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「惑星」片山令子

2020.06.17 08:18

今年一番売りたい本はこの本です。

「惑星」片山令子

今年どころか、当店の永遠の定番にしたい、そんな本です。


去年の11月に発売になった本ですが、今年になってから読んだのでご紹介が少し遅くなってしまいました。

ですが、いつ手にとっても、どの季節でも、どの年齢でも、きっとその時々の心に響く、素晴らしい本です。

自分もこの本のページを、これから先の人生の中できっと何度も、何度も開くでしょう。


2018年に逝去された、詩人で、絵本作家でもあった片山令子さんの、エッセイと、そして少しの詩の本です。

本の装画は絵本作家の片山健さん。令子さんの夫ですね。

ご夫婦で作られた絵本では「たのしいふゆごもり」などが良く知られているでしょうか。


その令子さんの、1980年代から、亡くなる直前の2018年までに様々な媒体で発表された、ベストエッセイ集。

話題は日常的なこと、子育て、子どもたちとの日々のこと、自身の創作のこと、絵本や本のこと、旅や友人のこと、ラジオのこと、オルゴールのこと。

書かれた時期は全くバラバラでも、その文章から響いてくる音はいつも透明で、そのまま胸に染み渡り、自分の心まで、透明になっていくかのようです。


その、言葉にあてられてしまう。


胸の中にいつの間にかに溜まった、淀んだ水。

言葉が、その胸の水槽にぽとりぽとりと落ちて沈んで、底に積もっていくのなら、自分はこういう言葉だけを、沈ませていきたい。


いつでも取り出せるように、ポケットにいつも折りたたんで、その言葉を持っていたい。


「人は一人で生れて一人で死んで行くといいますが、ひと時、子どもが生れて間もない何年か、親と子はこんなにもぴったりと近くで生きていくことが出来るのです。その中で、絵本を読んだ時間が今も心に残っています。絵本はまるで、こうありたいという、ほんとうの世界に向って開かれた明るい窓のようでした」


「本は窓に似ています。どこかへでかけていけるところなのです。それは、『いってきます』といってでかける玄関ではなく、ピーターパンがウェンディを連れ出した窓のように、どんな時でも、どんなかっこうをしていても、何ももっていなくても、いきなりでかけていける窓なのです」


私はこの本の窓を持って、何処へでも行こう。


きれいな言葉を胸に沈めて、新しい自分になろう。

明日から、今日から。



ずっと、当店には置いておくつもりです。

ご注文は当店オンラインストアよりお願いいたします。

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