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紺碧の採掘師

第16章 02

2020.06.22 06:37

暫し後、雲海に向かって飛んでいる3隻。アンバーを先頭に黒船とブルートパーズが後に続く。

アンバーと黒船の甲板の上には有翼種と人工種の採掘メンバーと、妖精がいる。

二隻とも甲板の淵には荷崩れ防止用の「ガード」と呼ばれる柵を立てている。

穣「…しかしこの速度で皆で甲板に乗ってるって凄いな。」

悠斗「凄いねぇ」

穣、ガードを指差し「荷崩れ防止用のガードはあるけど落ちないように気を付けんと。浮き石は着けててもさ。」

そこへカルナギが来て穣に「おい」と言うと、自分の耳に付けた通信石を見せつつ「これな、船の操縦士と連絡する奴なんだが、人工種の船にもこういうのあるだろ。貸してくれ。先導するのに必要だ」

穣「あぁ。なるほ」と言い、自分の耳からインカムを外してカルナギに渡しつつ「これブリッジと連絡する奴です。」

カルナギ、「ドゥリー!」とドゥリーを呼ぶ

ドゥリー「はいな」

カルナギ「これ連絡用の奴だ。耳に着けろ」

ドゥリー、耳に着けて「このまま話していいの」

するとインカムから『大丈夫です!』という声が。

ドゥリー「ドゥリーです、よろしっくー!船の先導しまっすー!」

インカム『操縦士のネイビーです、宜しくね!』


マゼンタは、甲板の上でもまだ妖精にポコポコされている。

マゼンタ「もー!こんなとこまで付いてきやがってー!船から落ちて迷子になっても知らないぞ!」

ターさん「まぁ妖精は落ちてもダイジョブだけどね…。」

悠斗「妖精のアイドルになったなマゼンタ君!」

暫し飛ぶとだんだん周囲が曇って来る

悠斗「曇って来た。」

マリア「死然雲海だわ」

そこへカルナギが「探知の人工種!」

するとマリアとカルロスが「はい!」

カルナギ「あ。黒石剣持った奴だけだ。」

カルロス「名前で呼ばないから混乱する!」

カルナギ「…なんだっけ名前」

護「カルさんです。」

カルロス「違う!MFSUMA1023周防カルロスだ!」

カルナギ「長い!…ったく人と同じような名前しやがって」

護「カルナギさんとカルロスさん」

カルナギ「そこの金髪頭の探知人工種!仕事だ!雲海切り!…探知はドゥリーに同調!」

ドゥリー、カルロスに「私が探知した石を一緒に探知するって感じ。」

カルロス「はい」と言って探知を始める

ドゥリー「よーし見つけた!前方に背の高いの一本あるよー!もっと船上げてー!上昇上昇」

インカムからネイビーが『了解です!』

ドゥリー「皆、半分切りでぇーす!」

カルナギ、甲板の上を飛んでるトゥインタたち有翼種採掘師に「半分切りだ!」

ターさんやトゥインタ達「ほーい!」

カルナギ、穣たちに「採ったら柱を固定する為の台木(だいぎ)の上に置く。」

トゥインタたちは木箱から、木製の台座のようなものに皮ベルトが付いた台木を出して甲板に並べつつ「これが台木ね。柱の位置決めしたらベルトで柱にしっかり括り付ける。」

護、前方に目を凝らして「うっすら見えて来た」前の方に光り輝く柱のようなものが見える

ドゥリー、インカムに「速度落としてー!もうそろそろだー」

カルナギはアンバーの後方に飛ぶと、付いて来る黒船とブルートパーズに停止するように合図しつつ、通信石に「止まるぞー!」

3隻はゆっくりと速度を落とす

ドゥリー、インカムに「雲海切りして柱が見えたら柱のすぐ傍に行って停まる。」

ネイビー『横付けするの?』

ドゥリー「ん。活かし切りが終わったら、横付けだけど、とりあえずちょっと離れて停止しといて。後はまた指示する」

ネイビー『分かった』

ドゥリー「じゃあー雲海切り行くよー!カルさん準備だー!」

カルロス「OK」

ターさん「護君も活かし切りしよう!」

ドゥリー「待ったー!護に切らせてみよーう!」

ターさん「え!」

カルナギ「やらせてみっか!失敗するなよ人工種!」

護「ちょ、ちょっと」

ドゥリー「んでは行くます! 3、2、1、ゼロ!」その合図と共にカルロスとドゥリーが雲海切りをする

物凄いエネルギーが放散され雲海が切り拓かれる。前方にはやや細身の背の高いケテル鉱石柱が見える。しかしその少し先は曇ったまま。雲の中の一部分が一瞬晴れたような感じになる。

