薔薇は…

うんとうんと若い頃

叔母のお仕事の手伝いで　

上海へ行ったことがあります。

会は盛況で

あちらに住まわれている日本の方や

中国のお偉いさんも沢山。

すべてが終わったあとに　ホテルのバンケットで

懇親会がありました。

私は着物でしたので　

ご挨拶だけでもクタクタになり

ロビーで休憩をしていました。

クリスマス前の頃で

しかも氷雨がポツポツと降り始め

私のいるロビーもとても寒かった…

そんな寒いロビーのさらに外で

帰宅する人に車を用意するボーイさんがいました。

よく見ると若い？

…っていうか子供⁉️

高校生になったか　

ならないか？

くらいの男の子。

こちらを見ていたので

拙い中国語で

「寒くないのですか？」と問いかけると

平気です

と笑顔。

私は寒くてブルブル震えていました。

そんな私に彼は　少しだけ真顔になって

言いました。

「薔薇は決して震えない」

バンケットには　まだまだ沢山の

いわゆる日中の友好のために集まるセレブ達…

寒い場所で働く10代の男の子…

そんな彼の口から

シニカルで、でも

美しい言葉。

初めて訪れた上海での思い出です。