共生
https://www.projectdesign.jp/202007/for-guess-after-covid19/007992.php 【コロナ共生社会のニューノーマル】 より 杉下 智彦(東京女子医科大学 国際環境・熱帯医学講座 教授)
世界規模でのCOVID-19の感染拡大という事態は、環境保全や格差の是正を軽視してきたグローバル経済への反動ともいえる。世界の持続可能性をどのように達成すべきか、国連にてSDGs(持続可能な開発目標)のゴール3策定にも従事した杉下智彦氏に論考いただいた。
現代に蘇った嘴医者
挿絵は、17世紀イタリアのペスト医師シュナーベル・フォン・ロームである。感染源とみなされていた“悪性の空気”から身を守るため、全身をガウンで覆い、患者に触れることなく診察するための杖を持ち、大量の香辛料を詰めたくちばし状のマスクを装着している。そして「君は寓話と信じるだろうか? 嘴医者の物語を」という言葉が添えられている。
「ペスト医師」(1656年頃、Paul Fürst画)。17世紀の欧州で甚大な被害をもたらしたペストの治療にあたったイタリアの医師、シュナーベル・フォン・ローム(Schnabel von Rom)が描かれている
新型コロナウイルス(SARSCoV-2)による急性呼吸器疾患(COVID-19)のパンデミックは、まさに現代に蘇った黒死病(ペスト)である。14世紀の流行では、当時の欧州の人口の60%の死者が出たことで、社会は劇的な変化を求められ、時代は中世から近世へ移行したとされる。また1918年に始まったスペイン風邪(インフルエンザ)では、世界中で約5億人が感染し4000万人が亡くなった。このとき、社会階層間で死亡率が10倍違ったという記録が残っている。COVID-19においても、感染症による直接的な健康被害だけでなく、社会経済的な困窮による間接的被害も甚大である。
1996年、世界保健機関(WHO)は、新しく認識された感染症で、局地的あるいは国際的に公衆衛生上問題となる感染症を新興感染症と定義した。マールブルグ熱(1967年)、ラッサ熱(1969年)、重症急性呼吸器症候群(SARS、2003年)、中東呼吸器症候群(MERS、2012年)、エボラ出血熱(2014年)、ジカ熱(2016年)など、歴史的には新たな感染症の出現を止めることはできない。WHOによってCOVID-19と名付けられたこの感染症は、21世紀型のパンデミックとして過去に見られなかった特徴を持ち、人間社会のあらゆる側面に大きな影響を与えている。「ウイルスと戦って根絶する」という隠喩を唱えるうちは、多くの犠牲を払ってもその目的は達成できないであろう。我々は、好むと好まざるとにかかわらず「ウイルスとともに生きていく」という未知の世界に挑む必然性に迫られている。
COVID-19はなぜ起こったのか?
新興感染症の始まりは、その多くが自然界にある未知のウイルスと人類が遭遇することによって発生する。先進国の飽くなき欲望と過剰な利益追求が、調和のとれた生態系を破壊し、人類の存亡を左右するような新興感染症を引き起こしている。かつて私たちは、獣や妖怪が棲む暗黒の森に畏敬の念を感じていた。しかし闇が消えた現代では、自然はコントロール可能で効率的に利用するべきである、という人間至上主義が支配的である。いま私たちに必要なのは、持続可能な健康を維持するため、地球全体の生産と消費のシステムを見直し、歴史的に培ってきた人間と自然との最適な距離を保つ矜持を持つことが求められている。
COVID-19はなぜ拡大したのか?
