風待月
紫陽花が蕾を解き
梅雨入りをしたかと思えば
いきなりの大雨
速度の速い雨雲が強い風を纏って
北へと向かうと
何も無かったかのように
雲間から太陽が顔をのぞかせる
そんな時間を繰り返しながら
迎えた6月の新月でした
自粛が解除され
ほぼ2ヶ月休講だったフラのレッスンが
やっと再開し
その日は午後から久々のワークショップに
参加しました
思えば
昨年の6月で5年在籍した以前のハーラウを
意を決して退会し
現在のクム~師~に学ぶことを決めたのも
6月の新月でした
ちょうど1年の折り返しになるこの日は
色々な意味でターニングポイントになることが多く
偶然かつ必然に重なった出来事や選択が
後になって思い返すと
自分にとって大きな導きでも
あったような気がします
課題曲はカラニ・ペアの『クウ・ポリアフ』
ハワイの神話に登場する
ハワイ最高峰マウナケア山に棲むと言われる
雪の女神
キラウエア山に住む火の女神ペレと並んで
ハワイの人々から愛され尊ばれる
美しい自然神です
火の女神ペレが激しさや情熱を象徴するならば
ポリアフは静けさや冷静さ
包容力やゆとりのようなものを象徴する
対照的なイメージとして伝えられていますが
私はむしろ
ポリアフにはそういったものの中にある
ゆるぎなく深い愛情のようなものの
強さを感じています
作曲者であり歌手であるカラニ・ペアは
ポリアフに母への想いを
重ねているのだそうです
4歳の時 彼は発話障害と診断され
母親は言語機能障害を克服させるために
歌うことを彼に教えたのだそうです
結果そのことがきっかけとなり
才能が大きく開花し
様々なコンクールで受賞を果たし
彼を音楽の道へと導きました
障害を持つ我が子に
自分の気持ちや想いを表現する術を
なんとかして知ってほしい
母としての深い愛情が
音楽という道を通じて彼の人生を変え
同じような障害を持つ人々や
周りの人々にも
多くの勇気と感動を与えて続けているのです
フラを踊るとき
ハワイ語の意味や
こういった歌詞に中に込められた背景
物語を知ることが
私にとっては踊ることと同じくらい
とても大切で
そこから自分に向けてのメッセージを
受け取ることも多くあります
自分にとってのピンチをチャンスに変えること
ダメージやウイークポイントを
克服する方法や術を拓いていくこと
今のような時代だからこそ
工夫しながら新しい方法を生み出したり
自分にできることの幅を広げている人が
私の周りにもたくさんおられます
ネガティブになるかポジティブを選ぶかは
自分の中にある選択肢
どうありたいかも
何を大切にするかを決めるのも
自分次第なのだと思います
私がなぜ5年も在籍した
以前のハーラウを退会して
今のクムを選んだのか
それは自分と同じものを大切にしている人に
教えを乞いたかったからです
同じものを大切にしている人たちと
踊る喜びを共有したかったからなのです
6月は風待月
風が運んでくるものが
なにかしら心に留まるなら
それはきっと
自分が待ち望んでいたものなのかも
しれません