障害というレッテルを貼るべき?
病院にいると自閉スペクトラム症、ADHD、知的障害などという言葉をよく使います。このような障害名のレッテルを子どもに貼るべきかどうかということを時々考えます。
「障害」というレッテル、つまり診断名をつけるかどうかですが、メリットはいくつかあると考えています。まず、教育機関、福祉現場(保育所、幼稚園)の先生などは診断名があると(更に診断書や検査結果などあると)配慮の対象となりやすいと感じています。
ただ、「~障害」というレッテルをつけるという感覚に違和感を多くの方が抱いてしまうと思います。自分自身もどこか違和感を感じます。それはどうしてかと考えたら、「~障害」と診断をつけるだけでは、支援を始めるには不十分だからです。
自閉スペクトラム症は「社会性」「コミュニケーション」「こだわり」の症状があるといわれます。でも、自閉スペクトラム症のお子さんにはADHDの特徴である多動や不注意も併存することもよくあります。学習障害の特徴を抱えることもあります。診断でつけられたレッテルだけみていると上手な支援はできません。
つまり、特徴をみていきましょうということです。様々な特徴があります。多動性、不注意、シングルフォーカス、過敏性などあり、それらの症状が発達障害のお子さんには併存しています。特徴については以下のサイトにまとめましたのでご覧下さい。
特徴のレッテルのメリット
1.困った行動を予防できる
衝動性のある子どもだと、「衝動性が強い子」と分かっておうことで、予防できます。「この子は多動」と考えておくと、座っている場面をほめて、離席しないような環境調整もして予防できます。
2.支援者や保護者どうし共通言語で子どもを理解できる
支援者や保護者が子どもを理解する共通の言葉をもつことで、話もしやすくなりますし、支援や子育ての方向性も統一しやすくなります。
3.特徴であれば無理に変えないような支援を提供できる
「多動の特徴がある」と理解すれば、無理矢理に長時間の動かない活動を強いることは減ります。だって、動くのは仕方ないですもんね。無理に多動を変えるのではなく、少しずつじっとしておけるような目標設定や環境の配慮をしやすくなります。
結論として、「障害」というレッテルを貼ることも必要ですが、支援のうえでは「特徴」のレッテルを貼る方が支援はしやすくなるということです。