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開闢を知る

2020.06.08 07:46

開闢を知つてゐさうな大海鼠  仲寒蟬

流し雛目に見えぬものおそろしく  同

木も牛も影濃くなりぬ夏の牧  同


https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/4-79.php

【4万年前の線虫も......氷河や永久凍土に埋もれていた生物が温暖化でよみがえる】 より

<自然環境の変化で多くの生物が絶滅するおそれがあるいっぽうで、永久凍土の中で長年休眠していた生物がよみがえる例が確認されている......>

国際連合(UN)は、2019年5月に発表した報告書で「自然環境が減少し、生物多様性が破壊されることで、今後数十年のうちに、およそ100万種の生物が絶滅するおそれがある」と警鐘を鳴らしている。その一方で、近年の研究では、氷河や永久凍土の中で長期間にわたって休眠していた生物がよみがえる例が確認されている。

南極で1600年前のコケが再生した

2013年6月13日に学術雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」で公開された研究論文によると、加アルバータ大学の研究チームが、カナダ最北部エルズミア島で融解がすすむティアドロップ氷河において、1550年から1850年までの小氷期のものとみられるフトヒモゴケなどのコケ植物を採集した。

採集したコケ植物の多くは黒く変色していたものの、緑の部分も確認されている。適温に保たれた日当たりのよい大学の研究室に試料として持ち帰り、養分豊富な土壌に茎や枝の組織を移植したところ、およそ400年にわたって氷に埋まっていたコケ植物が再生した。

2014年3月には、英国南極研究所(BAS)の研究チームが、南極のシグニー島の永久凍土に埋もれていたコケ植物を再生させることに成功した。このコケ植物は1533年前から1697年前のものと推定されている。

この研究論文の責任著者である英国南極研究所のピーター・コンヴェイ博士は、米紙ワシントン・ポストの取材に対し、「永久凍土の環境は非常に安定しており、凍結と融解の周期変化やDNA損傷をもたらす放射線など、地表でのストレスからコケ植物を隔離する。数百年前のコケ植物が再生したことから、生物が氷河期を耐えるうえで、氷河や永久凍土が役立っているのかもしれない」と述べている。

シベリアで3万年前から4万年前の線虫も活動を再開

より古代の多細胞生物が、長い年月を経てよみがえった例もある。2018年7月に公開された研究論文によると、露モスクワ大学や米プリンストン大学らの共同研究チームがシベリアで実地調査を実施。北東部のコリマ低地で更新世の永久凍土の堆積物から3万年前から4万年前の線形動物(線虫)を採集し、室温20度の研究室で育てたところ、活動を再開させたという。

環境破壊や地球温暖化によって多くの生物が絶滅の危機にある一方、極地では、コケ植物や線虫、微生物など、氷河や永久凍土の中で長年休眠していた生物たちがよみがえっている。これらは、生物が持つレジリエンス(困難な状況でもしなやかに適応して生き延びる力)を示すものとして注目されている。


https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93159.php  

【新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?──実験結果】 より

<香港大学の研究チームは、モノの表面に付着した新型コロナウイルスは、一体どのくらいの時間、感染力を維持するのかを調べた......>

印刷物やティッシュは3時間、プラスチックは7日

終息が見えない新型コロナウイルス感染症の流行拡大だが、感染しないよう人との距離を取っても、どうしても心配になるのが、モノに付着したウイルスを介して感染しないか?ということだ。

香港大学のレオ・プーン教授率いる研究チームはこのほど、「モノの表面に付着した新型コロナウイルスは、一体どのくらいの時間、感染力を維持するのか」を調べた。この結果をまとめた論文は、微生物に関する専門医学誌「ランセット・マイクローブ」に掲載されている。

研究チームはまず、さまざまな温度でのウイルスの安定度を調べた。室温4度のときには非常に安定しており、14日経過しても感染力はほとんど変わらなかった。室温22度の場合、7日経過した後でもウイルスは検出されたが(14日後の検査では検出なし)、37度では2日後には検出されなくなり、70度になると5分で検出されなくなった。

研究チームは次に、新型コロナウイルスがさまざまな物の表面に付いたとき、通常の室温(22度、湿度約65%)の環境下においてどのくらいの時間、感染力が維持されるのかを調べた。ウイルスの濃度を調査したタイミングは、0分、30分後、3時間後、6時間後、1日後、2日後、4日後、7日後の8回。

印刷物(紙類)やティッシュペーパーの場合、感染力を持ったウイルスは3時間後には検出されなくなった。加工木材と布地では、2日後にはウイルスは検出されなくなった。ガラスや紙幣では、ウイルスが検出されなくなるまで4日かかった。また、ステンレスとプラスチックの表面の場合、7日後にウイルスが検出されなくなった。

しかし、医療用マスクの場合、マスクの内側は7日後にウイルスが検出されなくなったが、外側表面からは7日経っても、感染可能なウイルスが検出されたという。研究チームの一人であるマリク・ピーリス教授は香港の日刊英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに対し、「医療用マスクをしている時は、マスクの外側を触らないようにすることが非常に大事なのは、まさにこの理由からだ」と説明した。

心配なら買ってきたものはしばらく放置──何より大切なのは手洗い

なお研究チームは、研究室で行った今回の実験結果が、日常生活の中で、感染源に軽く触れてしまったときに感染する危険性を必ずしも反映しているわけではないとしている

プーン教授は今回の結果を受けて、食料品を購入してきた後に心配な人は、保存のきく食材なら、買い物袋の中に1日ほど放置してから触るようにした方がいいかもしれない、と提案している。「こうすれば、ウイルスの濃度がかなり低下するだろう。とはいえもっとも大切なのは、手を洗うことだ」。

今年3月には、米国立アレルギー・感染症研究所の研究者らが同様に、物の表面に付着した新型コロナウイルスの感染力の持続時間について調査していた。結果は、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載されている。

この論文によると、銅の表面では最長で4時間、ボール紙で最長24時間、ウイルスは感染力を保ったままだった。ステンレスとプラスチックの場合、2~3日は感染力を保っていたという。

ただし研究チームは、感染力の持続時間は、現実の生活では気温や湿度、換気状態、ウイルスの数などによって異なるとしている。また、実際にどのくらいのウイルスがあれば人が感染するかを知るには、さらなる研究が必要だと述べている。