北京の空気
今月初め、事務所のスタッフやarea045仲間の栗原さんと一緒に北京へ旅しました。週末を使った2泊3日のあわただしい旅程でしたが、4年後のオリンピックを控え高度成長のただ中にある首都の空気を感じに行く、というのが目的でした。
北京に着いてすぐ向かったのは、山本理顕さんの設計された県外SOHO。少し前に雑誌で採り上げられてましたので、建築関係の方はご存知と思います。
このプロジェクトの現場に、理顕さんのスタッフとして常駐され、現在独立して現地で設計事務所を開いている、迫(さこ)さんのオフィスにおじゃましました。SOHOの8階にあるオフィスは、理顕さんの事務所から迫さんと一緒に独立した日本人の若手たちを中心に、10人くらいで週末なのにコンペ〆切前でがんがん働いてました。その中に、大学の後輩と、昨年事務所でバイトしてくれた横浜国大OBのU君がいて、さらに昨年度教えてた現・横国大生N君がたまたまバイトで来ていたのにビックリ。世の中狭い!
彼らが今係わっている仕事はみんな数万m2単位の大きな規模で、日本の3倍の早さで工事されていく(一日3交代で休みなしに工事がされ、下手すると寝ている間に指示してないことをやられてしまう?)そうです。とにかく走る、走る・・・という感じで。
県外SOHOの建築デザインは、バルコニーがなく均質で端正なファサードが幾重にも重なって映像のように見える光景が、とても印象的でした。
日本ならば、集合住宅は超高層であってもバルコニーがあるけれどそれがなく、アルミサッシュも、木製建具のようにシンプルで、一見外側と内側の差が分からない。外断熱した白い外壁をたたくととても軽い音で、かつてポルトガルで接したアルバロ・シザの作品の外壁と同じ意外さを感じました。(白い壁なんだから、よく考えれば不思議じゃないはずですが、モダニストの頭でいるからか?)
日本のしばりを離れて作り出されたできたての、住み、遊び、働くまちが、今後どのような関係を人々と結んでゆくか、興味あるところです。
後ろ向きのおばあさんを乗せてるおじいさんとか、車くらい幅広の荷台をつけて仕事に向かってるおじさんとか、自転車の多様なカスタマイズがとても面白かった。
既製品の組み合わせではなく、ないものを作っていくのが普通という状況と、どんどん手作りでカスタマイズって何か近いような気がして、そのバイタリティに刺激され元気になりました。
この原稿の準備中に新潟で地震が起きました。台風に地震。今年の日本の秋は苦しい!!
(高橋晶子)