KURASHIをたのしむVol.5 猫仕様に特化した家づくりが話題
猫との暮らしが34年に及ぶ鈴木智恵社長。猫好きが高じ社長に就いて間もない5月に猫と快適に暮らせる家「猫住宅」の販売を始める。猫住宅の建売りは珍しく、反響を呼び既に第2弾の建物も完成させた。キャットシッターの仕事も継続中の鈴木社長に、猫との暮らしの魅力や住まいの工夫を聞いた。
▲第一住宅(埼玉県蕨市)代表取締役 鈴木智恵さん
大学卒業後、営業事務や個人事業のキャットシッターを経験。昨年3月に創業43年続く第一住宅を父から継ぎ社長に就任する。猫共生型住宅の販売の他、猫仕様にした賃貸物件やリフォームを手掛ける。
猫との暮らしが生きがい
猫が部屋の中を一周できるキャットウォークや1階から3階まで自由に行き来できるキャットドアなど、猫との暮らしを考えて建てられた猫住宅。販売を手掛けるのは創業43年の不動産会社「第一住宅」だ。
猫住宅の建売りは珍しく、見学会では40組が訪れた。11月には早々に売れて第2弾の販売も始まる。発案者は社長の鈴木智恵さんだ。
鈴木さんは、大学生活の4年間を除き猫との暮らしが34年に及ぶ。
「猫と離れて生活を送っていた頃、精神的にバランスを崩し引きこもった時期があります。その時に現在飼っている姉妹猫と出会い、”この子たちのために頑張ろう”と生きる活力が湧いてきました」と話す。生活が楽しくなり、猫のごはん代を稼ぐために外にも出られるようになったという。
「猫が家で待っているので、社長に就いても何もなければ仕事が終わったらすぐ家に帰ります。規則的な生活を送れますね」。
年末年始や盆休みの期間はキャットシッターの繁忙期になるので、会社の休みを利用してキャットシッターとして働く。忙しくても猫と関わった暮らしが楽しくて仕方がない。
リフォームで猫が元気に
「猫住宅販売の一番のきっかけは、うちの猫たちの変化を目の当たりにしたことなんですね」と鈴木さん。一昨年、自身の住まいのために中古マンションを購入し、猫仕様にリフォームした。
「飼っている姉妹猫は15歳です。高齢なのでリフォームしてもしょうがないという人もいますが、ステップの間隔を狭めたり、階段をつけたり、そんなにジャンプ力がなくても家中を移動できるように高齢仕様に造りました。猫たちは腎臓が悪くなっていますが、猫仕様の部屋で暮らすようになってから、定期的に受けている血液検査で数値がよくなりました。猫が元気になり、いきいきした姿を見ていると私も嬉しい。人間だけでなく猫にとっても住環境は大切だと実感しました」と話す。
自宅のリフォームがいわば実験になった。
猫のストレスをなくし安全に配慮
猫住宅は、自身のアイデアに加え、猫好きの1級建築士・ネコアイ代表の清水満さんが監修。猫と快適に暮らせる工夫がちりばめられている。
例えばキャットウォークは、行き止まりにならず猫がストレスなくリビングを一周できるつくり。ガラスウォークを設け、飼い主は下から愛猫のかわいい肉球やおなかを楽しめる。
部屋を自由に行き来できるキャットドアは、しっぽが挟まらないように配慮し、真ん中が折れる「アトム」のペットドアを使用。蓋がついているので、状況に応じて完全にふさぐこともできる。また玄関脱走防止戸は、自宅リフォームでも造作したお洒落な木製の格子戸。風通しがよく、猫が開けることを防ぐ自動ロックが付く。
「これから人口が少なくなり住宅購入者も減少し、普通に住宅を売っていても厳しい。今は飼育数は犬より猫が上まわっています。猫に特化してやっていきたいなと考えています。他では猫住宅を見られる機会はないのでモデルハウスとして利用しながら販売しつつ、リフォームで既存の住宅にも猫との楽しい暮らしをプラスしていければいいですね」と鈴木さんは抱負を語る。
猫住宅を拝見
猫と人が快適に楽しく暮らせるように、生態や運動能力などを考慮して設計されている。
▲猫が一周できるキャットウォークを備えたリビング。壁紙は「ルノン」の強化クロス“幼児の城”を使用。
▲リビングに換気扇付きの猫トイレスペース。大容量の猫砂収納庫には、フードや猫グッズもしまえる
▲キッチンは猫が入れないつくりだが、料理しながら猫や家族が見える。シンク前は引き違いのガラス戸で、引戸は猫が開けることを防ぐ自動ロックが付く。
▲自宅の姉妹猫が仲良くキャットウォークで
▲玄関は風通しがよく、見た目もお洒落な格子戸
▲猫のかわいい肉球やおなかが見える強化ガラスウォーク