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紺碧の採掘師

第21章 01

2020.06.27 06:48

そして翌朝。

テクテクとカナンの店に向かって歩いているカルロスと護。

護、カナンの店のドアを開けると「おはようございまーす!」

すると周防、ターさん、カナン、セフィリアが「おはよう」

ターさん、護たちに「何だかすっかりカナンさん達にお世話になっちゃったよ。まさか泊まるなんて」

カナン「昨日、片づけを手伝ってくれたしな」

周防「そもそもター君の家にカルロスと護君が世話になってるし。」

カルロス「まぁ…。」

護「俺が家を建てるまではお世話になりますターさん!」

ターさん「どんな家が建つのかなぁ」

周防、立ち上がると「さて、じゃあ行こうかな。」

カナン、セフィリアに「見送りに行って来る。」

一同は店の外に出る。

セフィリア、周防に「周防さん。また是非、イェソドに来て下さいね。」

周防「はい。必ずまた来ますから」

セフィリア、周防と軽くハグすると「皆もまた来てね」と護達を見る。

護「はい!」

ターさん、自分のショルダーバッグを肩から斜めにかけると、セフィリアに「また来ます!」と言い一同は図書館へと歩き出す。護は周防の荷物を持つ。

ターさん、カルロス達に「俺、この後ケセドに寄って家に戻るから、皆とは図書館の上でお別れだ」

護「わかった。」

カルロス「了解」

ターさん「ちなみに次はいつ頃イェソドに来る予定?」

カルロス「うーん。多分アンバーが1週間以内にまた来ると思うけどなぁ…。」

護「戻って何が起こるやら!だからねぇ。」

ターさん「了解。適当に待ってる。」

そこへ図書館上空に『壁』の警備の船が近づいて来るのが見える。

護「お。あの船は」

カルロス「レトラさんだ。今日は船で来た」と言いつつ図書館脇の外階段を上がり始める。

ターさん「カナンさん、抱えて飛びましょうか?」

カナン「大丈夫だよ。慣れてるから」

警備の船は上空待機で採掘船を待っている。

一同は図書館屋上の駐機場に着くと黒船とアンバーに向かって歩く。すると

アンバーと黒船のメンバーと妖精がカナン達に「おはようございまーす!」

カナン&周防&ターさん「おはよう!」

周防「皆、朝のミーティングかな」

護「ミーティングと、お出迎え」

カナン「なんと」

駿河やジェッソ達、カナンの前に来ると

駿河「カナンさん本当にお世話になりました。そして今後とも宜しくお願い致します。」

ジェッソ「今後、頻繁にイェソドに来ますので。」

剣菱「また石茶を飲みに貴方の店に行きますよ!」

カナン「いつでも来て下さいな!」

周防、カナンに「カナン、必ず、また来ます。」

カナン、図書館の建物を指差しつつ「まぁここに面白いものがあるしね!」

周防「そしていつか貴方をSSFに招待したい…。紫剣さんにも会わせたいし」と言うと「とにかく本当にありがとう。」と手を差し出す。

カナン「うん」と言って周防と固い握手をする。

カルロス、皆に「ちなみにターさんともここでお別れだ。」

ターさん「俺、この後ケセドで用事をして帰る。皆、また会おうー!」

駿河「うん。ターさんもありがとう」

剣菱「色々ありがとうな!」

マゼンタ「ターさんありがとー!」

上総「またねターさん!」

駿河「じゃあ皆、船内に戻って。」

剣菱「イェソド鉱石採掘に行くぞー!」

穣「よし本業に戻ろう」

昴「仕事だ仕事だ」

マゼンタ「本業だー!!」

護はカルロスに周防の荷物を渡すと「んじゃまた」と言いアンバーの方へ

カルロス、周防に「行きましょう。」と促す。

周防、カナンに「…では、また!」

カナン「うん」とニコニコしつつ黒船の船内へ向かう周防たちを見送る。


全員船内に入り、タラップを上げて船底の採掘口を閉じる。

やや離れた所から二隻を見ているターさんとカナンの前で、黒船とアンバーがゆっくり上昇を始める。

カナン「かっこいいねぇ…。」

ターさん「うん」

カナン「何だかこれから色々と新しい事が始まるような気がするよ。…楽しみだねぇ」

ターさん「そうですね!」

二隻は警備のレトラの船を先頭に、上空彼方へと飛んでいく。



黒船のブリッジでは。

