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Széll & The Cleveland Orchestra

2020.06.07 08:35

アメリカに渡ったジョージ・セルというか、ハンガリー語でセーッル・ジェルジ(Széll György)ブダペスト出身の稀有な指揮者。かのヘルベルト・フォン・カラヤンがゲオルク・セルに会うに際しては緊張のあまり小声で「はい、マエストロ!」と尊敬の念を抱いて挨拶したと聞いております。

アメリカに渡り、最初はパッとしなかったクリーヴランド・オーケストラを寸分違わぬ正確なアンサンブルを身につけた一流オーケストラへと押し上げたのは有名なお話です。

そもそも、ベートーヴェン交響曲第5番との出会いもセル・クリーヴランド管弦楽団で、まだ小学校入学前。17cmLPの小さいジャケットにセルが指揮をするポートレート写真があって、その印象は強烈で、高校生になって人生初のベートーヴェン第5番はセルであった!とセルのポートレート写真を見てどの演奏だったかはっきりとわかったのはよかったです。

高校生時代に1枚もののLPを買い求めてセル独特のキリッとして乱れないWagnerを聴いて、こいつはすごい!って感心しておりました。ですが、これは元々3枚組のLPセットだったということで、今回ハイブリッドCD2枚組になってリマスターもして装い新たになったセル・クリーヴランドを聴いてみます。

この清潔かつ透明なアンサンブルはピエール・ブーレーズにも感じます。唯一来日した際は自身の不安な健康面を考え、ピエール・ブーレーズが一緒に来日したということから、お二人の仲もよかったとか。

ルドルフ・ゼルキンとは音楽学校時代の同期だったそうですし、リヒャルト・シュトラウスとも親しかったとか。

超有名と言われないセルですが、超一流の指揮者であったことは紛れもない真実だと信じます。

ブラームスの交響曲第2番も強烈な印象です。第一楽章のメインテーマが弦楽器部で寄せては返す波のように受け継がれて行きますが、弦楽器全体が室内楽のように整然とキレも良いのにこってりとブラームス節を奏でますし、第三楽章の中間では木管を中心に一瞬マーラーを思わせる瞬間があり、今でも鳥肌が立ちます。第四楽章のコーダで魅せる金管楽器の圧倒的パワーには「お前、まだ若いんだから頑張れ」っていう励ましの言葉がベートーヴェンとは全く違うスタイルでジーンと心に響いて余韻が長いんです。

あ、セルはそうとうな美食家でもあり、ワインの知識では通を唸らすほどだったとか。

なかなか興味は尽きない演奏家です。