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神経系の感染症:診 断と治療の進歩

2020.06.17 13:24

https://www.med.kindai.ac.jp/transfusion/ketsuekigakuwomanabou-252.pdf#search='%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%81%8C%E6%AF%92%E3%81%AB%E4%BE%B5%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%AB%E6%8E%92%E6%B3%84%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%9C%89%E6%AF%92%E7%89%A9%E8%B3%AA' 

【今さら聞けない「ウイルスと細菌と真菌の違い」】 → 画像中心です。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/85/5/85_5_655/_pdf  

【神経系の感染症:診 断と治療の進歩】  より

神 経系 をお かす微 生 物

島田 馨

要 旨

髄膜 炎の最 もポ ピュラー な病原微 生物 はウイルスではエ ンテ ロウイルスであ り,細 菌で は肺炎球菌 で ある.ま たム ンプスや麻疹 の経過中 に髄膜刺 激症 状が まれ な らず見 られ,小 児 ではヘモ フィル スの髄膜 炎 も多 い.真 菌で はク リプ トコ ッカス とム コー ルが挙 げ られ る.レ プ トス ピラ,リ ケッチア,原 虫,寄 生虫 も髄膜 炎や脳症 な ど中枢神経系感染 の原因 とな る.最 近 ではスロー ウイルスに よる中枢神経 系の疾患が注 目 されてい る.

〔日 内 会 誌 85:655~658,1996〕

Key words:エ ン テ ロ ウ イ ル ス,ス ロ ー ウ イ ル ス,真 菌

1.ウ イ ル ス

1)エ ンテ ロウイ ル ス

ウ イル ス性 髄 膜 炎 の起 炎 菌 と して は最 も多 く,起 炎 ウイ ル ス が 同定 され た ウイ ル ス性 髄膜 炎 の8割 以 上 を しめ て い る.エ ンテ ロウ イ ル ス は ピ コルナ ウ イ ル ス の 一 種 で,エ ンテ ロ ウ イ ル ス68-71,72(A型 肝 炎 ウ イ ル ス)の 他 に コ クサ ッキー ウイ ル

スA,B,ポ リオ ウ イル ス な どが含 まれ る.エ ンテロ ウ イル ス は糞 便 中 に排 泄 され るの で,糞 便 →手→ 口の 経 路 で感染 す る.エ ン テ ロ ウイ ル スや コ クサ ッキー ウイ ル ス に は数 多 くの血 清型 が あ るが,髄 膜 炎 を起 こす 主 な血 清 型 は時 代 や地 域 に よ って

異 な って い る.エ ンテ ロウイル ス は培 養細 胞 で培養 可能 であり,髄 液 か らの分離率 は40~80%で ある1).髄膜 炎患者 は発症中だ けでな く,前 後数週 間にわたってウイルス を排泄 し続 けるので,咽 頭 ス ワップや糞便か らも分離 され るが,流 行期 にはエ ンテロウイル スの無症候 性 キ ャリアが健康人 の7.5%程 度 存在す るので,咽 頭や糞便の培養 は特異的ではない.髄 液中の ウイルス量 が少 ないこ ともあって,髄 液の エ ンテ ロ ウイ ル ス抗 原検 出 は実 用化 に いた っ ていな い.

予防接種 のお陰で ポ リオ は本邦 か ら消失 したが,予 防接種の普及の遅れている開発途上国で はポ リオが残 ってい る.ポ リオが感染 して も90%以上 は無症候で あり,4~8%無 菌性髄膜炎 を発症するが麻痺 を起 こさない.脊 髄灰 白質炎を起 こして麻痺 を生ず るの は1%以 下である.

2)ム ンプ ス ウイ ル ス

ム ン プス ウ イル ス はパ ラ ミキ ソウイ ル ス の一 種で,ム ンプ ス ワ クチ ンの登 場 まで は,エ ンテ ロ ウイ ル ス に次 い で ウイ ル ス性 髄膜 炎 の第 二位 の原 因ウイ ル ス で あ った2).ム ンプ ス の流 行 時 に髄 膜 炎を発 症 す るの は1~10%程 度 で あ る が,無 症 候 性

の例 は もっ と多 く,耳 下腺 炎 患 者 の半 数 近 くに髄液 の細 胞 数増 加 が 見 られ る とい う.ム ン プス ウィル ス の迅 速 同 定法 は無 く,培 養 同定 に は少 な くとも1週 間 を要 す る.し か し大 抵 は臨床 的 に診 断 でき る し,抗 体検 査 も裏 付 け とな る.