駿河「やっぱ制服って大事だな…。」と言うと「黒船って感じがする」

総司「仕事モードになりますよね。でも昨日の私服モードも楽しかったからまたイェソドでやりましょう。」

駿河「うむ。」と言い「ところで最近すっかりブリッジの入り口が皆の溜まり場になってしまった」

ジェッソ「前からですよ」

駿河「そうだっけ?まぁ前方が見えるのはここしかないからなぁ」

昴「違う。事件はブリッジで起こるから」

レンブラント「どんな話してんのかなーって」

駿河「野次馬でしたか」

ジェッソ「うむ。」

そこへ上総が前方のレトラの船を見つつ「それにしてもどこまで行くんだろ。もうどこでも採掘出来そうだけど…。」


3隻の船は鉱石だらけの川沿いを飛び、崖近くへ。崖に穴が開いていてそこからキラキラ光る水が流れている。その周辺も鉱石の光で眩しい。

その時、駿河が手に持っている警備との通信機が光ってリンリンリンと呼び出し音が鳴る。

駿河、真ん中のボタンを押して通話に出ると「はい。…ありがとうレトラさん。また次回イェソドに来た時には宜しくお願い致します。」と言うと一同に「この辺りで採掘だそうです。」

ジェッソ「よし!」


アンバーと黒船は横に並んで船首を崖側に向けて降下すると、各船の開いた採掘口から採掘メンバーが道具を持って飛び降りてくる。

穣「行くぜぇ本業じゃあーー!」

ジェッソ「もはやどこを採っても極上の石かぁっ!」

穣、アンバーメンバーに「皆、アンバーの底力を黒船に見せてやる時が来た!オリオン君!」

オリオン「爆破しますー!」

穣「透、爆風をアッチに流せ!」と作業している黒船メンバーの方を指差す

メリッサ「ちょっと!」

ジェッソ「昴!」

昴「コッチもドカンってやるぞ!」

夏樹「アンバーに爆風を流します!」

お互い爆破をかけて崩した石をコンテナに詰める。

すると妖精がポコポコよってきて破砕された鉱石の欠片をポリポリ食べたり一同の周りをポンポン跳ねたりする。

マゼンタ「遊んでやらないぞ!仕事だー!」すると妖精が一斉にポコポコとマゼンタに向かって飛び跳ねる

マゼンタ「ちょっと!こらぁ」

オーカー、その様子を見て妖精たちに「もっと遊んでやれ!」

マゼンタ「しーごーとーがー!」


カルロスは黒石剣で鉱石を切って、大きな塊を切り出す。

その様子を見たレンブラント、思わず「…いつの間に怪力になったんですか」

カルロス「いやいや。黒石剣は雲海切りだけでなくこういう事も出来るんだ。」と言い、自分が切り出した鉱石の塊を持ち上げようとして出来ずに「…大きく切り過ぎた。コレ、運んでくれー。」

上総「やっぱり非力なままだった。」

カルロス「元から非力だ!」

レンブラント、塊をひょいっと持ち上げるとニヤリとして「…護が居ないとダメですねぇ」

カルロス「まぁな!」


メリッサ、鉱石を手に取ると「ほんっとキレイな鉱石よね!こんなの採っちゃったらもうジャスパー側では採掘出来なくなりそう。」

夏樹「わかる。今まで採ってた鉱石とは段違いだもんなぁ。本部の奴ら驚くぞ」

昴「もうコッチだけで採掘しよう」

メリッサ「そうしたーい」と話をしつつもガンガン鉱石を採ってコンテナに詰めていく。

ジェッソ「皆、凄いペースだな!」

夏樹「本業ですからね!しかも隣に同業者がいるし!」

ジェッソ「久しぶりに完全に同じ土俵で採ってるもんな。ライバルがいるって楽しいなぁ!」


黒船のブリッジでは。

駿河、計器を見て「凄い、船がどんどん重くなる。」

するとピピーと呼び出し音が鳴ってスピーカーから『ブリッジ!そろそろ貨物室満タンになるから甲板積みいきまーす』と、そこへ

『アンバーも甲板積み行きまーーす!』

『ウルサイぞハチマキ男!』

『黒船には負けねー!』

総司「皆がこんな楽しそうに鉱石採掘してるの初めてだ」

駿河、受話器をとって「甲板積み了解です。」と言うと

スピーカーから『船長、アンバーには負けません!打倒ハチマキ男です!』

駿河思わず「が、ガンバだ!!」


黒船もアンバーもコンテナを甲板に積み始める。

護がアンバーの甲板でコンテナを固定する作業をしていると、悠斗が別のコンテナを抱えてハッチから甲板に出て来て「積んで積んで鉱石積んで~♪」と謎の歌を歌いつつコンテナを置いて「管理の皆さんにも喜んで欲しいなぁ!」

