【山行録】立山・残雪期
新型コロナウイルスの影響により前回の山行から今日まで2ヶ月以上の期間、山に行くことを断念しておりました。
その間に体力や脚力を衰えさせない為にランニングをしたり、不安定な場所でも体勢を安定させたりロープワークの手際良さを養う為にクライミングをしたりして山の中でのパフォーマンス向上に時間を充てておりました。
緊急事態宣言が解除され、徐々に社会全体が再び動きだした今、間もなく始まる夏山シーズンに向けて自分は何をすべきなのかを考え、今日は立山に登ってくる事にしました。
立山はまだ残雪が多く、今日の天候は下り坂の予報で登山をするコンディションとして万全という訳ではありませんでした。しかし、2ヶ月のブランク期間がどれだけ自身に影響していたのかを確認する理由で、今日という日に登る事にしました。
立山黒部アルペンルートは新型コロナウイルスはもちろんのこと、平日でなおかつ天気予報が影響したのか、室堂に始発のケーブルカーや高原バスで一切混雑することなく上がることができました。
室堂に上がってみれば平地と比べてかなり肌寒く、残雪とガスと小雨でいつホワイトアウトしてもおかしくない状況でした。しかし、これは今回の私としてはむしろ望んでいた状況でした。今まで培ってきた経験、現場の状況の分析力、そしてそれらを元にどう判断して登山をするのかを試せるブランク明け登山として絶好のシチュエーションだと思ったからです。
時折ガスが抜けて視界が良くなるものの、室堂と一ノ越の間はほぼ残雪の斜面をトラバース(横切る)しながら登っていく状況で、滑落すれば、かなりの距離を落下する可能性が高く、なおかつ今年は登山者が少ない為に比例して踏み跡も少なく、慎重な足運びが要求されました。この状況も私としては勘を取り戻す為にありがたいシチュエーションだったと言えます。
一ノ越では来れば北アルプスの稜線上に上がってきたこともあり、風が強く、登山を続行するか否かを判断しなければならない状況でしたが、登る事を選択。
一ノ越から雄山まではほぼ残雪が無かったのですが、久しぶりに歩く岩の多い登山道で、足の上げ方、一歩一歩足の置く位置、地面の蹴り方を確認しながら登りました。
標高が上がれば、風はさらに強くなっており、無人の雄山神社の社務所付近では15m/sちかくの風速と寒さを体感し、自ら選んで来た今日というコンディションに喜びの感情が出てきました。はたから見たら、ドMでしょうか?(笑)
この喜びの感情が冷めない内に雄山から富山県の最高峰である大汝山へ。雄山と比べてより個人的に好きな岩の比率が増し、登頂の喜びも最高潮となりました。
下山の道中では、厳しい環境であっても今の時期に花を咲かせる高山植物の強さに魅せられながら歩くことができました。自分も負けないように生きていきたい…。
安全面を考えると、あまりオススメはできませんが、あえて良くないコンディションでする登山も得られるものが多く良い経験になります。