンス教室の運営者という役割を超えて
湧き上がってくる自分自身の純粋な欲求に出会って行くことができました。
ダンスの指導を始めたのは23歳の頃だから16年続けてきた仕事。
7歳から学び始めた身体と感覚の訓練法、表現法であるダンス。
舞踊学専攻を卒業して以来、私を支えて育ててくれた大事な仕事です。
たくさんの子どもたちと出会えて
自分自身をたくさん成長させてくれました。
身体の探求や、感覚の探求をとことんできたのも
舞踊で25年間、地道に培った肉体と感覚があってからこそ。
自分の意識や表現が「ダンス教室」という枠にとどまり切らないことを感じるたびに
いつか卒業しなければならないんだろうとは
ずっと感じていました。
こんな風にウイルスに強制終了させられるとは思っていませんでした。
でもそうでもしなければ責任感やらエゴやらでやめられなかったのだとも思います。
ということで、思いもよらない形で辞めることになったダンスの教室でした。
いまだに心は引っ張られるし
罪悪感も感じるけれど
静かに心をすませると
これでよかったんだと安心します。
今までダンスのレッスンに来てくださった方々、
本当にありがとうございました。
今後はますます精力的にダンスと向き合っていきたい、
ずっとやりたかった作品を作るということに専念していきたいなと思っています。
今までであったこどもたちともこれでお別れではなく
もっと純粋に研ぎ澄まされた環境の中で
一緒に作品を作ったり、踊ったりする機会を作りたいと思っています。
まずはこの状況の中で、おじいさんもおばあさんも
こどもたちもみんなが安心してできる形で。
みんながのびのび、自分の才能という羽根を
思いっきり伸ばせる環境を作るために。