南留別志302
2020.06.16 08:35
荻生徂徠著『南留別志』302
一 国々に日野といふ地名あり。烽(のろし)を挙げたる所なるを、後に火の字忌みて、かき替へたるなるべし。火の国を、肥に改めたる類なるべし。
[解説]各地にある日野という地名は、由来の一つとしてのろしを上げた「火野」という表記だったのが、火は火災を連想させ、火事を殊の外恐れた昔の人たちは火の字を避けて日の字に替えたのだろうとする。東京にある日野市の場合、徂徠がいうように烽火台があったという説がある(他にもとから日野とする説もある)。地名における火野は現在ほとんど見当たらないが、同様の由来も少なくないことだろう。