3)ヘ ルペ ス ウイ ル ス

ヘルペ スウイルス属 の中枢神経系感染症 は,単純ヘルペスウイルスに依 るものが最 も多い.こ こでは脳 炎 と髄膜炎を峻別 してお く必要が ある.単純ヘルペス脳炎 は1型 ウイルスが原因で,散 発的に発生 し,予 後 きわめて不良で あり,髄 膜炎 は主にII型 ウ イル ス で,ア シ クロ ビル な どの抗 ヘ ルペス薬 を使 用 しな くと も予 後 良好 で あ る.姓 器 ヘ ルペ ス の初 回 感染 時 に は女 性 の36%,男 性 の13%に頸 部 硬 直,頭 痛,羞 明 な どの症 状 が み られ るが3),再 発 時 に は髄 膜 炎合 併 の 頻 度 は低 い。 牲 器 ヘ ルペス感 染 症 で は しば しば尿 閉 を起 こすが,ウ イ ル スに よっ て 自律:神経 が侵 され た と考 え られ て い る.水 痘 ・帯 状疱 疹 ウ イル ス の 中枢 神 経 系感 染 として は水 痘 で 軽度 の髄 膜 炎 の 合併 が あ るほ か,帯 状疱疹 で も髄 液 の細 胞 数 増 加 が まれ な らず認 め られる.脳 炎,脊 髄 炎,神 経 根 炎 や,Ramsy-Hunt症 候群 も同 じ く水痘 ・帯 状 疱 疹 ウイ ル スの神 経 系 感 染で あ る.ま た コ ンプ ロマ イ ズ ドホ ス トの播 種 性 の帯 状 疱 疹 で は無 菌 性 髄 膜 炎 の合 併 が 見 られ る こ とが あ る.ヘ ルペ スウ イル ス属 のEB(Epstein-Ban)ウ イ ル スや サ イ トメ ガ ロ ウ イ ル ス の無 菌性 髄 膜炎,脳 炎 も コ ンプ ロ マイ ズド ホ ス トに見 られ る.

エ イ ズで はサ イ トメ ガ ロ ウイ ル スの脳 室 脳 炎,脊髄 炎,多 発性 神 経 根 炎 も珍 し くない4).

4)エ イズ ウイ ル ス(HIV)

抗 体 陽性 とな る時 期 に単 核 球 増加 症 類 似 の 感 冒様 症 状 が 見 られ るが,こ の時 急 性 無菌 性 髄 膜 炎 を発 症 す る こ とが あ り,髄 液 か らエ イ ズ ウ イル ス が分 離 され る5).エ イ ズ脳症 はCT(computed tomography)で 脳 実 質 の 萎縮,脳 室 の拡 大 な どが 見 ら

れ,老 人 性 痴 呆 のCT所 見 に似 て い る.エ イズ ウイル ス は脳 の 中 のマ ク ロフ ァー ジ由来 の細 胞 に感染し,感 染 細 胞 か ら放 出 され るNO(一 酸化 窒 素),スー パ ー オ キサ イ ドイ オ ン,サ イ トカ イ ン な どが隣 接 の神 経 細 胞 を活性 化 し,過 剰 反 応 を引 き起 こして神 経 細 胞 死 を誘 発 させ るの で は な いか と推定され て い る.

5)ベ クターで媒介 されるウイルス

世 界 各 地 に は節 足動 物 で 媒 介 され て脳 炎 ・髄 膜炎 を起 こす ウイ ル ス が多 数 存在 して い る.重 症 例は脳 炎 を起 こす が,軽 症 例 は無 菌 性 髄 膜 炎 に と どまる.日 本 で は 日本 脳 炎(日 本 脳 炎 ウ イル ス は フラ ビウ イル ス の一 種)が 有 名 で あ るが,そ の ほ かセ ン トル イ ス脳 炎(フ ラ ビウ イル ス),カ リフ ォルニ ア脳 炎(ブ ンヤ ウイ ル ス),ベ ネ ズエ ラ脳 炎,東部 馬 脳 炎,西 部 馬 脳 炎(ア ル フ ァウ イル ス)な どは蚊 で媒 介 され る。

