これからの「三線」の課題
時代が変わると同じように
三線を取り巻く環境も大きく変わっている
わたしはある危機感を感じている
愛弦家の皆様の中には、すでに同じように感じている方も少なくはないと思います
かつて三線は一職人が全ての工程を行ってきたと言われています
棹を誂え チーガ(胴)を組み上げ 塗りを施し 皮を張る
カラクイやウマを鉋やナイフで削る
糸掛や胴巻き(ティーガー)は妻が手伝うこともあったようです
そういった工程を経て、ようやく一本の三線が出来る
まさに職人さんの顔が見えてくる手作業の世界
終戦後 分業化が進み、棹 胴 カラクイ 塗 それぞれを専門とする職人さんが出てきた
そのお陰で、三線店がすべての工程を一人で行なうという負担が減り、
一つの三線が仕上がる納期も早くなった
そういった流れの甲斐もあって、終戦後~昭和全期の三線普及は大きく飛躍したと言えるでしょう
三線を弾く事や買い求めることさえ、非常に高価で格式の高いものだったそれまでの常識が変わったのですから
これはとても素晴らしいことだと思います
工夫に工夫を凝らして製作に携わられてきた先輩方に、この場を借りて大きな敬意を表したいと思います
しかし、時代はさらに現在までに大きく変わり、黒木やチャーギ等の材料不足の問題が深刻化している
また、唯一の県産チーガ製作者であり昭和~現代に到るまで活動されてきた先輩が亡くなられた
これは意外に知られていないのですが、現在全国で販売されている9,5割の三線には海外製のチーガが使用されている
もちろん、数万円の物から高額の物まで「同じ海外製」の物なのです
それは胴巻き(ティーガー)も同じことが言えます
フィリピン産の黒木も材料不足が進んでいる
これまで携わってきた職人さんが少なくなっている
同時に進む材料不足 海外製に頼らなければならない現状
私自身 そこに携わるものとして 非常に深刻にこれからの三線のことを考えています
このような事をよく耳にします
「よほど三線に詳しくない限り、商品の説明を詳しく受けても全部が同じものにしか見えない
だってカラクイや装飾も 型も全部に特徴がないんだもの」と
このようなユーザーの声はとてもショックだったのですが、同時に課題なのだと受け止めるのです
そして私共にできることは やはり装飾性を高める ということ
三線やユーザーさんにとってよりマッチするもの 愛し愛されるもの
それをイメージして形にして世に提案していく事
それが私共にできる事であり、役割だと信じています
現在 新しいアイデアを形にしています
大事に織られた生地に、京金糸と絹糸 そして手刺繍をコラボさせたこれまでにない新しい胴巻き・・・
これまでより倍の倍時間と手間がかかります
しかし、これは私が10年も前から頭にあったイメージです
ようやくそれが今、実現しようとしています
どうぞ期待していて下さい