forgiveness
2016.05.28 04:53
記憶の海に紛れえぬ眼差しが、
蘇る。淡い誓いの囁きが蘇る。
尊敬と軽蔑を。羨望と焦燥を。
全て見せてくれたその生き様。
愛という一言では纏まらない。
失われた時間を一人、虚ろに想う。
幾度も酷い嗚咽と醜い慟哭に塗れ。
その瞳に、もう私は映らなかった。
くたびれた魂すり減らして、
戦場に立つ君は笑っていた。
逞しく勇ましく振り向かず、
諦めた様に斬り続けていた。
誰よりも人間らしくあろうと、
誰よりも人の心を無くそうと、
強く決めて、切り開く後ろ姿。
いつも傷だらけだったのにね。
眠りについても痙攣して、
言葉にはならない呻き声。
世界は君を狂わせていた。
刹那に見た灯火の様な永遠。
先に崩壊させたのはどちら。
私は私のままでしかなくて…。
君は君のままでいるだろうか。
同じ空の下、二度と重ならない。
空っぽの心に染み入る優しい何かが
私をこの都会に踏み留まらせるなら
きっと全て間違いではなかったの。
戦う君が朽ちた時は私が一番哀しむ。
だからそう、その勇姿を遠くから。
同じ夢を見る事は到底不可能だった。
最初から解って選んだ自分達を責めないで。
出逢ってしまった定めを赦して。
果たされなかった約束を赦して。
幻想と共に離れた二人を赦して。
愛しい過去を灰色にはしないよ。
(2014.February)