穣たち「おおー!」

甲板ではカルナギが「活かし切り行けー!」

トゥインタ達が前方の鉱石柱の数カ所に白石斧を入れて石を輝かせる。


ブリッジでは剣菱も「いやはや凄いな…。」と驚く

そこへスピーカーから『高さこのままで、柱に横付けできる?』

ネイビー「はーいっ!」

剣菱「横付けってどんな感じに」

ネイビー「多分…こんな感じ?」と言いつつ操船すると

アンバーは、ブリッジのすぐ横に柱がある状態で止まる。

スピーカー『オッケー』


甲板ではカルナギが、護に「切り所はわかるか!」

護「ち、ちと待って」

と、その時、再び周囲がやや曇って来る。

カルロス「また、雲海が」

ドゥリー「この辺り、すぐ曇る。急げ急げ」と護を急かす

護「う、ううむ」焦る

ドゥリー「よしヒントを教えてあげよう」と言うと「妖精さぁーん!」

すると妖精たちがポコポコと護の所に来る

カルロス「…また妖精に聞くのか…。」

ドゥリー「どの辺を切ったらいいかな」

すると妖精たちがポコポコとジャンプして柱の一部分に当たっては甲板に戻る。

護「なるほど。」

透「これってヒントなのか」

マゼンタ「答えって言わない?」

護「位置は分かっても…切り方が問題なのじゃあー!」

カルナギ「まぁいいから切ってみ!曇っちまう」と言い、鉱石柱の上部を抑えている有翼種たちに「上、抑えてろよ!」

護「じゃあ、皆ちと離れて!」と斧で一同に指示して下がらせると自分もやや後方に下がって

護「行くぞー!」と言い甲板から鉱石柱に向かって走りジャンプしながら斧を振ってガキンと鉱石柱を一気に叩き切り、そのまま下に落下していく

穣たち「おー!」

マゼンタ「って落ちたけど!」

ターさん「落ちながら切るのが特技だからね!」

マゼンタ「そんな特技がー!」

そこへカルナギの「倒せ!」という声と同時にトゥインタ達が柱を甲板の方に倒す。それを受ける穣のバリアや怪力の悠斗たち。有翼種は人工種たちが柱を受けたのを見て船の下へ。

悠斗たちは柱をアンバー甲板中央の台木の上に移動させ、4本の台木の上に置く

カルナギ「位置オッケー、固定ベルトで柱に台木を付ける」と言ってベルトを柱に掛けるとバックルに通して締め付けつつ「締め過ぎると台木が折れるんでベルトが張る程度に!」と言うと「俺は下に行って来る」と言い甲板から下へ飛び降りる。その間に護や他の有翼種が森の中で鉱石柱の下の部分を切っている。

そこへカルナギやトゥインタ達が飛んで来ると、柱の下部分を切り倒して皆で抱えてアンバーの甲板へ運ぶ

カルナギたちは甲板に柱を降ろしつつ「上と下を一本に繋げる感じで置きたいんだが!」

穣「ハッチをまたぐ感じで台木置こう!」

透たち「了解!」

健「しかし長い柱だなぁ」と言いつつ柱を固定する作業をする

アンバーに、上下に分けて採った鉱石柱が一本乗る。

カルナギ「よし、じゃあ次の柱を採るか。あれを」と言い、やや霧がかった方向にうっすら見える鉱石柱を指差す。

ドゥリー「うん。」と言いインカムに「ネイビーさん、少し先に二本の柱があるの見える?あれを採るからゆっくり1時の方向へ」

そこへカルロスが「待った!護を忘れているぞ!」と叫ぶ

カルナギ「あ」

ドゥリー「あら。下に置いたままだった」

ターさん「俺が取って来るー」と下へ飛んでいく



三隻は更に雲海を進む。

アンバーの甲板では護がションボリして「忘れられたのかと思った」

カルロス「若干忘れられていた」

穣「まー人型探知機がいるから問題ない」

カルナギ「さてと…時間的に考えると」と悩んで「次のを採ったら、ちょっと深いとこ行って一本デカイの採って黒船に載せよう。そしたら人工種が石茶石を採れる」

ドゥリー「うん」と言うとインカムに「速度緩めて。そろそろ止まるよ」

カルロス、前方に見える柱を指差し「あれも分割して採るのかな。何となく柱の上と下でエネルギーが微妙に違う」

ドゥリー「正解。右の柱は3分割、左のは半分」

カルナギ「ちと面倒だからチャチャッと採っちまおう。皆、いつもの調子で行くぞー!」

ドゥリー「じゃあ、雲海切りいくよー!左から採ってねー」

有翼種たち「おー!」

ドゥリー「3、2、1、ゼロ!」でカルロスと共に雲海切り。前方の視界が拓けて二本の柱が見えた途端、カルナギがピーッと笛を鳴らすと同時に有翼種たちが左右の柱に一気に活かし切りをかける。