COVID-19の感染拡大の様式は、豪華客船やライブハウス、ジムや介護施設など都市部での密集・密接・密閉された空間でのクラスター発生であった。集合住宅や満員電車、集約的な病院や施設という、経済的な効率性を追求した空間設計が感染拡大の温床となった。また海外出張者や旅行者の移動によって、非常に短期間で地球全体にパンデミックが拡大した。
SARSの起こった2002年の中国の国民総生産(GDP)は1500兆円であり、2019年は15兆円と10倍に増大した。世界の航空旅客総数は19億人(2003年)から45億人(2019年)となった。無尽蔵な大量生産、輸送、消費によって肥大化するグローバリゼーションは、本来あるべき人間と人間との自然な距離や、安全で快適な社会空間を奪っていった。現代社会には、人類としての分別をわきまえた経済規模を維持するための新しい叡智が必要とされている。これはまさに持続可能な開発目標(SDGs)で求められた社会変革への道しるべでもある。
https://newswitch.jp/p/22480 【イヌと共生で免疫系が強化される!?麻布大が提供するサイエンスリテラシー】
麻布大学は同大の重点テーマ“ヒトと動物の共生科学”で研究・教育・社会貢献するセンターを立ち上げた。生活習慣病の原因遺伝子の変化や、アレルギーの免疫バランスと腸内細菌など、人獣の共通因子の研究を行う。イヌ・ネコの飼育によるメンタルヘルス改善と社会システム変革も目指す。地球共生を意識した全学3年生向けの実習科目や、研究内容の書籍出版と合わせ、他の獣医学系大学と異なる特色を強化する。
獣医学系大学は家畜など動物の病気や生産性の研究で強いが、アニマルセラピーなど多面的な研究は遅れている。麻布大学は約10年前からヒトと動物の共生をテーマに、教育・研究を強化している。
4月に新設した「ヒトと動物の共生科学センター」は3グループ8研究テーマを掲げる。グループのうち「共進化遺伝子の同定」は、集団生活向きの性質や生活習慣病など、遺伝子変化が人獣で起こる共進化が対象だ。「微生物クロストーク」は人獣共通感染症の原因微生物や、アレルギー性疾患の免疫バランスと微生物などに注目する。「認知インタラクションと社会システム」は、イヌ・ネコ飼育によるメンタルヘルス改善効果などを、医学・生物学的に明らかにして社会システムにつなげる。社会学や心理学の研究者も参加する。
教育では今春、同センターが3年生向けのアクティブラーニング「地球共生系サイエンスワーク」を遠隔授業の形で始めた。同センターの土台となる研究で、このほど発行した書籍「動物共生科学への招待―ヒトと動物と環境の未来をつくる―」を参考書とする。論文を読んで実験手順を設計、研究構想を確立する“サイエンスリテラシー”を身に付けさせる。
共生医学研究所の記事です。
免疫細胞BAK療法http://symbic.jp/technology/bak/ 【免疫細胞BAK療法】
BRM Activated Killer(生物製剤活性化キラー)療法の頭文字を取ったものです。
使用する免疫細胞は自然免疫細胞のγδT細胞とNK細胞を主に使用して治療します。
免疫細胞BAK療法は、多数の医療機関に認めて頂き、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を遵守した全国110ヶ所を超える医療機関において治療提供されています。
NK細胞によるがん細胞破壊
γδT細胞によるがん細胞破壊
免疫細胞BAK療法の特色
自然免疫の特色である正常細胞を認識し、それ以外の細胞を(がん細胞)を単純に攻撃して排除します。NK細胞やγδT細胞を使用してのがん治療の効果は76%です。キラーT細胞は、がん細胞のうちMHCクラスⅠと呼ばれる目印が発現しているがんにしか攻撃しません。しかし、MHCクラスⅠが発現しているがん細胞は約60%ですから、40%は見逃してしまいます。NK細胞やγδT細胞は、MHCクラスⅠが発現していなくても、がん細胞を見分けて排除することが知られています。また、免疫細胞「BAK療法」に使用する免疫細胞の多くに獲得免疫細胞のT細胞が含まれています。自然免疫細胞と獲得免疫細胞の特色を生かしたバランスのよい免疫治療です。
本療法を提携する医療機関は全国に有り、現在、厚生局に認定再生医療等の法的届出が完了した医療機関は123ヶ所(2017年5月現在)になっています。全国の殆どの都道府県で療法を受けられます。免疫細胞「BAK療法」は国への届出、受理された細胞培養システムで、医療機関も厳重な管理が規定されています。
当社が独自に開発した免疫細胞の培養・増殖技術は、100億~200億個に及ぶ類を見ない圧倒的な培養細胞数です。10mmのがん腫瘍は、約10億個のがん細胞である事に対し、100億個以上の免疫細胞数での治療はがん治療にとって重要です。画像で見つからない「微細がん」(7mm以下)では大変有効な療法です。CTC検査で陽性の場合は、1年~4年以内にがんを発症したとの文献が発表されています。
免疫細胞BAK療法の原理
従来の免疫細胞療法(獲得免疫細胞:キラーT細胞)
(がん細胞を認識してがんを攻撃)
CTL細胞(CD8陽性)は、HLA-1(白血球抗原)とがん抗原の療法の目印を同時に認識しなければ、がん細胞を攻撃できない。がんは両方の目印を70%位隠すために、攻撃目標がわからず有効率が激減します。
免疫細胞BAK療法(自然免疫細胞:NK細胞、γδT細胞)
(正常細胞を認識し、がんを攻撃)
NK・γδT細胞(CD56陽性)は、HLA-1(白血球抗原)を隠したがん細胞に対しても攻撃できる。
NK・γδT細胞(CD56陽性)は、がん細胞等に発言されるMIC A/B分子をNKG2D分子で認識して攻撃。