読書会に行きたしと思へども読書会はあまりに遠し(I)
わたしにとって本は一人で読むものだったので、いままで読書会には参加したことがありません。
読書会がテーマの映画だと「ジェーン・オースティンの読書会」は原作も面白かったので、読書会に関する本を探して読みました。
山本多津也「読書会入門 人が本で交わる場所」(幻冬舎新書、2019年)
「読書会入門」山本多津也は、日本最大規模の読書会を立ち上げた筆者が、なぜはじめの一歩を踏み出したのか、どのように続けていったのかを語ります。本を読むという個人的な営為が、読書会という活動で人との関わりを生み出す大切なコミュニティを作り、文化をつくり出すまでになります。
アン ウォームズリー著、向井和美訳「プリズン・ブック・クラブ コリンズベイ刑務所読書会の一年」(紀伊國屋書店、2016年)
「プリズン・ブック・クラブ コリンズベイ刑務所読書会の一年」アン・ウォムズリーは、雑誌記者で自らも読書会にいくつか参加していましたが、なんと刑務所の受刑者たちとの読書会立ち上げに関わることになりました。普段は関わりのない受刑者と共に読書することを通して、メンバーたちは変化を見せ、筆者自身もある個人的な出来事との折り合いをつけられるようになります。カナダの話なので、知らない本も多いのですが、読書会で取り上げられている本のほとんどは日本でも手に入ります。
メアリー・アン・シェイファー、アニー・バロウズ著、木村博江訳「ガーンジー島の読書会」上下巻(イースト・プレス、2013年)
コリンズベイでも課題の一冊になっていた「ガーンジー島の読書会」は、映画にもなっています。
コリンズベイとこの本は平行して読んでいたのですが、プリズンベイのほうでネタバレがありました。読む順としてはガーンジー→コリンズンベイがよさそうです。第二次世界大戦に、ナチス・ドイツに占領されていたチャンネル諸島のガーンジー島の住民が、戦時中に開催していた読書会の参加者が、ロンドンにいる雑誌記者と文通をし、ナチス占領下の生活を語り、本について意見を交わします。例えば、チャールズ・ラムの「エリア随筆」やシェイクスピアなどイギリス文学の数々が読書会のメンバーの目を通して紹介されます。アメリカ人作家が書いたイギリスを舞台としたフィクションです。
コリンズベイやガーンジー島の読書会のメンバーは、本と人を通して、それぞれに人生の意味を考える時間を持つことができました。
読書会に参加してみたら何かが変わるかもしれません。
(慶友会メンバー S.I.)
⇒アメリカ文学慶友会では、2020年7月の開催予定のオンラインミーティングで読書会を開催予定です。