正中切開のMVP (経中隔アプローチ)
準備
普段通り
管理目標
前負荷:過剰になると左心系が拡大し、逆流量が増える。適切な前負荷を維持する。
後負荷:麻酔で低くなるので、アドバンテージあり。
心収縮力:保つ!
心拍数:正常から高め。
肺血管抵抗:上昇を避ける。
手順
導入 術前の利尿薬でdryで入室した場合は、適切な前負荷を必要とする。
挿管刺激での急激な血圧上昇は逆流量を増やし、肺水腫を生じることがあるので、注意。
導入からヘパリン化まで:患者の日常のVitalとする。
呼吸は、Normo PaCO2とする。
TEE
Afを合併している場合は、左心耳内血栓もチェックする。
弁形成後、5-10%にSAMを生じる。リスクファクター(長い後尖、小さい左室、Sigmoid Septum)がないか、チェックしておく。離脱の際のカテコラミンやボリュームの計画を立てる際の参考とする。
ヘパリン化:当院では心膜切開直前にヘパリンを投与する。大動脈への操作に向けて、血圧を下げ始めるが、まず、ヘパリンを入れることで少し下がる。また、この時点でPropofolを始めることで血圧を下げることができる。ACT>480secを目指す。
心膜切開
Aoへの糸掛とAoカニュレーション:sBP<100とする。90前後を目指そう!
送血管とCPB回路をAir抜きをしなが繋ぎ、拍動をチェックする。
次に脱血管を入れる際に、RAや大静脈が圧迫されて血圧が落ちるので、ネオシネジンのショットをしても良いし、麻酔深度を浅くしたり、血圧上昇方面へと舵を切る。ただし、すぐにPump ONになるので、そこまで血圧にこだわらなくても良いという先生もいる。当院では、プライミングボリュームが少ないので、initial dropが生じやすいので、あまり低くない方がMEさんが楽。
この間に、TEEでHeaptic Veinを描出しておく。
SVCへの脱血管
Pump ON : halfで回り始める。CVPをチェックする。陰圧脱血の影響を受けているようならば、ルーメンを替える。ただし、当院では白(Distal) は、DOBとNAと決まっているため、白以外の灰 (medium)となる。
halfのため、呼吸はオフとならないが、IVCへの脱血管は肺が虚脱している方がやりやすい。この時点で、換気量を極力少なくする。
IVCへの脱血管:IVC内のhepatic veinを少し超えた所に先端があるとGood.
full flowで呼吸止め、輸液止め、モニターと呼吸器を人工心肺モードに。
Eustachian Valveがある場合は、抵抗ある??
Pump Full flow : TEEで解離になっていないか確認する。
心筋保護カニューレ挿入
Ao遮断 & すぐにante:TEEにてちゃんと噛めているか、LVが張ってこないかを確認。
「左室大丈夫です。」または「左室、少し張ってきました。」など術者に声をかける。MRがある場合は逃げ道があるため、若干安心。
ARがある場合、ventで吸引してしまうとcoronaryにCPが流れない。術者が左室を押したり、A弁を左室側から押さえたりする。
今回は、左室が張ってきたが、そのまま急いで右房&中隔切開。中隔からベントを挿入して、虚脱させた。
Arrest:なかなかarrestにならない場合は、TEEでもう一度、しっかり噛めているか確認する。術者は冷水で心臓を冷やす。
弁の観察と修復:CPBを降りるまでにFibを知りたいので、単弁の場合は乗ってすぐに採血を出す。re-doなどFFPを積極的に使用したい場合は、早めに解凍を始める。
自己心拍?:途中、アーチファクトなのか本当に自己心拍が再開しているのか迷うときは、TEEにて左室が動いているかいないかを術者にしっかりとお知らせする。
血胸?:pumpサイドでvolumeが取られると言っている場合、術野では見えない胸腔内に溜まっている可能性がある。TEEでチェック。
M弁の水テスト:TEEにて、水でLVが張っていることを確認する。「ちゃんと、LV張っています。」等、一言、声をかける。
心房中隔縫合:10分後のAo declampに向けて、エコー班を呼ぶ。最後の一針は肺からの血液でair抜いて閉めたいので、inflationと声がかかるので、20cmH2Oで加圧する。ドボンを残したまま心房を閉める。ドボンの根本にターニケットをかけておく。
Air抜き:心筋保護カニューラの分枝に青(サッカー)を繋いで、air抜き。
head down
Ao declamp :Pacerを始める。Pacerに乗り始めたら、HR80程度までゆっくりと上げる。この時期は、SVが少ないので、COをHRで稼ぎたい。通常80 - 100の心拍数が必要。平均血圧から後負荷を整える。VolumeをsBP90程度で入れ切りたいので、mBPが60程度となるように後負荷を整える。ただし、Ao declamp直後は、遺残していたCPや代謝産物で一過性にmBPは落ちることがよくあるので、ここで上げすぎないように!
