< 私の植栽遍歴 >自宅をとおして
写真は私の事務所兼住宅の南側テラスです。ここにある鉢物は皆、その時々の好みのままに選んで、少しずつ集まった物です。
コールテン鋼の鉄骨階段の下に並んでいる鉢はアロエベラです。宮古島からネット注文し、南国のパティオの感じがすると思い,鉢植えに仕立てました。その左端はサボテンの一種。名前は解りませんが、もう20年以上生育した怪物で、購入当時の4倍くらいの大きさに成長し、毎春、外に出すのに苦労しています。
—番手前はパピルスで、睡蓮鉢に入れています。年に一回株分けしてニボシや油カスを肥料として与え、やはり20年程たっています。
屋外テーブルの奥、左右にある鉢がシペルスです。パピルスを一回り小さくしたような姿をし、共に丈夫で野性的な植物で、現地では雑草のように茂っているカヤツリグサ科の植物です。特徴は茎の形が三角形の断面で、横から見ると実際より細く見えます。私はジオ・ポンティーの椅子、スーパーレジェッロの脚も、これがヒントになっているのかなと思っています。これらは施主から求められるままに、住宅の新築祝いとして、株分けして差し上げています。
一番奥は睡蓮鉢で試みているビオトープで、中にクロメダカを泳がせています。土と植物は新潟の業者から取り寄せました。写真は5月半ばの撮影で、植物はポンテデリアと言い、夏までにはさらに20センチ程成長します。この後青紫色の涼しげな花が咲きます。
手前右側がローズマリーで、地植えでは大きくなり過ぎるので、鉢仕立てにしています。
その上に枝が見えるのがネムノキです。マメ科の樹木はネムノキ以外にはアカシアやエンジュ等が上げられますが、インゲン豆のように鞘に入っている実をつけ、私見ですが、木にしては草っぽい感じがしてなりません。樹木を男性に例えると、ニューハーフのような感じです。
樹形も、垂直に伸びて行かず、なかなか予想が立て難いのですが、ネムノキの場合、大木になると、アフリカのサバンナの樹のように、傘状に横に広がるようです。テレビコマーシャルで有名な“この木何の木気になる木”の大木は、ハワイのオアフ島に生えているネムノキの一種です。私はそれを見越して将来、テーブルの上の日よけに成長する事を楽しみにしています。もっともあれほど大きくなっては困りますが。
打ち放しコンクリートの塀とベンチに絡んでいる植物は、横浜に多いナツヅタです。秋の紅葉が美しく、背景のコンクリート塀とのバランスが好きです。
その他写真以外に、アーカンサス、ラベンダー、ヤコウカ、レモン、3種類のバラ等が植えられています。
さて、最初の命題に戻りますが、これらは皆、気の向くままに増やして来た物なのですが、好みとして、いくつかの特徴が解ります。
それは大きく1)水辺の植物、2)乾いた土地の植物、3)比較的野生の植物 等です。
1)の水辺の植物は、水平な水面を破って垂直に伸びて行くその姿のバランスに惹かれます。
2)、3)についてあえて言えば、私の無意識裡の要求でしょう。
以前はもう少し和風の植物も好きでしたが、やはり野草のように、あまり人工的でない物を好んでいました。
最後に私の事務所の北側入り口部分の植物は全く異なっています。
道路から一段下がった敷地で、道路と建物の間2メートル程に孟宗竹を植えています。悩みは6、7月頃、落葉が道路に散る事ですが、近所の方は眺めを楽しんで下さっているようで、私にとって、その点が救いです。
(池和田有宏)