6)ス ロー ウ イル ス

ス ロー ウ イ ル ス に依 る 中枢 神 経 系 の 疾 患 と して,JCウ イ ル ス の進 行 性 多 巣 白質脳 症(PML),変 異 し た 麻 疹 ウ イ ル ス の 亜 急 性 硬 化 性 全 脳 炎(SSPE),風 疹 ウイル ス の風 疹 全脳 炎,成人T細 胞白 血 病 ウイ ル ス(HTLV-I)のHAM(HTLV-Iassociated myelopathy)な どが挙 げ られ る.J Cウ イ ル ス はパ ポ バ ウ イル ス科 の ウ イ ル ス で,ヒ ト ・ポ リオ ー マ ウイ ル ス とも呼 ば れ て い る.感染 成 立 は小児 期 で,大 多 数 の 成 人 はJCウ イ ル ス に対 す る抗体 を持 っ て い るが,ウ イ ル ス は完 全 に排除 され る こ とな く慢 性 の 持続 感 染 状 態 に あ る.感染 の 場 は 腎 で,弱 いな が ら もウ イ ル ス は増 殖 し続け る の で,成 人 の 半 数 以 上 の 尿 か らPCR(polymerase chain reaticon)法 でJCウ イル ス を検 出 で きる6).尿 由来 のJCウ イル ス と進 行 性 多 巣白質 脳 症 の脳 由来 のJCウ イル ス の 塩基 配 列 を比較 す る と,脳 由来 株 は尿 由来 株 の調 節 領 域 の 塩 基配 列 に欠 失 と重 複 な ど再 編 成 が起 き て お り,こ の変 異 で脳 の病 原 性 を獲 得 した ので は な いか と され

てい る1).

亜急性硬化性全脳 炎では髄液 中の麻疹抗体が陽性であ り,変 異麻疹 ウイルスの持続感染が成立 してい る.ウ イル スのM蛋 白 をコー ドして いるRNAゲ ノムの変異のためM蛋 白が発現で きず,ウ イルス粒子が形成 されな くなっていて,ウ イルス は細胞内に とどまっている.風 疹全脳炎 は先天性風疹児にのちに発症 して くるまれ な脳炎で ある.

7)そ の他 の ウ イル ス

アデノウイルス も時に脳炎や髄膜炎 を起 こす.麻疹や風疹で も脳 炎様症状が見 られ る.リンパ球 性 脈絡 髄 膜 炎 ウ イ ル ス(lymphocyticchoriomeningitis virus)は ア レ ナ ウ イル ス の 一 種で〓 歯 類 か ら感 染 し,上 気 道 症 状,筋 肉 痛,睾 丸炎 な ど と共 に髄 膜 炎 を発 症 す る もので,従 来,本邦 に な い とされ て きた.狂 犬 病 も40年 以 上 本邦 で の感 染 発 症 例 は な い.

2.細 菌

1)肺 炎球菌

細菌性髄膜炎の最 もポ ピュラーな病 原細菌 である.肺 炎球菌性髄膜 炎の大多数は2歳 以下 の乳幼児 であるが,成 人の細菌性髄膜炎の1/3か ら1/2も肺炎球菌 に依 るものである.肺 炎球菌 はグラム陽性球菌で,α溶血性であ るがオプ トヒン感 受性,胆汁溶菌試験陽性 の性質 か らα連鎖球 菌 と区別で きる.肺 炎球菌はポ リサ ッカライ ドの英膜 を持ち,その抗原性 に拠って83の 血清型 に分かれる.こ の英膜多糖 体は 白血球の貪 食 に抵抗 するな ど肺炎球菌 の病原性 に大 き く関与 していて,〓 膜多糖体 に対する抗体が感染防御抗体 である.現 在23の 血 清

型 をカバーす る肺 炎球菌 ワクチ ンが実用化 されてい るが,髄 液か ら分離 され る肺炎球菌 の76~83%はワクチ ンの血清型 に含 まれ てい る8》.肺炎球菌は健康人の咽頭に常在 しているが,咽 頭分離菌の血清型が髄 液か ら分離 され ることは珍 しい.肺 炎球菌性髄膜炎 は散 発性 で,ヘ モ フィルスの髄膜 炎と違 って小流行 をお こすこ とはない.

