小さな筒形の木のケース。
イギリスの小さな筒形の木製のケース、高さはどれも大体4センチ強。木はシカモアかもしれませんが、よく分かりません。時代は19世紀初めか前半頃です。蓋はスクリュー式になっています。これ、何を入れたものだと思いますか。サイコロ入れです、恐らく象牙や骨で作ったサイコロが入れられていたはずです。この時代の人は賭け事をよくしていたので、このようなサイコロを入れる為のケースはイギリスでもたまにアンティーク・マーケットで見掛けます。見慣れると大体の時代が分かるようになります。木製のアンティークは Treen(トゥリーン)とイギリスでは呼ばれますが、木製の古い物は時代判定も難しく、イギリスでもびっくりするような高値が付いてたりします。二百年前位のウェールズ地方の木彫りのスプーンが何十万円もしたりするんですね。Treen はイギリス・アンティークの中でも極めて特殊なジャンルなんです。僕ももう少し力を入れたいと昔は思っていましたが、値段が高いのと、残っている物の数が少ないのと、偽物もわりと多い、などの理由で諦めました。田舎のアンティーク・マーケットなどに行くと偽物のアンティークの木の物をテーブル一杯に並べて売っているお年寄りがたまに居たりするんです。偽物と知って売ってるのか、詰まり確信犯なのか、それとも仕入れ先が悪いアンティーク・ディーラーで、その人に騙され偽物と知らず売っているのか。その辺りは売ってる人の顔を見れば大体分かりますけどね。もっと巧妙なやり方になると、本物に偽物をちらほら混ぜて売っている、そんな人もいます。これは間違いなく確信犯で、こう言う奴に限って色々と要らない「手入れ」までしていて、結構素人目には美しく本物よりも本物に見えるんです。そしてディスプレーも整然として見易く可愛いリボンなんかが値札に付いていたりして。結構売れるんですねこんな人のテーブルは。恐いですね。