日々のこと
今年になってから事務所のHPに、仕事以外の個人のブログですが、『日々のこと』という日記のようなものを載せています。少し長くなってしまいますが、その中から2日分を抜粋してみます。
『神楽坂』 (8月9日)
朝から曇りで日差しも強く無さそうだったので、街歩きをしようと思い「神楽坂」へ、、。
この辺りは今までほとんど散策したことが無い。坂のある町は特に由緒ある建物がなくても、何故か情緒を感じる。飯田橋から外濠を渡り、まずはメインの神楽坂を上がっていく。上りきった辺りの「上島珈琲店」でちょっと休憩。
ここは壁に沿って一人用のソファが斜めに並んでいて、ジャズを聴きながらくつろげてなかなか良い。 このまま何もしないで、読書でもして帰りたくなってしまいそうなお店である。
リフレッシュしてから神楽坂らしい所を探して、横丁や路地裏をしばらく散策。
マンションが建ち、お店も俗化されている所も多いが、それでも車が入ってこない路地は石畳と板塀が続き、風情がある。今日は曇天とはいえ、まだまだ暑いので、絵になりそうな?ところを写真に撮って歩いた。現場で描きたいのは山々なのだが、、。
2時間ぐらい歩いた後、駅近くの外濠に面している「カナルカフェ」で一休み。
ここでボーっとしているとスケールは違うが、バンコックの川沿いのホテルのカフェでのんびりしたことを思い出す。 暑さと湿気とそれほどきれいでは無いが、水辺を眺めていると程よい怠惰な?感じになる。結局、本も読まず、スケッチ道具を開けることも無く、何も考えることがない気持ちの良い時間であった。
それでも帰ってから写真を整理して、スケッチを2枚描いてみた。
『ぶあいそう』 (8月14日)
まだまだ暑いが、急に思い立って白洲正子さんの「武相荘(ぶあいそう)」に行ってみた。ここは私の家からは車で20分ぐらいと、近いのがうれしい。周辺は量販店や今時の家々が建ち並び風情は無いが、武相荘のアプローチに入っていくと、緑豊かな田舎の雰囲気に包み込まれる。敷地も相当広いので、樹木によって周りのゴタゴタした建物もほとんど見えない。
ちょうど今は「武相荘―夏~次郎と正子の暮らし~」展を催していて、私達では到底及ばない室礼をゆっくり味合うことが出来た。 この地に引っ越したのが昭和15年、それから30年ぐらいかけてゆっくり改装したそうだ。民家の田の字型プランはどうとでも手を入れていけるのがいいそうだ。茅葺屋根は実に力強く美しいし、建築家は介入しなくていいのだと思う。
白洲さんの本は何冊か読んではいるが、近江や京都が好きなのに、何故関東の郊外に住んだのか不思議ではあった。
やはり、本当に好きなところは住むのではなく、行くところなのかもしれない、、。
(豊田 悟)