ブラインド・テイスティングを科学的アプローチで考える その①「過去からの学び」
ブラインド・テイスティングとは?
ブラインド・テイスティングはワインを理解するための最も効果的な方法であり、ワインを科学的に評価するための官能評価、ワインのコンペティションでの評価、またソムリエとしての能力を決めるためのコンクールで用いられている手法です(以下ブラインド・テイスティングをブラインドと省略します)。この方法なくしてワインを正しく理解することは出来ません。
2016年の世界ソムリエコンクールで優勝したアルヴィッド・ローゼングレンの記事(Arvid Rosengren's 5 tips - how to be a better blind taster)を読んだところ、まさに同感!と唸りました。私とアルヴィッドでは大変レベルの違う話で大変恐縮なのですが、ブラインドをテーマにブログを書こうと思いました。
私は彼のようなプロフェッショナルなソムリエではありませんし、このような大会で勝ち抜くことは目指していません。私が目標にしているのは、例えば東京のワインスクールで行われているブラインドテイスティング大会であったり、日本ソムリエ協会主催のブラインドテイスティングコンテストなど。世界トップを争うソムリエをメジャーリーグなどプロ野球と例えると草野球くらいでしょうか(笑)但し草野球といえども野球は野球、ブラインドはブラインドです。ワインへの向き合い方、答えの導き方は一緒です。またワインを分析した結果を伝達する必要はありませんので、何のブドウ品種のどこの産地、いつの生産年のワインかを正確に言い当てる必要があります。
私がブラインドにはまった理由
私がブラインドにはまった理由を少し書こうと思います。2012年に取得したワイン・エキスパート二次試験のことです。その頃の私は、リースリングはペトロール香(TDN)、ソーヴィニヨン・ブランはハーブの香り(メトキシピラジン)、カベルネ・ソービニヨンは青ピーマン香(メトキシピラジン)、シラーは黒コショウ(ロタンドン)を嗅ぎ分け、ワインスクールの先生の模範コメントを丸暗記して、マークシートを塗り潰す程度のことしか出来ていませんでした。そんなレベルでしたので気持ちの揺れや迷い、出題ワインの状態などにものすごく左右され、荒波を漂う小舟のような心境で回答していたことを思い出します。今考えてみれば品種に特徴的な香り(インパクト化合物)頼みだったように思います。
結果的に合格はできたのですが、私が考えていたワイン・エキスパート像とは程遠い状態で、なんとかせねばという気持ちでした。そんな中試験以外でもブラインドの練習を行っている仲間がいることを知り、私も練習を兼ねたワイン会を定期的に企画することにしました。その頃から考えると既に8年も練習を続けていることになります。この8年の間に自分のワインへの向き合い方は大きく変化しましたし、実力ある仲間たちからの刺激にも恵まれ、飽きることなく今もブラインドを続けています(笑)またありがたいことに今では自由が丘ワインスクールでブラインドの講座も担当させて頂いています。
今回は何も科学の話は出てきませんでしたが(笑)、次回からこの8年間で私は何に気付き、何を学んだのか?を書いていきたいと思っています。
Reference: Arvid Rosengren's 5 tips - how to be a better blind taster
https://starwinelist.com/wine-story/arvid-rosengren-five-tips-to-become-a-better-blind-taster
2012年10月29日、恩師の矢野恒先生(中央)とクラスメートの柿沼さん(左)。今は無き西洋銀座での合格祝賀パーティでした。