2)ヘ モ フ ィル ス イ ンフ ル エ ンザ

小児の細菌性髄膜 炎の起炎菌であ る.本 菌の傷膜炎 の80%以 上は2歳 以下の乳幼 児であ り,成人ではほ とんど見 られない.ヘ モ フィルスはグラム陰性 の 多 形 性 の 桿 菌 で,萸 膜 多 糖 体 の 血 清 型 によっ てaか らfま で あ るが,髄 膜 炎 を起 こす の はb型で あ る9).b型 爽膜 はpolyribosyi ribitol phosphateの反 復 す る構 造 で,宿 主 の 免 疫機 構 の認識 か ら逃れ るの に関係 あ る とされ て い る.成 人 の ヘ モ フィル ス髄膜 炎 は外傷 後,糖 尿 病,大 酒 家 な どに見 られ,b型 と は限 らな い.

3)B群 連鎖球菌

B群 連 鎖球菌 は60~70%の 妊婦 の腟 に存在 していていて10),新生児の髄膜 炎の主 な起炎菌 となる.B群連鎖球菌 はla, Ib, II, IIIの四つのサブタイプに別れ るが,髄 膜炎の ほとん どがサ ブタイプⅢである.産道 での垂直感染 の他 に,助 産婦,看 護婦,保 母な どの手 を介 して も拡がるので,新 生児室で は水平感染 もお こりうるが,髄 膜炎 も含 めてB群 連鎖球菌感染症が発症す るのは保菌児の1%以 下である.B群 連鎖球菌髄 膜炎 は60歳以上 の大酒家 に も見 られ る.新 生児の髄膜 炎の起炎菌 はこのB群 連鎖球菌 のほか に大腸菌 とリステ リアが ある.

4)リ ス テ リア

グ ラム 陽 性 桿 菌 で,ジ フテ ロィ デス や連 鎖 球 菌に間 違 え られ る こ とが あ る.リ ス テ リア に は少 なくと も11種 類 の血 清 型 が あ る が・ リス テ リア感 染症 の90%以 上 はIa,Ib,IVbの 三 つの 型 で,中 で もIVbが 多 い11).リ ス テ リア髄 膜 炎 は新 生 児 とコ ン

プ ロマ イ ズ ドホ ス トに好 発 し,発 生 の季 節 は他 の髄 膜 炎 と異 な って夏 か ら秋 が多 い.チ ー ズ,ミ ルク,コ ール ス ロー な どの食 物 が リステ リア に汚 染され,こ れ が原 因 で 小流 行 を起 こ した 例 が あ る12)。

5)大 腸菌

新生児 の大腸菌髄膜炎 の3/4以 上 はKI抗 原 を持つ大腸菌で,過 半 数の妊婦 の直腸 にはKI抗 原 を持つ大腸菌が常在 していて垂直感染 を起 こすが,新生児が この大腸菌 を持って も髄膜 炎発症 はまれ とされている.

6)髄 膜炎菌

グラム陰性の双球菌 である、肺炎球菌同様 にポリサ ッカライ ドの莢膜 を持 ち,こ れ以外 にリポポリサ ッカライ ド(エ ン ドトキシン),線 毛,IgAプロテアーゼ等が髄膜 炎菌の病原性 を規定する因子である.莢 膜多糖体 の抗原性によって13の血清群に分 けられ るが,髄 液分離菌 はA,B,C,Y,W135の血清群 が多 い.髄 膜炎菌性髄膜炎の流行 は冬から春 にかけてであるが,流 行時 には髄膜 炎菌が健康人の上気道 に定着 しやす く病原性の高い株が定着すれば発症の危険が ある.海 外で は肺炎球菌に次 いで髄膜炎の第二 の起炎菌 として問題 にされているが,国 内で髄膜炎菌性髄膜炎 はほ とん ど見 られ な くなった.

7)結 核 菌

髄 液 か らの 結核 菌 検 出 が診 断 の鍵 とな るが,結核 菌 で は遺 伝 子診 断が 実 用化 し,健 康 保 険 の 適 応が承 認 され た.遺 伝 子診 断 用 キ ッ トにGen-Probe;MTDとAmplicorTm Mycobacteriaが あ る. Gen- Probe;MTDはRNAポ リ メ ラー ゼ で 結 核 菌 のrRNAを 増 幅 してDNAプ ロー ブ で 検 出 す る もので あ り,Amplicor TM MycobacteriaはPCRを 用 いる方法 で あ る.い ず れ も感 度 と迅速 性 にす ぐれ た方法 で,結 核 性 髄 膜 炎 の細 菌 診 断 の革 命 とい ってよい.

