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世界の仲間と私たち~新しい日常と旅への想い~

イスラエルより(現地ガイドの順子さん)

2020.06.09 00:55

イスラエルからこんにちは!

この春からイスラエルでは20年越しの直行定期便の就航が始まる矢先、コロナ禍が始まりました。イスラエル国内ではこの直行便をとても期待しており、日本のアニメをイメージしたコマーシャルを流して盛り上がっており、航空券も夏まで完売でした。イスラエルで最初にコロナに感染したのはアジアからの旅行者と接触した人たちです。中国・韓国からの旅行者を順番に閉鎖しました。ただ日本はこの直行便の期待もあり辛い決断をしなければなりませんでした。そして2月28日、日本も含めた東アジアからの旅行者の入国制限が始まりました。私のグループは幸いその前日にツアーが終わり、イスラエル国外に出ましたが、制限が始まる当日はかなり混乱があり、現地スタッフともに航空会社と交渉しながら、皆様の座席を確保した次第です。そんなわけで私たちは一般の人たちより早くからコロナ禍の凄さを感じていました。

その後3月半ばには、ほぼ全地域との国境を閉じました。1年で最も美しい時期の2月〜4月を国民は家に閉じこもって過ごすことになりました。そのお陰でなんとか第一波は乗り越え、5月中旬より順次、社会の閉鎖が解除されました。3月から二ヶ月近く閉まっていた、観光施設も順次一般公開が始まっています。ただし3密を避けるために、人数制限があります。

実はこの数年イスラエルへの訪問者は急増していました。例えば2019年にイスラエルを訪問した人は490万人で、前年より12%増えています。10年前の2009年にはローマ法王が訪問した年でさえ230万人ですから、その増加がわかると思います。また490万人とは全国民数の半分、単純に考えれば2人に1人が観光客です。なので最近は教会などの施設内観光地は人がごった返していました。(まさに3密です!)

その反面、人々にあまり知られていない自然の観光地はこのような時期でものんびりゆったりと過ごせました。特にイスラエルはハイキングも国内では人気のあるリクリエーションで、国内を至る所にコースが整備されています。南北に縦断するナショナルトレイル(約800キロ)というのもあります。聖書の世界では、この地は人々が行き交う地でもあり、古代からの重要な交易ルートなのです。また四国ほどの面積の小さいイスラエルですが、自然の変化は大きく、それもトレッキングの魅力です。地中海の青い海と都市の生活や、北部ガリラヤ地方の草原と色とりどりの花、ゴラン高原では雪の積もるヘルモン山をバックに溶岩石の渓谷下りや雪解け水の滝など。南部のネゲブ砂漠では石灰岩の白い岩肌や、赤い岩の谷、鉄分の含まれた黒い岩肌などが織りなす色の芸術を夕日をバックに沈黙のショーが毎日繰り広げられています。これらの地域を歩いていると3000年の間の人々の生活の痕跡にたびたびに出会うことことがあります。古代から現代まで多くの人々が私たちと同じようにこの地で暮らしていた跡です。

それは現代にも続いています。イスラエルにはいろいろな時代に生きた人々の末裔がたくさんいるのです。砂漠地域に暮らす遊牧民のベドゥイン、農業を営むパレスチナ人、ゴラン高原に暮らすドゥルーズと呼ばれる人々、タボル山近くに住むチェルケス人、アルメニア・エチオピア・シリアのキリスト教徒たちも集まるエルサレム 、ユダヤ人にもサマリア人やエジプトのカライ派などいろいろな背景を持った人たちが暮らしています。そしてイスラエル旅行とは実はパレスチナ旅行でもあるのです。この両者は言葉の上では異なりますが、現実にはいろいろな人々がこの地で暮らす社会を織りなす一部でもあるのです。

コロナ禍が落ち着いた際にはそんな1カ国で何層もある魅力を味わいにいらしてください。