言いたくても言えない時に
緊急事態宣言が解除され、元の生活、普段のスクールに戻ると、どうして思っていたんだろ?
4月のはじめにスクールを一旦クローズした時の考えが、いかに甘かったかを思い知らされた6月初頭。
若い生徒さんは職を失い、年配の生徒さんはまだ電車に乗って通うには勇気がいる。
その中間の生徒さんは子供さんや親に挟まれて身動きが取れない。。。
そんな全世代的に致命的な傷跡を残した緊急事態宣言、そして言わずもがなコロナウィルス。
それでも「歌いたい」「声を出したい」「空風に行きたい」そんな思いが生徒さんを
一人、また一人と動かして、現在1/3くらいまで生徒さんが戻ってきた。
ブログでも書いたようにできる最大限の設備でお迎えし、日に日に教室自体が生き物のように蘇生している。蘇生術は生徒さんからの喜びの声だ。
今回ばかりはいくら蘇生しても、こちらから「もう大丈夫だと思うから帰ってきませんか?」
とは言えない。
あの人はどうしてるだろ?あの人からの連絡はなんでないんだろ?
心配しながらも、あくまで「再開は生徒さんにお任せ」ということにしている。
それぞれの事情があるのはわかるからこちらからはどうしても急かせない。
そんな中、今日も一人、早めにレッスンが終わりカフェコーナーの清掃をしていると
足早に雨の中こちらに走ってくる男性が目に入る。
スクールから目と鼻の先にお住まいの生徒さん。
職場がゴタゴタしていて連絡もできず申し訳なかった、7月から戻りたい、と言われる。
まだまだ落ち着かない状況だけどこの日なら大丈夫だと思うから、と早速ご予約。
お互いに老犬を飼っているのでワンコの話を少しして、雨の中帰られた。
不覚にも少し泣いてしまった。戻ってきてくれたのが嬉しかったから・・・とは
少し違った。
その数時間前から数人の生徒さんをレッスンしてた。みんな再開を心から喜んでくれて
「楽しい」「楽しい」を連発して帰られていた。
職場でも無駄話厳禁。マスクして小声でってルールがあるらしく、「こんな大きな声で
声出せたの久しぶりだ」とはしゃいでいた。
生まれてこの方「こんな風になりたい」と思ってなれた試しが無かった。
デビューもできたし、愛してくれるコアなフェンの方もいる。音楽で生活をしていけてる
って意味ではもう十分なんだけど、描いてた未来よりずいぶん縮小コピー気味だ。
だけど、このスクールだけは「こんなスクールになったらいいな」が形になってる気がして
嬉しくて泣いた。
蘇生してくれたのと同じ。夢を叶えてくれたのはやっぱり生徒さんだ。
今までの夢は自分が叶える夢だった。
この夢はメンバー(生徒さん)が叶えてくれるんだなぁと思った。
誠実に、ただ誠実にお仕事をさせて貰えば生徒さんがその後の道を作ってくれる。
2ヶ月、自分の時間を失ったけど、これに気づいただけでもまるもうけ。
明日も頑張ろう。