8)そ の 他 の細 菌

ブ ドウ球 菌,特 に表 皮 ブ ドウ球菌 はCNS(central nervous system)シ ャン ト感染 の最 も多 い起炎 菌 で あ る.黄 色 ブ ドウ球 菌 の髄 膜 炎 は まれ で あるが,そ の多 くは外傷 や脳 外 科 手術 に続 発 し,ある い は糖 尿 病 患 者 な どの 基 礎 疾 患 の 上 に 発 生 する.緑 膿 菌 の髄膜 炎 は ほ とん どが腰 椎 穿刺 や 脳 外 科手 術,あ るい はCNSシ ャ ン ト留置 に続發 してい る.癩菌 は末梢神経炎 をお こす.神経障害 を起 こす細菌毒素 としてジフテ リア毒素,破 傷風菌毒素,ボ ツ リヌス菌毒素 などが挙げられ る.

3.真 菌

1)ク リプ トコ ッ カス

厚 い ポ リサ ッ カラ イ ドの莢 膜 を持 ち,こ の た め墨汁 標 本 が 手 軽 な診 断法 で あ る.最 近 は ラテ ックス凝 集 反 応 で ク リプ トコ ッカ スの莢 膜 多 糖体 抗 原を検 出 す る方 法 が あ り,感 度 は極 めて鋭 敏 で あ る.

2)そ の他 の 真 菌

カ ンジ ダや ア スペ ル ギル ス の髄 膜 炎 は極 め て まれ で あ る.ム コー ル,リ ゾ ップ ス な どの 藻 菌類 は血 管 を侵 し,血 管 内 で増 殖 して血 管 を破 壊 して 出血 壊 死 を起 こす.副 鼻 腔 や 眼 窩 の血 管 が 侵 され ると,そ こか ら髄 膜 に病 変 が 波及 して限局 性 の髄 膜

炎 とな る.コ ク シジ オ イ デス や ヒス トプ ラズ マ,ブ ラ ス トマ イ セ ス は 日本 に存在 しな い真 菌 で あ るが,全 身感 染 例 で は中 枢神 経 系 に も病 変 が波 及 する.特 に コ クシ ジオ イデ ス の髄 膜 炎 は まれ な もので は な い.

4.そ の他 の病原体

かつ ては トレポネマ-パ リダムに よる神経 梅毒はポピュラ な疾患 であった.ワイル病 では発病早期 か ら髄液中 にレプ トスピラが存在 しているが,細 胞増加 は見 られず,神 経症状 として羞明,軽 度 の項部硬直が見 られる程度であ る.4~7病 日にいったん解熱 し次 いで再度発 熱するが,こ の時には半数近 くに髄膜刺激症状や軽度 の意識障害が出現 し,髄 液中に細胞増加が認 め られる.

ライム病で は10~40%に 神経症状 が出現 する.病原体 のボレ リアは感染早期 に中枢神経系 に侵入し髄膜炎,脳 神経炎(顔 面神経麻痺;30%前 後が両側性),髄 膜脳炎,神 経根炎 をおこす.

原虫 の中枢神 経系感 染 に は トキ ソプ ラズマ脳症,脳 性 マ ラ リア,赤 痢 アメ ーバ 脳 膿 瘍,ア フ リカ トリパ ノ ソー マ の睡 眠病(Trypanosoma gam-bienese, T. rhodesienese)等 が あ る.脳 内寄 生 する寄 生虫 に は有 鉤 条 虫卵 に汚 染 され た豚 肉摂 取 後の 嚢胞 虫,エ ヒノ コ ッ クス,旋 毛 虫 な どが あ り,けい れ ん の原因 とな る.

リケ ッチアは毛細血 管内皮細胞 で増殖,破 壊 し,また産生 され る毒素 は血管透過性 を亢進 させ る.脳 内 の血 管 にこの ような病変 が生 ず る と意識 障害,聴 力障害や項部硬直 な どの神経症状 を見 ることがある.

文 献

1) Chonmaitree T, et a1: Role of the virology

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5) 鳥 田 馨:エ イ ズ の 臨 床.日 内 会 誌 83:1439,

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6) Kitamura T, et al: Transmission of human

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