チラーヂンS錠(レボチロキシンNa錠 )

成分名：レボチロキシンナトリウム水和物（T４製剤）

先発品：チラーヂンS錠 

後発品：レボチロキシンNa錠 

＜予想される疾患＞
・甲状腺機能低下症（原発性及び下垂体性）、橋本病

・甲状腺腫、粘液水腫

・クレチン病 

＜服薬指導＞ 

[効能説明]

「不足している甲状腺ホルモンを補ってくれるお薬です。」 

[服用方法説明]

「空腹時にお水でお飲み下さい。」（実際は食後処方が多いです。） 

[検査値確認]

＜甲状腺機能検査＞

・TSH（甲状腺刺激ホルモン）：基準値 0.5~5 μIU/mL　橋本病で高値↑

・FT3（遊離トリヨードサイロニン）：2.2～4.3  pg/mL　橋本病で低値↓

・FT4（遊離サイロキシン）：0.8～1.6 ng/dL　橋本病で低値↓

＜甲状腺抗体検査＞

・TgAb抗サイログロブリン抗体：〜40 IU/mL 橋本病で陽性↑

・TPOAb抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体：〜28 IU/mL 橋本病で陽性↑

＊原発性甲状腺機能低下症（橋本病）では血中TSH濃度を指標に、中枢性ではFT4濃度を確認しながらチラーヂンS（レボチロキシンNa錠）の投与量を調節します。必ず検査値を確認しましょう。

＊妊娠希望患者の場合はTSHは2.5以下にコントロールすることが推奨されている。

[服用時注意点]

「使っていて、汗がかきやすくなったり、指の震えなどがありましたら医療機関にご相談ください。」（甲状腺機能亢進症の確認） 

Q.なぜ空腹時に飲むの？

A.チラーヂンSは腸から吸収されるお薬で、腸に食べ物があると吸収が障害されてしまうことがあります。チラーヂンSの吸収を妨げる食物は大豆製品、コーヒー、多量の食物繊維、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト)に含まれるカルシウム(Ca)などが挙げられます。 

参照：長崎甲状腺クリニック  

Q.空腹時っていつ飲むの？ 

A.食前30分前に飲めば、30分かけてチラーヂンSはほぼ吸収されます。吸収された後なら何を食べても問題ありません。 

 [へー！そうだったんだ！］チラージンSは余剰分を持っていた方が良い 

チラージンS：レボチロキシンナトリウム製剤の国内シェアは９８％あすか製薬(株）であり、１箇所の生産停止が完全な供給停止に直結します。実際、東日本大震災の被災によりあすか製薬(株）福島工場の供給がストップした事例があります。
血中半減期(薬の血中濃度が半減するまでの時間)が約1週間と非常に長いとはいえ、甲状腺機能低下症は命に関わる病気であり、代替が利きにくい薬であることから、余剰分を持っていると安心です。 

[へー！そうだったんだ！］チラージンSの「S」って？ 

Thyroid（甲状腺）より THYRADIN とし、Synthesis（合成）より-S とした。(インビューフォームより) 

[へー！そうだったんだ！］チラーヂンS服用患者にコンブは控えよう 

ヨウ素を多く摂取すると甲状腺ホルモンの生成が抑制されてしまい、甲状腺ホルモン分泌量が低下する原因になります。ヨウ素を多く含む食品（特にコンブ）を過剰摂取しないように心がけましょう。 

[へー！そうだったんだ！］リオチロニン(T3製剤)との違い

レボチロキシン(T4)と比較してリオチロニン(T3)は活性が4倍強いが、血中半減期が2〜3日と短い。(レボチロキシンの半減期は6〜11日)

そのため、血中濃度の維持がしやすいレボチロキシン(T4)が使用される。