そしてカルナギがピーッと笛を吹くと同時に何人かの有翼種が左の柱の上を抑える。

カルナギ、斧を構えて「切るぞ!」と言って左側の柱の真ん中辺りをガンと叩き切ると、柱を倒してアンバーの上に運ぶ。台木の上に柱を置くと、アンバーのメンバー達が

穣「固定ベルト付けろー」

悠斗「うぃっす!」

と、突然、護がカルナギに抱き抱えられて空中へ。

護「うぉ?」

カルナギ、護を抱えて飛びつつ「お前、柱の根元を切れ!練習だ!」カルナギと護は地面に着地。

護、コンコンと柱を叩いて「よし…。」と狙いを定める。

カルナギ「じゃあ切ってくれ」と言いピーッと笛を吹く

護、「うりゃあ!」と叫んでガンと柱を叩き切るが「うげ!輝き減った」

カルナギ「惜しいっ!切り所がズレた」と言うと、他のメンバーと共に柱を抱え上げて上昇しつつ「もう一本もやらせるけど活かし切りするから少し待て!」

護「くぅ…」

カルナギたちは台木に石を置きつつ「ベルト待った!アイツがちと失敗したんで活かす!ター!」

ターさん「ほいさー」

カルナギ「活かしてくれ。」と言うと有翼種たちの方に飛びつつ「皆、右の柱だ!」と言ってピーッと笛を吹く。

有翼種たちは手際よく柱の上部1段目と2段目を切ってアンバーに積む。

下に居る護の所には、柱を切る時に出た小さなケテル石の破片が落ちてくるが、腕に着けたバリア石のバリアに弾かれ身体には当たらない。

護、上を見上げつつ「あの切ったデカイ柱が落ちてきたら流石にバリア石でも無理だなー」と言い「さてそろそろ最後の段か。」と言いつつコンコンコンコンと柱の根元を叩き始める。そこへカルナギが飛んでくる。

カルナギ「出番が来たぞ人工種!なんかコンコン叩きまくってたから大丈夫だな!」

護「任しとけ!」

カルナギ「よぉーし」と言うとピーッと笛を吹く。

護「たぁ!」と気合を入れてガンと鉱石柱の根元を切り倒す。

カルナギ「お見事!」と言うと切った鉱石柱を抱え上げながら「ドゥリー!護の運搬!」

護「運搬て」

ドゥリー「はーい」


暫し後。3本の柱が積まれたアンバー。

その甲板ではドゥリーがカルロスとマリアにレクチャー中

マリア「同調探知?」

ドゥリー「うん。代表となる人が皆の力を集めて探知して雲海切りするんだけど、今はとりあえず、皆で巨大なケテル鉱石柱を探知する。」

カルロス「どうせなら上総も一緒にやった方が」

ドゥリー「ああ黒船に居る探知の子か。連れて来よう」と言って黒船の方に飛んでいく

カルロス、マリアに「…君も黒石剣、持ってみる?」

マリア「え?いえいえ…。私、普通の探知でいいです。」

カルロス「君がコレ持って雲海切りしたらカッコ良さそうだけどな。」

マリア「はぁ。」と言って目を丸くする

カルロス「多分、上総より絵になる。」

マリア「…はぁ…。」と言って、ちと笑う

そこへドゥリーが上総を抱えて飛んで来る。「お待たせー」と言って上総を降ろすと「じゃあ皆で大きなケテル鉱石柱を探知しよう。レッツたーんち!」

探知のエネルギーで、人工種三人はうっすら青い光を放ち、ドゥリーは翼が光る。

するとカルロスが「あった!」

ドゥリー「どれどれ。」と言って「大きいけどちょっとイマイチ」

上総「見つけました」

ドゥリー「どれどれ」と言い「ちと小さいな」

上総「…俺の見つけたの、分かるんですか」

ドゥリー「うん。同調したから」

マリア「私も見つけました」

ドゥリー「どれどれ。」と言い「ああ彼が見つけたのと同じやつだ」と上総を指差す

カルロス「あ、別の奴を見つけたが…雲海が濃くてちょっと…」とエネルギーを上げる

ドゥリー「どれどれ」と言い同調する。その途端、カルロスの身体の周囲がバッと眩しく光る。

カルロス思わず「おわ!」と声を上げる。

ドゥリー、ニヤニヤ笑って「本気で同調するとこんなモンじゃないぞ」と言うと「あんた、イイもの見つけたな」

それからインカムに「これにしよう!ネイビーさん、11時の方向へ全速力ー!」