護「でもこんなに鉱石あると、管理さんビビッて近づけないかも」

悠斗「あー、鉱石が恐いから。そうかこれ管理避けだったのかー」

護「じゃあもっと積まなくちゃ!」

悠斗「積んで積んで、管理さんビビらせちゃう!」


黒船のジェッソ達は甲板に積まれたコンテナにシートを被せてベルトで船体に固定すると、「よしよし。」と満足気に眺めて「採ったなぁ!」

レンブラント「甲板にこんなにコンテナ積んだの初めてだ…。」

そしてなぜかジェッソとレンブラント、片手を上げてハイタッチをして「いぇーい」。

昴も満足気に「うんうん、採った採った」

アンバーの甲板でもコンテナの固定作業が終わる。

穣「よっしゃー終わったー!」と空に向かって右の拳を掲げる

護も「満載だー!」

悠斗も「満載だー!」と空に向かって右拳を掲げる

穣「よっしゃ、片付けするべ。戻って本部の奴らの驚く顔が見たい」と言うと腕輪を見て「浮き石確認!撤収だー!」と叫びつつ甲板の上から下に向かってジャーンプ

護も両手で万歳しながら下にジャーンプ「てっしゅーう!」

悠斗も「てっしゅー!」と飛び降りる

それを見た黒船のジェッソも「よし我々も撤収だ!本部の皆さんをビックリさせよう!」と言うと「撤収!」と叫びつつアンバーと同様、甲板の上を走ってブリッジ側の上から下に向かってジャンプ

レンブラント「浮き石確認!」と言うと「てっしゅー!」とジャンプ

昴「行くぞ浮き石!たぁ!」と言いつつ飛び降りる。


黒船のブリッジでは

駿河「なんか突然ジャンプ祭りが」

総司「羨ましいぃ!今度俺も甲板からジャンプやろう」

駿河「…俺も、誰かに抱えてもらってジャンプしよう。」


一同は手早く撤収作業をすると船内へ。二隻とも採掘口を閉じて、発進する。


黒船を先頭に飛ぶ二隻。

総司、操船しながら「船が凄く重いー!」

上総、探知をかけて「えーと。目印の遺跡はあっちです。あっちに飛んで下さい」と前方を指差し方角を指示すると「なんか久々に出番が来たような気がする。」

駿河「一昨日も大活躍してただろ。」

上総「航路の探知するのは久々だなぁと。石の探知は間違えてもいいけど、航路の探知は間違えると大変だから、やっぱちょっと緊張する。雲海あるし…。」

すると入口の方からカルロスが「雲海で探知できなくなったらコレに聞けばいい。」

上総「え」と言ってカルロスを見て「何で妖精持ってるの!」

見ればカルロスが丸い妖精を一匹抱いている。

カルロス「船内に居た奴を捕まえた。どうしても途中まで一緒に行きたいらしい。」

総司「密航者が居たとは!」

駿河「カルロスさんの探知に見つかったか」

カルロス「いや、階段上がろうとしたら出くわした。」

ジェッソ「ポンポン跳ねまわって逃げるから捕まえるのが大変だった」

上総「妖精を管理に見せたらどうなるのかな」

カルロス「…まぁ管理がどんな反応するか面白そうではあるけど。妖精が嫌がりそうだな。」

ジェッソ「キックするからなぁ」

カルロス「ホントに嫌だと電撃バチンするぞ」

ジェッソ「電撃?妖精が?」

カルロス「うん。マジで怒ると電撃する」

ジェッソ「もしかして、された事がある?」とカルロスを指差す

カルロス「…前に、ソファの上に妖精が寝てるのに気づかず上に座ったら、メチャ怒られた。」

ジェッソ「あらまぁ。」