この時点で、右房は開いている。少しでもclamp時間を短くしたいので、左心系が閉じたら、declamp.
Pacer:VVI 50-60程度、stim 18V (Max), sence 3mV程度で設定をする。senceの感度を鈍くしたい場合は、5mVとか数字を上げていく。
ドボン抜去:inflationして、ドボンを抜いた瞬間に同時にターニケットを絞めて糸結びで完全に閉じる。
右房閉じる
胸水を吸う
エコーチェック:エコー班がチェックする際に、一旦、pump offとなる。呼吸を始める。次の本格的な離脱の参考に、この時点でのリザーバー残血とBPをチェックしておく。
弁の状態、心筋の動き、air、胸水をチェックする。
MVP特有の合併症は、残存逆流、SAM、MS, 左回旋枝損傷、左室破裂、大動脈弁損傷。
チェックが終わったら、またポンプ再開。フルフローで、呼吸を止める。ここで、またmBPが60程度になるように後負荷を整える。この時点で、離脱に向けて、伝導、調律、心電図異常の有無、電解質、pH, Lac, Hb、凝固、体温をチェックする。
全てが整ったら、pump offに向けて動きだす。
換気を再開する。FiO2 100%, PaCO2 40mmHg以下で維持したいくらいのMVで。
心機能がすごく悪くなければ、mBPを60程度だとちょうどよく降りれる。
特に注意して見ておくこと
1. 血圧 sBP 90となるように。 MEさんには、左室のVolume感は分からない。sBP90程度となるようにVolumeを入れてくる。高すぎると、volumeを入れ込めない。左室のVolume感はTEEでないと分からないので、血圧と短軸像を見ておく。
至適前負荷:十分な心拍出量を得られる最低の充満圧のこと!大きな前負荷はダメ!!
2. CVP 右心充満の指標。右心系の張りは、目視でも見れる。
MRの弁修復後は、全ての容量を大動脈側に送るので、左室にとっては後負荷が高い状態となるため、EFが低下する。SAMがなければ、強心薬でサポートする。後負荷を下げる努力を。
とにかくTEEで左室内腔の大きさと動きとBPとCVPを観察する。
pump off:当院ではあっという間。
すぐにプロタミン、カニューレ抜去となるので、sBP90前後に保つように!80台で構わない。
プロタミン テスト:アナフィラキシーやアナフィラキシー様反応がないか。
問題なければ、「続きをどうぞ。」と言われるので、入れていく。サッカーが止まる。この時期、血圧が下がりやす。プロタミンの血管拡張作用もあると思う。残血があれば、戻してもらう。昇圧剤を入れながら、プロタミンを入れていく。
プロタミンを入れながら、血圧と術野を見ておく!
IVC脱血管抜去:静脈灌流が妨げられないように、早期に抜去される。脱血管からの血液の回収量は、200ml程度。送血管から戻してもらえる。ここでは出血と不整脈に注意!
ルート抜去
SVC脱血管抜去
送血管抜去:教科書的には、少なくとも半量のプロタミンが入ってから。当院は抜けるようになったら抜いてしまう。ここでも出血していないか術野を観察する。
引き続き、sBP80台で維持を続ける。TEEで左室内腔の大きさ&動き、CVPをチェック。
血ガスにてpH, Hb, 電解質、Lac, 血糖値をチェック。
常に、心拍数、調律、前負荷(TEE)、収縮性(TEE)、後負荷を考えながら、sBPを80台に保つ。ショット薬を使用して良いから、BPを保つ!
ペースメーカーから落ちていないか、自己心拍が入ってきていないか、調律に注意!!
胸骨ワイヤーがかかり始めたら、閉胸での血圧低下を避けるためにsBPを90台にしておく。
閉胸時、vital大丈夫か一声かける。
閉胸後、TEEの片付け、ICUの移動に向けて、フェンタのボーラスなど麻酔を整えていく。sBP90台だと良い。
術後指示
indentationからの逆流が残存していた症例では、目標血圧は少し低めでsBP 80 - 110 mmHg
であった。